スタッフを雇うサロンの年末調整と源泉徴収票|令和8年分の変更点と12月〜1月の段取り
更新日:2026年10月5日
スタッフを雇っているサロンでは、毎年12月に年末調整、1月に源泉徴収票の交付という手続きがやってきます。令和8年分は、基礎控除の引き上げなど税制改正の影響で、例年と計算の中身が変わります。はじめて人を雇ったオーナーはもちろん、毎年こなしている方も、今年は一度立ち止まって確認しておきたいところです。この記事では、年末調整の対象と流れ、令和8年分の主な変更点、源泉徴収票の作成と提出の期限を順に整理します。
- 年末調整は、給与を支払う事業主が、雇っているスタッフの1年分の所得税を精算する手続きで、個人事業主のオーナー本人の所得は確定申告で精算します。
- 令和8年分は、基礎控除の引き上げ、給与所得控除の最低保障額の74万円への引き上げ、扶養親族等の所得要件の62万円への引き上げなどが反映されます。
- 改正は原則として令和8年12月1日に施行され、11月までの源泉徴収事務は変わらず、12月の年末調整で改正後の税額に精算します。
- 令和8年分の源泉徴収票の交付と給与支払報告書の提出は、令和9年2月1日が期限です。
年末調整とは|スタッフの1年分の所得税を精算する手続き
年末調整は、給与を支払っている事業主が、スタッフ一人ひとりの1年分の所得税を計算し直し、毎月の給与から差し引いた税額との差を精算する手続きです。
毎月の給与から差し引く源泉所得税は、あくまで見込みの金額です。年の途中で扶養する家族が増えたり、生命保険料を支払ったりしていると、1年分の正しい税額とずれが生じます。このずれを12月にまとめて整えるのが年末調整です。
国税庁によると、年末調整の対象になるのは、1年を通じて勤務している人や、年の途中で就職して年末まで勤務している人です。一方、1年間の給与の総額が2,000万円を超える人などは対象になりません。また、所得税法では、年末調整は「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した人を前提とした手続きとして定められています。
ここで押さえておきたいのは、個人事業主として経営しているサロンのオーナー本人は、年末調整の対象ではないという点です。個人事業主のオーナーの所得税は、事業の所得とあわせて翌年の確定申告で精算するのが基本です。一方、法人のサロンで役員報酬を受け取っているオーナーは、給与の支払を受ける立場になるため、要件を満たせば年末調整の対象になります。自店がどちらにあたるかを確認しておくと、全体が整理しやすくなります。
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- 1年を通じて勤務している人や、年の途中で入社して年末まで勤務している人が対象
- 給与の総額が2,000万円を超える人などは対象外
- 個人事業主のオーナー本人は確定申告で精算し、役員報酬を受け取る法人のオーナーは対象になりうる
令和8年分の年末調整の主な変更点
令和8年分の年末調整では、令和8年度の税制改正により、控除額や所得要件の数字が変わります。例年どおりの感覚で計算すると、誤りにつながるおそれがあります。
国税庁によると、令和8年度の税制改正による主な改正点は、基礎控除の引き上げ、給与所得控除の最低保障額の引き上げ、扶養親族等の所得要件の改正です。給与所得控除の最低保障額は、65万円から74万円に引き上げられました。このほか、令和7年度の税制改正で創設された、年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例も、令和8年分から適用されます。
基礎控除は、合計所得金額の区分ごとに額が決まっています。令和8年分では、合計所得金額489万円以下は104万円、489万円超655万円以下は67万円、655万円超2,350万円以下は62万円とされています。また、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件は58万円以下から62万円以下に、勤労学生の所得要件は85万円以下から89万円以下に引き上げられています。
これらの改正は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。国税庁は、令和8年11月までの源泉徴収事務に変更は生じず、12月に行う年末調整など、12月以後の事務に変更が生じると案内しています。つまり、1月から11月までは従来の税額で源泉徴収し、12月の年末調整で改正後の税額に精算するという流れです。
- 基礎控除は合計所得金額489万円以下で104万円など、区分ごとに引き上げ
- 給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円に
- 扶養親族等の所得要件は62万円以下、勤労学生は89万円以下に
- 11月までの源泉徴収は変わらず、12月の年末調整で精算する
年末調整の段取り|11月から12月にやること
年末調整は、①申告書の配布と回収、②計算、③精算と納付、の3段階で進めます。スケジュールを先に決めておくと、12月の忙しい時期でも慌てずに済みます。
まず11月ごろに、スタッフへ申告書を配って記入してもらいます。令和8年分で主に使うのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」です。住宅ローン控除を受けるスタッフは、住宅借入金等特別控除申告書も必要になります。生命保険料や地震保険料の控除証明書も、あわせて提出してもらいます。
回収した申告書をもとに、1年分の給与と源泉徴収税額を集計し、正しい年税額を計算します。そして、その年の最後に給与を支払うときに、差額を精算します。払いすぎていた分はスタッフに還付し、不足している分は給与から徴収します。
精算後の源泉所得税は、原則として徴収した月の翌月10日までに納付します。スタッフが常時10人未満で「納期の特例」の承認を受けている場合は、7月から12月分をまとめて翌年1月20日までに納付します。国税庁の案内では、令和8年分の年末調整分の納付期限は、納期の特例を受けていない場合は令和9年1月12日、受けている場合は令和9年1月20日とされています。
あわせて読みたい:- 11月ごろに申告書を配布し、控除証明書とあわせて回収する
- 令和8年分は特定親族特別控除申告書を含む正式名称の申告書を使う
- その年最後の給与で過不足を精算する
- 令和8年分の年末調整分の納付は令和9年1月12日(納期の特例は1月20日)まで
源泉徴収票の作成・交付と給与支払報告書の提出
年末調整が終わったら、スタッフ一人ひとりの源泉徴収票を作成し、翌年1月31日までに交付します。令和8年分は1月31日が日曜日にあたるため、令和9年2月1日が期限とされています。
所得税法第226条では、給与の支払者は、源泉徴収票を作成し、翌年1月31日まで(年の途中で退職した人は退職の日以後1か月以内)に、給与の支払を受ける人に交付しなければならないと定められています。源泉徴収票は、スタッフが住宅ローンを組むときや転職するとき、確定申告をするときに必要になる大切な書類です。
あわせて、市区町村への「給与支払報告書」の提出も必要です。地方税法では、1月1日現在において給与の支払をする者で所得税の源泉徴収義務があるものは、1月31日までに給与支払報告書を市町村長に提出しなければならないとされています。令和8年分の提出期限も令和9年2月1日です。
税務署への源泉徴収票の提出については、変更があります。国税庁によると、令和9年1月1日以後に市区町村に給与支払報告書を提出した場合には、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされ、税務署提出用の源泉徴収票を作成・提出する必要がなくなるとされています。ただし、スタッフ本人への交付は引き続き必要です。
- 源泉徴収票は翌年1月31日までに交付(令和8年分は令和9年2月1日)
- 年の途中の退職者には退職日以後1か月以内に交付する
- 市区町村への給与支払報告書の提出期限も同じ日
- 令和9年1月1日以後は給与支払報告書の提出で税務署提出とみなされるが、本人への交付は必要
パート・アルバイトのスタッフで気をつけたい点
パートやアルバイトのスタッフがいるサロンでは、年末調整の対象かどうか、扶養の範囲に収まっているかを一人ずつ確認することが大切です。
まず確認したいのは、扶養控除等申告書を提出しているかどうかです。扶養控除等申告書はほかの勤務先に出していて、自店が「従たる給与」の支払先になっている場合は、自店では年末調整を行いません。掛け持ちのスタッフがいる場合は、どちらの勤務先に申告書を出しているかを確認しておきましょう。
次に、年の途中で退職したスタッフです。国税庁によると、年の途中で退職した人は原則として年末調整の対象になりませんが、その年に支払う給与の総額が136万円以下で、退職後にほかの勤務先から給与を受ける見込みがない人などは、年の途中でも年末調整を行うとされています。
また、令和8年分では扶養親族等の所得要件が62万円以下に引き上げられています。国税庁の資料では、給与だけの場合、給与収入136万円以下がこの所得要件の目安とされています。家族の扶養に入っているスタッフから「今年はいくらまで働けるか」と相談されることもありますが、家族の勤務先での扱いや社会保険の基準は税金とは別に決まるため、個別の判断は家族の勤務先や専門家に確認してもらうのが確実です。
- ほかの勤務先に扶養控除等申告書を出しているスタッフは自店では年末調整しない
- 年の途中の退職者は原則として対象外だが、条件によっては年末調整を行う
- 扶養親族等の所得要件は62万円以下(給与だけなら収入136万円以下が目安)
- 社会保険の扶養の基準は税金とは別に決まる
まとめ:11月に申告書、12月に精算、1月に源泉徴収票
スタッフを雇うサロンの年末調整は、①雇っているスタッフの所得税を事業主が精算する手続きで、②令和8年分は基礎控除や給与所得控除の最低保障額などの改正が反映され、③11月に申告書を回収し、12月の最後の給与で精算し、④令和9年2月1日までに源泉徴収票の交付と給与支払報告書の提出を行う、という流れで進めます。
まずは、スタッフ全員の扶養控除等申告書が手元にそろっているか、今年入社・退職したスタッフがいないかを確認してみてください。計算に給与計算ソフトを使う場合は、令和8年分の改正に対応した版になっているかも確かめておきましょう。判断に迷う点は、国税庁の「年末調整がよくわかるページ」や税理士に確認すると安心です。
よくある質問(FAQ)
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