接骨院・鍼灸院の広告ルール|看板・チラシで書けること・書けないこと
更新日:2026年10月12日
接骨院や鍼灸院の看板やチラシを作るとき、美容サロンと同じ感覚で「肩こり・腰痛に」「初回○○円」と書いてしまうと、法律で認められていない広告になるおそれがあります。接骨院・鍼灸院の広告は、法律で書ける事項が決められているからです。この記事では、看板・チラシに書けること・書けないこと、2025年に示された国のガイドラインでのホームページ・SNSの扱い、予約につなげる導線の考え方を整理します。
- 接骨院・鍼灸院の広告は、あはき法第7条と柔道整復師法第24条で、書ける事項が決められています。
- 看板・チラシに書けるのは、施術者の氏名、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日時、予約制や駐車場など、決められた事項に限られます。
- 症状や効果、料金、「各種保険取扱い」などは広告できない例として示されています。
- 2025年2月の国のガイドラインでは、ホームページは原則として広告とみなさない一方、虚偽や誇大な内容を載せないことが求められています。
接骨院・鍼灸院の広告は「書けること」が法律で決まっている
接骨院・鍼灸院の広告は、書いてはいけないことが決まっているのではなく、書いてよい事項が法律で決められていて、それ以外は広告できない仕組みです。
あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅうについては「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(あはき法)第7条が、柔道整復については柔道整復師法第24条が広告を制限しています。どちらも、誰がどんな方法で行う場合でも、決められた事項以外の広告をしてはならないとしています。施術者本人に限らず、誰が、どんな手段で広告する場合にも、このルールが前提になります。
さらに、施術者の氏名や施術所の名称などの広告できる事項についても、その内容が施術者の技能、施術方法または経歴に関する事項にわたってはならないとされています。名前の横に「○○の専門家」「○○歴20年」と添えるような書き方は、この点に注意が必要です。
違反した場合の罰則も定められていて、あはき法・柔道整復師法のいずれも、該当する規定に違反した者は30万円以下の罰金に処するとしています。美容サロンやリラクゼーションサロンの広告とは前提が大きく違うため、同じ感覚で作らないことが大切です。
- あはき法第7条と柔道整復師法第24条で、広告できる事項が決められている
- 決められた事項以外は、どんな方法でも広告できない
- 広告できる事項でも、技能・施術方法・経歴にわたる内容は書けない
- 違反すると30万円以下の罰金の対象になる
看板・チラシに書けること一覧
看板やチラシに書けるのは、法律の条文と厚生労働大臣の告示で決められた事項です。まずは一覧で確認しておきましょう。
あはき法第7条で広告できるのは、施術者である旨と施術者の氏名・住所、業務の種類、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日または施術時間、そして厚生労働大臣が指定する事項です。告示で指定されている事項は、「もみりようじ」「やいと、えつ」「小児鍼」、出張施術の届出をした旨、医療保険療養費支給申請ができる旨(申請には医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)、予約に基づく施術の実施、休日または夜間における施術の実施、出張による施術の実施、駐車設備に関する事項です。
柔道整復師法第24条で広告できるのは、柔道整復師である旨と氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日または施術時間、そして厚生労働大臣が指定する事項です。告示では、「ほねつぎ(又は接骨)」、出張施術の届出をした旨、医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼または骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)、予約に基づく施術の実施、休日または夜間における施術の実施、出張による施術の実施、駐車設備に関する事項が指定されています。
看板・チラシを作るときは、載せたい文言をすべて書き出し、この一覧のどれに当たるかを一つずつ照らし合わせると、確認漏れを防げます。どれにも当たらない文言は、載せない前提で考えましょう。
あわせて読みたい:- 名称・電話番号・所在地、施術日時、氏名などは広告できる
- 予約制、休日・夜間の施術、出張施術、駐車場も広告できる事項に含まれる
- 療養費の支給申請ができる旨は、医師の同意の明示などの条件付き
- 載せたい文言を書き出し、広告できる事項に当たるか照合する
書けないことの例|症状・効果・料金・保険の表現
看板・チラシでつい書きたくなる「症状」「効果」「料金」「保険が使える」といった表現の多くは、広告できる事項に含まれていません。
症状や施術内容を示す表現は、法律と告示で決められた広告できる事項に含まれていません。高知県は、骨折や腰痛などの適応症を列挙することは「技能」に該当するため広告できないと案内しています。厚生労働省が2025年2月に示したガイドラインの概要資料でも、施術者の技能や施術方法に関する不可の例として「慢性病の根本治療、難病治療の専門」などが挙げられています。兵庫県も、「交通事故治療専門」や「むち打ち専門」といった文言は広告できないとしています。
料金も注意が必要です。施術料金は法律や告示で決められた広告できる事項に含まれておらず、高知県は「料金の表示」を広告可能事項に該当しない例として挙げています。堺市の資料でも、「60分 税込 たったの」という表示が料金表示として不可の例になっています。
保険についても、ガイドラインでは「各種保険取扱い」「労災保険取扱い」「自賠責保険取扱い」といった表示は広告できない例とされています。広告できるのは、医療保険療養費支給申請ができる旨を、医師の同意が必要な旨とあわせて示す場合などに限られます。また、施術所の名称でも、業態名を入れずに「○○治療所」「○○療院」とするものや、「クリニック」「メディカル」など病院・診療所と誤解されるおそれのあるもの、「不妊鍼灸」のように施術内容を含むものは不可の例として示されています。
- 痛みの症状や適応症の列挙、効果をうたう表現は広告できない
- 「交通事故治療専門」なども不可の例として示されている
- 施術料金の表示は、広告できる事項に含まれていない
- 「各種保険取扱い」は不可で、療養費の支給申請ができる旨は条件付き
ホームページ・SNSの扱い|2025年のガイドラインで示されたこと
ホームページは原則として広告とはみなされませんが、SNSの投稿やバナー広告などは広告として扱われる場合があり、ホームページにも載せるべきでない内容が示されています。
厚生労働省は2025年2月18日、あはき・柔整の施術所等の広告について、広告し得る事項と広告適正化のための指導等に関する指針(ガイドライン)を示しました。このガイドラインでは、広告に当たるかどうかを、①利用者を誘引する意図(誘引性)、②施術者や施術所が特定できる(特定性)、③一般の人が認知できる状態(認知性)の3つの要件で判断するとしています。
ウェブサイトは、閲覧する人が自分で検索したりURLを入力したりして見るものなので、認知性を満たさないものとして従来から情報提供や広報として扱ってきたとし、引き続き原則として広告とはみなさないとしています。ただし、バナー広告や、検索サイトでスポンサーとして表示されるもの、SNSでの書き込みなどは、3つの要件を満たせば広告として扱われます。
また、ホームページであっても、内容が虚偽にわたるものや、客観的事実であることを証明できないものは載せるべきでないとされています。概要資料では「絶対に治る施術」「加工、修正した施術前・施術後の写真等の掲載」などが例として挙げられています。一方で、自費施術の内容や費用などは、ホームページに掲載すべき事項として示されています。看板・チラシでは書けない料金も、ホームページでは掲載すべき事項として示されている(関係団体の自主的な取組を促す位置づけ)、という違いを押さえておきましょう。
- 広告かどうかは、誘引性・特定性・認知性の3要件で判断される
- ホームページは、原則として広告とはみなさないとされている
- バナー広告やSNSの書き込みなどは、要件を満たせば広告として扱われる
- ホームページでも虚偽・誇大な内容は載せず、自費施術の内容や費用は掲載する
予約につなげる導線の作り方|書ける情報でどう伝えるか
広告で書ける情報は限られていますが、予約制であることや施術日時、連絡先は広告できるため、看板・チラシとホームページで役割を分けると、予約につなげやすくなります。
看板・チラシの役割は、施術所の場所と連絡先、受付している日時を正確に伝え、詳しい情報を見てもらう入り口になることです。「予約優先」「夜間・休日も施術」「駐車場あり」など、広告できる事項のなかにも来院のきっかけになる情報はあります。表現を足すよりも、文字の大きさや配置を工夫して、必要な情報が一目で分かるようにするほうが効果的です。
ホームページでは、施術の内容や自費施術の費用、予約の方法を正確に伝えます。初めての人が迷いやすい予約の流れや持ち物、所要時間の目安などを分かりやすく載せておくと、問い合わせの手間も減ります。ただし、ホームページへ誘導するバナー広告などを出すと、リンク先のページも広告として扱われる場合があるとされています。ネット広告を出すときは、リンク先の表現まで確認しておきましょう。
地図アプリの店舗情報やSNSのプロフィールなど、広告に当たるかどうか判断に迷う媒体も増えています。迷ったときは、表現を控えめにしたうえで、次に紹介する自治体の窓口に確認するのが安全です。
あわせて読みたい:- 看板・チラシは、場所・連絡先・受付日時を正確に伝える入り口にする
- 予約優先、夜間・休日の施術、駐車場など、広告できる情報を活かす
- ホームページで施術内容や自費の費用、予約方法を正確に伝える
- バナー広告などのリンク先は広告として扱われる場合がある
迷ったら自治体の窓口に相談する
広告の表現に迷ったときは、施術所の所在地を管轄する自治体の窓口に相談するのが確実です。
厚生労働省は、あはき・柔整の広告に関する相談は、施術所等の所在地を管轄する自治体の窓口に連絡するよう案内しています。国のガイドラインは都道府県や保健所設置市などに向けて示されたもので、広告の指導は自治体が担っています。看板を作り直したり、チラシを大量に印刷したりする前に、原稿の段階で確認しておくと、作り直しの手間と費用を防げます。
相談するときは、看板やチラシの原稿、載せたい文言の一覧を持参すると話が早く進みます。とくに、施術所の名称、症状や施術内容に触れる表現、保険に関する表現、料金の表示は、指摘を受けやすい部分です。
また、開業後に看板やチラシ、ホームページを更新するときも、同じ確認を習慣にしておきましょう。スタッフや外部の制作会社に広告づくりを任せる場合は、このルールを共有しておくことが大切です。法律は「何人も」としているため、制作を任せる側も作る側も、このルールを踏まえておく必要があります。
あわせて読みたい:- 広告の相談先は、施術所の所在地を管轄する自治体の窓口
- 看板やチラシは、原稿の段階で確認しておく
- 名称・症状・保険・料金の表現は、とくに指摘を受けやすい
- 制作を任せる場合も、ルールを共有しておく
まとめ:書ける事項を確認してから広告をつくる
接骨院・鍼灸院の広告は、①あはき法第7条と柔道整復師法第24条で書ける事項が決められていて、②看板・チラシには名称・連絡先・施術日時・予約制などの事項を載せられ、③症状や効果、料金、保険取扱いといった表現は広告できない例とされ、④ホームページは原則として広告とみなされないものの虚偽・誇大な内容は避け、⑤迷ったら自治体の窓口に相談する、という点が要になります。
まずは今使っている看板・チラシ・ネット広告の文言をすべて書き出し、広告できる事項に当たるかを照らし合わせてみてください。当てはまらない表現が見つかったら、自治体の窓口に確認しながら直していきましょう。
よくある質問(FAQ)
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