働きながら美容師免許を取る|通信課程とサロンの支援
働きながら美容師免許を取る|通信課程の仕組みとサロンの支え方

働きながら美容師免許を取る|通信課程の仕組みとサロンの支え方

更新日:2026年10月12日

美容師免許を持たずにサロンで働き始めたスタッフにとって、免許の取得は大きな目標です。サロンで働きながら免許を目指す方法として、美容師養成施設の通信課程があります。ただ、何年かかるのか、スクーリングはあるのか、免許を取るまでにどんな仕事を任せられるのかは、本人もオーナーも意外と知らないものです。この記事では、通信課程の仕組みと国家試験・免許登録の流れ、免許取得までの業務の範囲、サロンができる支え方を解説します。

【大事なこと】
  • 美容師になるには、都道府県知事が指定した美容師養成施設で学び、美容師試験に合格して免許を受ける必要があります。
  • 通信課程の修業期間は3年で、通信授業と面接授業(スクーリング)を組み合わせて学びます。
  • 美容所に常勤で補助的な作業に従事する生徒は面接授業の緩和を受けられる場合があり、サロンが勤務の証明を求められることがあります。
  • 免許を取るまでは美容行為を業として行えないため、任せる仕事の範囲に注意が必要です。

美容師免許を取るまでの道のり|養成施設の卒業と国家試験

美容師になるには、都道府県知事が指定した美容師養成施設で決められた期間以上学び、美容師試験に合格したうえで、厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。

美容師法第3条は、美容師試験に合格した者は厚生労働大臣の免許を受けて美容師になることができると定めています。また第4条では、美容師試験は、学校教育法第90条に規定する者(高等学校を卒業した人など)であって、都道府県知事の指定した美容師養成施設で厚生労働省令で定める期間以上、必要な知識と技能を修得した人でなければ受けられないとされています。

美容師養成施設の課程には、昼間課程、夜間課程、通信課程の3種類があります。通信課程は、昼間課程または夜間課程を設けている養成施設に限って設けることができるとされています。つまり、通信課程を選ぶ場合も、昼間や夜間の課程を持つ美容学校などの通信課程に入学することになります。

サロンで働きながら免許を目指すスタッフにとっては、平日の日中に毎日通う昼間課程より、自宅学習を中心に進められる通信課程が現実的な選択肢になることが多いと考えられます。ただし、後で説明するとおり、通信課程にも学校に通う面接授業があるため、勤務との両立には計画が欠かせません。

【要点まとめ】
  • 美容師養成施設で学び、美容師試験に合格して免許を受ける
  • 養成施設は都道府県知事が指定する
  • 課程は昼間・夜間・通信の3種類
  • 通信課程は昼間課程や夜間課程を持つ養成施設に設けられている

通信課程の仕組み|修業期間3年、通信授業と面接授業

通信課程の修業期間は3年で、自宅で学ぶ通信授業と、学校に通って学ぶ面接授業(スクーリング)を組み合わせて進めます。

美容師法施行規則では、修業期間は昼間課程と夜間課程が2年、通信課程が3年と定められています。理容師養成施設で決められた期間以上学んだ人は、通信課程で1年6か月とされています。昼間・夜間課程より1年長い期間を見込んでおく必要があります。

美容師養成施設指定規則では、通信課程の授業は通信授業と面接授業によるものとされています。通信授業では、課題の添削による指導を受けながら学びます。面接授業は原則として養成施設の校舎で行われ、美容の実習などを学びます。面接授業の日程や時期は養成施設ごとに異なるため、入学前に年間の予定を確認しておくことが大切です。

サロンにとって知っておきたいのが、美容所に常勤で勤めている生徒への配慮です。厚生労働省の通知では、美容所に常勤として補助的な作業に従事している生徒に対する面接授業の緩和にあたっては、入所時に常勤で従事していることを確認し、入所の途中でも、勤めている美容所から証明の提出を受けるものとしています。常勤から非常勤に変わった場合は、面接授業の緩和の扱いが変わるとされています。スタッフから勤務の証明を頼まれたときに慌てないよう、こうした仕組みがあることを覚えておきましょう。

【要点まとめ】
  • 通信課程の修業期間は3年(昼間・夜間課程は2年)
  • 通信授業と、学校に通う面接授業を組み合わせて学ぶ
  • 面接授業の日程は養成施設ごとに異なるため、事前に確認する
  • 美容所に常勤で補助的な作業に従事する生徒は面接授業の緩和を受けられる場合があり、サロンが証明を出すことがある

美容師国家試験と免許の登録

養成施設を卒業したら、年2回行われる美容師試験を受け、合格後に免許の申請をして美容師名簿に登録されることで、美容師として働けるようになります。

美容師試験は厚生労働大臣が行い、厚生労働大臣が指定した公益財団法人理容師美容師試験研修センターが実施しています。広島県の案内では、試験は年2回実施されています。試験は筆記試験と実技試験に分かれていて、筆記試験の科目は、関係法規・制度、衛生管理、保健、香粧品化学、文化論、美容技術理論、運営管理です。筆記と実技のどちらか一方だけに合格した場合は、申請により、次回の試験に限り、合格した試験が免除されます。

試験に合格したら、免許の申請を行います。美容師法では、美容師の免許は試験に合格した人の申請によって美容師名簿に登録することで行うとされています。理容師美容師試験研修センターの案内では、申請には登録免許税として9,000円分の収入印紙と、登録事務手数料5,200円が必要で、免許証は申請書の受付後おおむね2〜4週間で交付されます。

サロンとしては、試験の時期に合わせて練習の時間を確保したり、試験日前後のシフトに配慮したりすると、スタッフが落ち着いて試験に臨めます。免許証が届いたら、写しを保管し、保健所への従業者の届出が必要かどうかも確認しておきましょう。

【要点まとめ】
  • 美容師試験は年2回、筆記試験と実技試験がある
  • 一方だけ合格した場合は、申請により次回に限り合格した試験が免除される
  • 合格後に申請し、美容師名簿に登録されて免許になる
  • 登録免許税9,000円と登録事務手数料5,200円がかかる

免許を取るまでに任せられる仕事

免許を取るまでの期間は、美容行為を業として行うことはできないため、任せる仕事は美容行為に当たらない範囲にとどめる必要があります。

美容師法第6条は「美容師でなければ、美容を業としてはならない。」と定めています。厚生労働省は、業とは反復継続の意思をもって行うことで有料・無料は問わないとし、染毛やまつ毛エクステンションも美容行為に含まれると説明しています。また、規制改革の提案への回答では、シャンプー等の美容行為は、必要な衛生措置を適切に講じるための知識を修得した美容師が行う必要があるため、無資格者である学生が美容行為を行えることとすることは公衆衛生上適切な措置とは考えていない、としています。

通信課程で学んでいる最中でも、免許を取るまでは無資格であることに変わりはありません。お客様への施術を任せたくなる場面があっても、ルールを守ることがスタッフ本人とお店を守ることにつながります。受付や清掃、準備や片付け、営業時間外のウィッグでの練習など、免許がなくてもできることを中心に、成長の機会をつくりましょう。

どの作業が美容行為に当たるか迷う場合は、自己判断せず、管轄の保健所に確認するのが確実です。お店のルールとして「免許取得前のスタッフに任せる業務の一覧」を作っておくと、先輩スタッフが判断に迷うこともなくなります。

あわせて読みたい:
【要点まとめ】
  • 免許を取るまでは、美容行為を業として行えない
  • シャンプー等も美容行為として扱われている
  • 受付・清掃・準備・営業時間外の練習などで成長の機会をつくる
  • 迷う作業は保健所に確認し、任せる業務の一覧を作っておく

サロンができる支え方|シフト・証明・学びの費用

働きながら3年間学び続けるには、本人の努力だけでなく、サロンが勤務と学習を両立できる環境を整えることが大きな支えになります。

まずはシフトです。面接授業の日程が決まったら早めに共有してもらい、その期間は勤務を調整します。課題の提出が重なる時期や、試験前の時期も、可能な範囲で配慮できると安心です。面接授業の日程を年間で把握しておけば、繁忙期との重なりも事前に調整できます。

次に、勤務の証明です。前の章で紹介したとおり、美容所に常勤で勤めている生徒は、面接授業の緩和を受けるためにサロンからの証明が必要になる場合があります。証明書の依頼があったら、速やかに対応できるよう担当者を決めておきましょう。

学びの費用については、国の教育訓練給付制度も確認しておきたいところです。厚生労働省のリーフレットでは、専門実践教育訓練給付金の対象となる講座の類型に、美容師などの養成施設の課程が例として挙げられています。ただし、給付金を受け取るのは本人で、雇用保険の加入期間などの要件があり、実際に指定を受けている講座かどうかは講座ごとに異なります。通信制の場合は、受講中の生活を支える教育訓練支援給付金の対象外とされている点にも注意が必要です。本人と一緒に、入学を考えている学校やハローワークで確認するとよいでしょう。

あわせて読みたい:
【要点まとめ】
  • 面接授業や試験の日程を早めに共有してもらい、シフトを調整する
  • 勤務の証明の依頼に対応する担当者を決めておく
  • 美容師などの養成施設の課程は、専門実践教育訓練給付金の対象類型に含まれている
  • 給付の対象講座か、本人が要件を満たすかは学校やハローワークで確認する

受験生スタッフとの面談で確認しておくこと

3年間を走り切るには、入学前と在学中に定期的に面談し、学びの進み具合と働き方の希望をすり合わせておくことが大切です。

入学前の面談では、通う予定の学校と面接授業の時期、学費の負担の方法、勤務の形(常勤か非常勤か)を確認します。常勤かどうかは面接授業の緩和にも関わるため、雇用契約の内容と合わせて確認しておきましょう。

在学中は、課題の進み具合や面接授業の予定、困っていることを定期的に聞きます。仕事と学習の両立がつらくなっていないか、早めに気づけるようにすることが目的です。とくに、繁忙期と課題の締め切りが重なる時期は負担が大きくなりやすいため、声をかけるタイミングを決めておくとよいでしょう。

また、免許を取った後にどんな美容師になりたいかを一緒に話しておくと、日々の練習の目標も立てやすくなります。免許取得後のデビューまでの道のりや評価の仕組みをあらかじめ示しておけば、本人も見通しを持って学び続けられます。

あわせて読みたい:
【要点まとめ】
  • 入学前に、学校・面接授業の時期・学費・勤務の形を確認する
  • 在学中は、課題の進み具合や困りごとを定期的に聞く
  • 繁忙期と締め切りが重なる時期は、とくに声をかける
  • 免許取得後のデビューまでの道のりを示し、見通しを共有する

まとめ:3年間の学びを、サロン全体で支える

働きながら美容師免許を取るには、①都道府県知事が指定した養成施設で学び、美容師試験に合格して免許を受ける必要があり、②通信課程は修業期間3年で通信授業と面接授業を組み合わせ、③試験は年2回で合格後に免許を申請し、④免許を取るまでは美容行為を業として行えず、⑤サロンはシフトの調整、勤務の証明、面談などで学びを支えることができます。

まずは、通信課程で学んでいる、またはこれから学ぶ予定のスタッフと面談し、面接授業の予定と、サロンに手伝ってほしいことを聞いてみてください。そのうえで、免許取得前に任せる業務の一覧と、勤務の証明の対応方法を決めておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 美容師の通信課程は何年かかりますか?
A. 美容師法施行規則では、通信課程の修業期間は3年と定められています。昼間課程と夜間課程は2年です。理容師養成施設で決められた期間以上学んだ人は、通信課程で1年6か月とされています。修了後に美容師試験に合格し、免許を申請して美容師名簿に登録されることで、美容師として働けるようになります。
Q. 通信課程にスクーリングはありますか?
A. あります。美容師養成施設指定規則では、通信課程の授業は通信授業と面接授業によるものとされています。面接授業は原則として養成施設の校舎で行われ、美容の実習などを学びます。日程や時期は養成施設ごとに異なるため、入学前に年間の予定を確認し、勤務先のサロンにも早めに共有しておくと両立しやすくなります。
Q. 免許を取る前のアシスタントにシャンプーを任せてもいいですか?
A. 美容師法では、美容師でなければ美容を業としてはならないとされています。厚生労働省は、シャンプー等の美容行為は必要な衛生措置の知識を修得した美容師が行う必要があり、無資格の学生が美容行為を行うことは適切ではないという考え方を示しています。判断に迷う作業は、管轄の保健所に確認しましょう。
Q. 美容師免許の登録にはいくらかかりますか?
A. 公益財団法人理容師美容師試験研修センターの案内では、免許の申請には登録免許税として9,000円分の収入印紙と、登録事務手数料5,200円が必要です。免許証は申請書の受付後、おおむね2〜4週間で交付されるとされています。必要な書類も案内されているため、試験に合格したら早めに確認して準備しましょう。

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