立ち仕事の腰痛を防ぐサロンの働き方と工夫
立ち仕事の腰痛を防ぐサロンの働き方|作業姿勢・足元・休憩の工夫

立ち仕事の腰痛を防ぐサロンの働き方|作業姿勢・足元・休憩の工夫

更新日:2026年10月19日

美容師やネイリスト、アイリストなど、サロンの仕事は立ったままの作業や前かがみの姿勢が長く続きがちです。立ち仕事による腰痛は、本人の体の問題としてだけでなく、働き方やお店の環境を見直すことで予防につなげられます。この記事では、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」をもとに、サロンで取り入れやすい作業姿勢の工夫、靴やマットなど足元の対策、休憩の取り方、ストレッチのポイントを解説します。

【大事なこと】
  • 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」には、立ち作業についての具体的な対策が示されています。
  • 前かがみや中腰、ひねりなどの姿勢をできるだけ減らし、同じ姿勢を長く続けないことが基本です。
  • 床が硬い場合は、クッション性のある靴やマットで足元への衝撃をやわらげることがすすめられています。
  • 立ち作業では、おおむね1時間に1、2回程度の小休止をとり、脚の屈伸運動などを行うことが望ましいとされています。

立ち仕事の腰痛対策は「腰痛予防対策指針」が参考になる

サロンの立ち仕事による腰痛を防ぐには、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に示された対策を、お店の作業に合わせて取り入れるのが近道です。

この指針は、職場での腰痛予防対策の基本的な進め方を示したもので、2013年(平成25年)6月に改訂されました。指針では、腰痛は特定の業種だけでなく多くの業種や作業で見られるとしており、美容業に限った資料ではありませんが、立ち作業についての対策が具体的に書かれています。立ち作業の例としては「機械・各種製品の組立工程やサービス業等」が挙げられています。

指針の対策は、作業のやり方を見直す「作業管理」、職場の環境を整える「作業環境管理」、腰痛予防体操などの「健康管理」、腰痛の原因や対策を学ぶ「労働衛生教育」などに分かれています。スタッフ一人ひとりの工夫と、お店としての取り組みの両方が必要だということです。この記事では、このうちサロンで取り入れやすい内容を中心に紹介します。

【要点まとめ】
  • 厚生労働省の腰痛予防対策指針は2013年6月に改訂された
  • 美容業に限った資料ではないが、立ち作業の対策が具体的に示されている
  • 対策は作業管理、作業環境管理、健康管理、労働衛生教育などに分かれる
  • スタッフ個人の工夫とお店の取り組みの両方が必要

作業姿勢の工夫|前かがみ・中腰・ひねりを減らす

腰への負担を減らすためには、前かがみや中腰、体をひねった姿勢をできるだけとらないようにし、避けられない場合も、その程度と時間を小さくすることが基本です。

指針では、前屈、中腰、ひねりなどの不自然な姿勢をとらないようにすること、そうした姿勢をとらざるを得ない場合は、前屈やひねりの程度をできるだけ小さくし、頻度と時間を減らすことが示されています。また、適宜、台に寄りかかったり、壁に手を着いたりして体を支えることも挙げられています。

サロンの作業に当てはめると、たとえばカットやカラーのときに、スタイリングチェアの高さを調整して、自分がかがみ込まずに作業できる高さにすることが考えられます。指針では、作業台の高さの目安として、肘の曲げ角度がおよそ90度になる高さが示されており、お客様の頭の位置を決めるときの参考になります。ネイルやまつげの施術のように座って行う作業でも、椅子や施術台の高さを合わせ、首や腰を曲げ続けない姿勢を意識しましょう。お客様の向きを変えたいときは、自分の体をひねるのではなく、椅子を回したり足を踏み出して体ごと向きを変えたりすると、ひねりを減らせます。

【要点まとめ】
  • 前屈、中腰、ひねりなどの姿勢をできるだけ避ける
  • 避けられない場合は、程度を小さくし、頻度と時間を減らす
  • 作業の高さは、肘の曲げ角度がおよそ90度になる高さが目安
  • 向きを変えるときは、体をひねらず体ごと動く

足元の工夫|靴・マット・足台で負担をやわらげる

立ち仕事の腰痛予防では、足に合った靴を選び、床が硬い場合はクッション性のある靴やマットで衝撃をやわらげることが大切です。

指針では、作業時の靴は足に適合したものを使用すること、腰に著しい負担のかかる作業を行う場合にはハイヒールやサンダルを使用しないことが示されています。また、立ち作業の対策として、床面が硬い場合は立っているだけでも腰への衝撃が大きいため、クッション性のある作業靴やマットを利用して衝撃を緩和することが挙げられています。

長く立って作業するときには、片足を乗せておける足台を使うことも示されています。両脚をあまり動かさない作業では、適当な高さの片足置き台を使い、片足ずつ乗せ替えると、同じ姿勢が続くのを防げます。サロンでは、シャンプー台の前やスタイリングチェアの周りなど、長く立つ場所にマットを敷く、足台を置くといった方法が考えられます。ただし、マットや足台は移動の邪魔になったり、つまずきの原因になったりしないよう置き場所に注意しましょう。シャンプーや薬剤を扱う作業では、手荒れに悩む美容師もいます。手のケアについては、次の記事で紹介しています。

あわせて読みたい:
【要点まとめ】
  • 作業時の靴は、足に適合したものを使う
  • 床が硬い場合は、クッション性のある靴やマットで衝撃を緩和する
  • 長く立つときは、片足を乗せる足台を使い、乗せ替える
  • マットや足台はつまずきの原因にならないよう置き場所に注意する

休憩と姿勢の切り替え|1時間に1、2回の小休止を目安に

立ち作業では、同じ姿勢を長く続けないことが重要で、指針はおおむね1時間に1、2回程度の小休止をとることを目安として示しています。

指針では、立ち作業を行う場合には、おおむね1時間につき1、2回程度の小休止・休息をとり、脚の屈伸運動やマッサージなどを行うことが望ましいとしています。解説では、小休止をとって脚の屈伸運動などを行うことは、脚の血液の循環を改善するために有効だとされています。また、座面の高い椅子などを置いて、立った姿勢に加え、座った姿勢でも作業ができるようにすることも示されています。

法令でも、労働安全衛生規則で、持続的に立って仕事をする労働者が就業中にしばしば座ることのできる機会があるときは、利用できる椅子を備えなければならないと定められています。サロンでは、予約と予約の間の準備時間に座って作業できる場所を用意する、カラーの放置時間などに短く脚を動かす、といった形で取り入れられます。オーナーは、予約を詰め込みすぎてスタッフが休む間もない状態にならないよう、予約枠やシフトの組み方を見直すことも大切です。シフトの組み方は、次の記事も参考にしてください。

あわせて読みたい:
【要点まとめ】
  • 立ち作業は、おおむね1時間に1、2回程度の小休止が望ましいとされている
  • 小休止では、脚の屈伸運動やマッサージなどを行う
  • 座面の高い椅子などで、座っても作業できるようにする
  • 予約枠やシフトを見直し、休む時間を確保する

腰痛予防体操(ストレッチ)のポイント|反動をつけずにゆっくり伸ばす

腰痛予防体操は、筋肉の疲れの回復や柔軟性を高め、リラックスすることを目的に行うもので、反動をつけずにゆっくり伸ばすストレッチが中心です。

指針では、筋疲労回復、柔軟性、リラクセーションを高めることを目的として、腰痛予防体操を実施させることが示されています。解説では、ストレッチングを主体とするものが望ましいとされ、次のようなポイントが挙げられています。

  • 静的なストレッチング(反動をつけずにゆっくり伸ばす方法)を行う
  • 20秒から30秒伸ばし続け、一度に1回から3回ほど伸ばす
  • 息を止めずに、ゆっくりと吐きながら伸ばす
  • 反動やはずみはつけない

ただし、急性期の腰痛で痛みがある場合や、回復期で痛みが残る場合には、ストレッチを行うかどうかを医師と相談することとされています。痛みが続く場合は、無理をせず医療機関を受診しましょう。厚生労働省の「腰痛予防対策」のページでは、体操の動画や、腰痛を防ぐ職場の好事例集、腰痛予防のチェックリストも紹介されています。朝礼や休憩の時間に、スタッフ全員で取り入れるのもよい方法です。

【要点まとめ】
  • 腰痛予防体操は、筋疲労回復・柔軟性・リラクセーションが目的
  • 静的なストレッチで、20〜30秒伸ばし、1〜3回行う
  • 息を止めず、反動をつけずにゆっくり伸ばす
  • 痛みがあるときは、行うかどうかを医師と相談する

お店全体で取り組む腰痛対策|環境・ルール・相談しやすさ

腰痛予防は、スタッフ個人の努力だけに任せず、作業環境やお店のルール、相談しやすい雰囲気づくりまで含めてお店全体で取り組むことが大切です。

指針では、作業環境について、寒さにさらされることは腰痛を悪化させたり発生させやすくしたりするため作業場内の温度を適切に保つこと、足元や周囲の安全が確認できるよう適切な照度を保つことなどが示されています。床面は、凹凸が少なく、滑りにくく、弾力性があるものが望ましいとされています。冬場の店内の温度や、シャンプー台周りの床の滑りやすさを点検してみましょう。

また、指針では、作業の手順や時間を定めた「作業標準」をつくり、定期的に見直すことや、腰痛の発生要因や予防策についての教育を行うことも示されています。サロンでは、シャンプーの姿勢や、重い荷物の運び方をスタッフ間で共有しておくとよいでしょう。腰の痛みを抱えたまま我慢して働き続けることがないよう、体の不調を相談しやすい雰囲気をつくることも、オーナーの大切な役割です。閉店後の作業を減らして体を休める時間を確保する方法は、次の記事で紹介しています。

あわせて読みたい:
【要点まとめ】
  • 作業場の温度を適切に保ち、足元が見える明るさを確保する
  • 床は凹凸が少なく、滑りにくく、弾力性があるものが望ましい
  • 作業の手順を決めてスタッフ間で共有し、定期的に見直す
  • 体の不調を相談しやすい雰囲気をつくる

まとめ|姿勢・足元・休憩を見直して腰を守る

サロンの立ち仕事による腰痛は、厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」を参考に、前かがみやひねりを減らす作業姿勢、クッション性のある靴やマット、足台の活用、おおむね1時間に1、2回程度の小休止、反動をつけないストレッチを取り入れることで予防につなげられます。

あわせて、オーナーは予約枠やシフト、店内の温度や床の状態など、お店の環境を見直すことが大切です。スタッフが体の不調を相談しやすいお店であることが、長く元気に働ける職場につながります。痛みが続く場合は、無理をせず医療機関を受診してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 立ち仕事で腰痛を防ぐにはどうすればいいですか?
A. 厚生労働省の腰痛予防対策指針では、前かがみや中腰、ひねりなどの姿勢をできるだけ避け、同じ姿勢を長く続けないことが示されています。あわせて、足に合った靴やクッション性のあるマットの利用、片足を乗せる足台、こまめな小休止とストレッチを取り入れると、腰への負担を減らすことにつながります。
Q. 立ち仕事の休憩はどのくらいの頻度でとるとよいですか?
A. 厚生労働省の腰痛予防対策指針では、立ち作業を行う場合、おおむね1時間につき1、2回程度の小休止・休息をとり、脚の屈伸運動やマッサージなどを行うことが望ましいとしています。サロンでは、予約の合間の準備時間や施術の待ち時間に、短く座ったり脚を動かしたりする形で取り入れられます。
Q. 立ち仕事にはどのような靴を選べばいいですか?
A. 厚生労働省の腰痛予防対策指針では、作業時の靴は足に適合したものを使用し、腰に著しい負担のかかる作業ではハイヒールやサンダルを使わないこととされています。また、床が硬い場合は、クッション性のある作業靴やマットで衝撃を緩和することがすすめられています。長時間立つ日は、とくに足元を見直しましょう。
Q. 腰が痛いときにストレッチをしてもいいですか?
A. 厚生労働省の腰痛予防対策指針の解説では、急性期の腰痛で痛みがある場合や、回復期で痛みが残る場合には、ストレッチを行うかどうかを医師と相談することとされています。痛みがあるときは自己判断で無理に伸ばさず、医療機関を受診しましょう。予防のためのストレッチは、反動をつけずにゆっくり行います。

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