ヘアカラーのアレルギーとパッチテスト|サロンに求められる確認と説明
更新日:2026年9月14日
- 酸化染毛剤は、使用前に毎回のセルフテストを求める唯一の製品とされています。
- これまで異常がなかった方でも、続けるうちにアレルギー性接触皮膚炎になることがあるとされています。
- 一度でもかぶれた方は、以後の使用もパッチテストの実施も避けるべきとされています。
- 理美容師には、過去の異常の有無と当日の肌の状態を確認することが求められています。
- 適さない方には、リスクを説明したうえで代替案を提案することが求められています。
酸化染毛剤は、他の製品とは扱いが違います
結論として、酸化染毛剤は医薬部外品と化粧品のなかで特別な位置づけにあります。使用前に毎回のセルフテストを求めている製品は、ほかにないとされています。
根拠は、消費者安全調査委員会が2015年10月23日に公表した「毛染めによる皮膚障害」に関する報告書です。この報告書には、医薬部外品および化粧品のなかで、消費者に対して使用前に毎回必ずセルフテストを実施することを求める製品は染毛剤のみである、という趣旨の記述があります。
報告書はあわせて、次のような点も指摘しています。酸化染毛剤は最も広く使用されている製品であるとともに、最もアレルギー性接触皮膚炎になりやすい製品であるとされています。治療に30日以上を要する症例が見られ、全身症状を呈することもあるとされています。
具体的に押さえておきたいのは、次の2点です。これまでに異常を感じたことのない方であっても、継続的に毛染めを行ううちにアレルギー性接触皮膚炎になることがあるとされていること。そして、一度症状が治まっても、再度使用すれば発症し、次第に症状が重くなるとされていることです。
注意点として、「これまで大丈夫だったから今回も大丈夫」という考え方は、公的な見解と整合しません。長年のお客様であっても、状況は変わり得るという前提で臨む必要があります。
- 酸化染毛剤は、毎回のセルフテストを求める唯一の製品とされています。
- 最も広く使われ、かつ最もアレルギー性接触皮膚炎になりやすい製品とされています。
- これまで異常がなかった方でも、続けるうちに発症することがあるとされています。
- 一度治まっても再使用すれば発症し、症状が重くなるとされています。
理美容師に求められている3つのこと
結論として、厚生労働省の通知により、理容師・美容師には3つの対応が求められています。
2015年10月23日付で厚生労働省の生活衛生課長から都道府県等に発出された通知には、理容師・美容師について次の内容が示されています。
- コミュニケーションを通じて、酸化染毛剤やアレルギーの特性、対応策等について顧客への情報提供を行うこと
- 顧客が過去に毛染めで異常を感じた経験の有無や、施術当日の顧客の肌の健康状態等、酸化染毛剤の使用に適することを確認すること
- 酸化染毛剤を用いた施術が適さない顧客に対しては、リスクを丁寧に説明するとともに、酸化染毛剤以外のヘアカラーリング剤を用いた施術等の代替案を提案すること等により、酸化染毛剤を使用しないこと
その前提として、理容師および美容師は、酸化染毛剤やアレルギーの特性、対応策等について確実に知識として身に付けること、ともされています。
具体的に、サロンの実務に落とすと次のようになります。カウンセリングシートに「過去に毛染めでかゆみ・赤み・かぶれなどの異常が出たことがあるか」の項目を設ける。施術当日に頭皮や首元の状態を目視で確認する。異常の経験がある方には、酸化染毛剤を使わない選択肢を提示する。
注意点として、3つ目の要請は「代替案を提案したうえで酸化染毛剤を使用しない」という内容です。お客様が強く希望された場合でも、過去にかぶれた経験があるのであれば、施術をお断りする判断が求められる場面がある、ということになります。
あわせて読みたい:- 顧客への情報提供、使用に適するかの確認、代替案の提案の3つが求められています。
- 確認すべきは過去の異常の経験と、施術当日の肌の健康状態です。
- 適さない方には代替案を提案し、酸化染毛剤を使用しないこととされています。
- 希望されてもお断りする判断が求められる場面があります。
パッチテストの位置づけと、正しい手順
結論として、パッチテストは美容師法が直接義務づけたものではなく、製品の使用上の注意にもとづくものです。この違いは正確に理解しておく必要があります。
理由は、根拠の所在にあります。染毛の効能効果をうたう頭髪用外用剤は医薬部外品にあたり、その使用上の注意として「アレルギー反応による危害を防止するため、使用前に毎回必ず皮膚アレルギー試験(パッチテスト)を実施すること」という記載が求められています。これは製造販売業者に対する表示のルールです。一方、理容所および美容所における衛生管理要領には、パッチテストの実施に関する規定はありません。
つまり整理すると、法令が美容師に直接義務づけているものではありませんが、製品の使用上の注意として毎回の実施が求められており、行政の通知でも理美容師への周知が図られている、という位置づけになります。
手順として一般に示されているのは、次の流れです。
- ヘアカラーの48時間前に、毎回実施する
- 1剤と2剤を少量ずつ指定の割合で取り出し、綿棒などで混ぜてテスト液を作る
- 腕の内側に10円硬貨大にうすく塗り、自然に乾燥させる
- 絆創膏等で覆わない
- 塗布後30分程度の間と、48時間後の2回観察する
- 発疹、発赤、かゆみ、水疱、刺激などの異常があれば、こすらずただちに洗い落とし、ヘアカラーは行わない
- 48時間経過後、異常がなければ施術する
覆わない理由については、覆うと感作を促したり、過度のアレルギー反応を引き起こしたりするおそれがあるためとされています。
注意点として、極めて重要な例外があります。一度でも染毛剤でかぶれたことがある方は、以後の使用は避けるべきとされており、パッチテストも実施しないこととされています。「不安ならパッチテストを」という案内は、この点で誤りになります。過去に異常があった方には、パッチテストではなく、酸化染毛剤を使わない選択肢を示すのが正しい対応です。
- パッチテストは美容師法上の義務ではなく、製品の使用上の注意にもとづくものです。
- 手順は施術の48時間前、腕の内側に10円硬貨大、絆創膏等で覆わない、が基本です。
- 観察は塗布後30分程度と48時間後の2回とされています。
- 一度でもかぶれた方は、使用もパッチテストも避けるべきとされています。
製品による違いを、正確に伝える
結論として、ヘアカラーリング剤は法律上の区分と作用が異なり、アレルギーのリスクにも差があるとされています。ただし「安全」と言い切れる製品はありません。
公的機関や業界団体の説明にもとづく整理は次のとおりです。
- 酸化染毛剤(医薬部外品の染毛剤):一般にヘアカラー、白髪染めと呼ばれるもの。酸化染料はアレルギー性接触皮膚炎を引き起こしやすい物質とされています。色持ちの目安は2〜3か月とされています。
- 脱色剤・脱染剤(医薬部外品):ブリーチなど。酸化染料を含まないため、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こすことは少ないとされています。
- ヘアマニキュア(化粧品の染毛料・酸性染料):酸化染毛剤と比べると、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こすことは少ないとされています。色持ちの目安は2〜4週間とされています。
- カラートリートメント・カラーリンス(化粧品):髪の表層に徐々に色が蓄積するもので、黒髪を明るくすることはできないとされています。
- 一時染毛料(化粧品):ヘアカラースプレーなど。1回から数回のシャンプーで落ちるとされ、アレルギー性接触皮膚炎になったり髪を傷めたりする可能性はほとんどないとされています。
具体的に、代替案を提案する場面では、この違いを説明したうえで、色持ちや明るさの差も含めてお伝えする必要があります。「かぶれにくいものに変えましょう」だけでは、仕上がりへの期待とのズレが生じかねません。
注意点として、公的な記述は「引き起こすことは少ない」であり、ゼロではありません。「ヘアマニキュアなら安全です」といった言い方は避けるべきです。
あわせて読みたい:- 酸化染毛剤の酸化染料は、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こしやすいとされています。
- ヘアマニキュアは酸化染毛剤と比べると引き起こすことは少ないとされています。
- 色持ちや明るさの違いもあわせて説明する必要があります。
- 「少ない」であってゼロではないため、安全と言い切る表現は避けます。
2026年5月、ヘナ製品に関する注意喚起が出ました
結論として、国民生活センターが2026年5月20日に、酸化染料を含むヘナ製品によるアナフィラキシーについて注意喚起を行いました。サロンでの施術に直接関わる内容です。
公表された内容によれば、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)には、2020年4月以降に受け付け2026年3月31日までに登録された約6年間で、ヘナ製品に関する相談が209件寄せられ、そのうちアレルギーなどの危害があったものは49件とされています。
この危害情報49件を販売購入形態別に見ると、美容所や理容所での役務提供と店舗での商品販売を含む「店舗購入」27件のうち、25件(93%)が役務提供によるものだったとされています。つまり、危害の多くがサロンでの施術に関連して起きていることになります。
テスト結果としては、かつら用として販売されていた3銘柄すべてからパラフェニレンジアミンが検出され、その含有量は9.0%から11.9%だったとされています。頭髪用の3銘柄からは酸化染料等は検出されなかったとされています。
具体的な注意点として、ヘナは植物由来の色素を含み、通常は茶色から赤褐色に染まるとされています。黒色に染めることを目的として酸化染料が加えられる場合があるという点が、今回の注意喚起の核心です。「ヘナだから天然で安心」とは限らない、ということになります。
あわせて示された注意事項として、かつら用の製品は絶対に頭髪に使用しないこと、美容所での施術時には頭髪用であることを必ず確認することが挙げられています。医師のコメントとして、酸化染料を含む製品では発色により紅斑が見えにくく、少量でも即時型アレルギーを誘発する危険があるとされ、自己判断での実施には限界があり、アレルギーの経験がある方は実施前に医師へ相談が必要とされています。
- 2026年5月20日に、ヘナ製品に関する注意喚起が公表されました。
- ヘナ製品の相談209件のうち、危害があったものは49件とされています。
- 店舗購入の危害27件のうち25件(93%)が役務提供によるものでした。
- 使用する製品が頭髪用であることの確認が求められています。
サロンとして備えておきたいこと
結論として、備えるべきは「確認の仕組み」「説明の記録」「起きたときの対応」の3つです。
理由は、公的機関が示している要請が、いずれも記録に残る形でなければ実行の証明が難しいためです。
1. 問診項目を固定する
カウンセリングシートに、過去に毛染めで異常が出た経験の有無、当日の頭皮や首元の状態、当日の体調を確認する項目を入れます。口頭で聞くだけでなく、記入または記録として残す形にします。
2. 説明した内容を記録する
パッチテストについて案内したこと、リスクを説明したこと、代替案を提示したこと。これらを施術記録に残しておきます。同意書を用いるサロンもありますが、業界団体が定めた統一の様式があるわけではないため、内容は自店で整えることになります。
3. 異常が出たときの対応を決めておく
施術中や施術後に異常を感じられた場合は、使用を中止し、医療機関の受診をおすすめするのが公的機関の示す対応です。誰が対応するのか、どこに記録するのか、どのタイミングでオーナーへ報告するのかを、あらかじめ決めておきます。
注意点として、万一に備えた保険の確認もしておく価値があります。業界団体である全日本美容業生活衛生同業組合連合会には、美容所でお客様の身体や持ち物に損害を与えたときの補償を受けられる制度があり、各都道府県の美容組合を通じて申し込む形になっています。自店が加入している保険の補償範囲を、この機会にご確認ください。
【導入サロンの声】The C様(ヘアサロン)紙カルテの廃止を機に電子カルテ機能を活用。3社併用していた自社予約も一本化し、来店したお客様はほぼ全員がアプリで会員登録する運用に。次回予約を忘れたお客様にも、アプリ上ですぐ確認・変更してもらえるようになったといいます。
▶ 導入事例インタビュー:予約管理の最適解を公開中|現場の声から分かった解決策とは?
あわせて読みたい:- 問診項目を固定し、口頭ではなく記録として残します。
- 説明した内容と代替案の提示を、施術記録に残します。
- 異常時は使用を中止し、医療機関の受診をおすすめします。
- 業界団体の補償制度もあり、自店の保険の補償範囲を確認しておきます。
まとめ:確認する項目を決めて、記録に残す
酸化染毛剤は、医薬部外品と化粧品のなかで唯一、使用前に毎回のセルフテストを求める製品とされています。これまで異常のなかった方でも発症することがあり、一度かぶれた方は以後の使用もパッチテストも避けるべきとされています。
理美容師に求められているのは、顧客への情報提供、過去の異常の経験と当日の肌の状態の確認、そして適さない方への代替案の提案です。この3つを、カウンセリングシートと施術記録という形で仕組みに落とし込むのが、現実的な備えになります。
2026年5月には、ヘナ製品によるアナフィラキシーについての注意喚起も公表されました。危害の多くがサロンでの施術に関連していることが示されており、使用する製品が頭髪用であることの確認も求められています。まずは自店のカウンセリングシートに確認項目が入っているかを見直すところから始めてみてください。判断に迷う点は、所管の保健所や加入している業界団体へご相談ください。
FAQ:ヘアカラーのアレルギーについて、よくある質問
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