サロンの償却資産申告|美容椅子や洗面設備は対象?1月31日までにやること
更新日:2026年10月5日
年が明けると、市区町村から「償却資産申告書」が届いて戸惑うサロンオーナーは少なくありません。償却資産申告は、事業に使う設備や備品について、毎年1月1日時点で持っているものを市町村に申告する手続きです。所得税の確定申告とは別の手続きで、開業したばかりのサロンも対象になります。この記事では、償却資産の意味と申告の期限、サロンで対象になりやすい資産、対象外になるもの、申告の進め方を整理します。
- 償却資産申告は、事業に使う設備や備品などを1月1日時点で所有している人が、1月31日までに所在地の市町村に申告する固定資産税の手続きです。
- 自治体の案内では、理容・美容業の例として美容椅子、洗面設備、消毒殺菌器、ドライヤー、サインポールなどが挙げられています。
- 課税標準額が150万円未満なら原則として固定資産税は課税されませんが、免税点未満でも申告が必要とする自治体があります。
- 取得価額10万円未満で一度に経費にしたものなどは対象外ですが、中小企業者等の少額減価償却資産の特例を使ったものは申告の対象です。
償却資産申告とは|事業用の設備にかかる固定資産税の手続き
償却資産申告とは、土地や建物以外で事業に使っている資産を、毎年1月1日時点の状態で市町村(東京23区では都税事務所)に申告する手続きです。申告した内容をもとに、固定資産税が計算されます。
地方税法では、償却資産は「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産」で、減価償却費が所得税法などの規定で必要経費に算入されるものと定義されています。ただし、特許権などの無形の資産や、自動車税・軽自動車税の対象になる自動車などは除かれます。
固定資産税の賦課期日は1月1日とされており、その日に償却資産を所有している人が申告の対象です。地方税法第383条では、毎年1月1日現在の償却資産について、所在や種類、数量、取得時期、取得価額、耐用年数などを1月31日までに所在地の市町村長に申告しなければならないと定められています。
サロンにとって大切なのは、法人だけでなく個人事業主も対象だという点です。確定申告で減価償却をしている設備があれば、償却資産申告の対象になる可能性があります。確定申告と償却資産申告は窓口も書類も別なので、両方の予定を年間のスケジュールに入れておきましょう。
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- 1月1日時点で所有している資産を、1月31日までに申告する
- 無形の資産や自動車税の対象になる自動車などは除かれる
- 個人事業主のサロンも対象で、確定申告とは別の手続き
サロンで償却資産申告の対象になりやすい資産
サロンでは、施術に使う椅子や洗面設備、看板のように、長く使う設備や備品が対象になりやすい資産です。
東京都主税局の案内では、業種別の主な資産の例として、理容・美容業に「理容・美容椅子、理容・美容用洗面設備、消毒殺菌器、サインポール等」が挙げられています。大阪市の令和8年度の申告の手引では、理・美容椅子、消毒殺菌機、タオル蒸器、洗面設備、ドライヤー、サインポールなどが例示されています。シャンプーに使う洗面設備やセット面の椅子などは、こうした例示にあたる資産と考えられます。
もう一つ見落としやすいのが、テナントで借りた店舗に自分で施した内装や造作です。地方税法第343条第10項では、家屋の所有者以外の人が事業のために取り付けた附帯設備について、取り付けた人を所有者とみなして課税できる仕組みが定められています。東京都の案内でも、賃借人(テナント)が取り付けた内装・内部造作などが申告の対象として示されています。
ただし、どの資産を償却資産として扱うか、建物の一部として扱うかは、自治体の条例や判断によって異なる場合があります。居抜きで取得した設備や、大家さんと費用を分担した内装などは、所在地の自治体の手引きで確認するか、窓口に相談するのが確実です。
あわせて読みたい:- 自治体の例示に、美容椅子、洗面設備、消毒殺菌器、ドライヤー、サインポールなどがある
- テナントが自分で施した内装・造作も申告の対象になりうる
- 償却資産か建物の一部かの扱いは自治体によって異なる場合がある
- 居抜きの設備や費用を分担した内装は自治体に確認する
償却資産申告の対象外になるもの|少額資産の扱いに注意
事業に使う資産でも、すべてが申告の対象になるわけではありません。とくに金額の小さい資産は、経費の処理方法によって扱いが分かれます。
地方税法施行令第49条により、取得価額が10万円未満などで一度に必要経費にしたものや、20万円未満で3年間の一括償却資産として処理したものは、償却資産の対象から除かれます。たとえばコームやクリップのような少額の道具を購入した年に経費として処理している場合、通常は申告の対象になりません。
注意したいのは、中小企業者などが使える「少額減価償却資産の特例」(一定額未満の資産を一度に経費にできる租税特別措置法の特例)を使った資産です。この特例の取得価額の基準は、令和8年度の税制改正で30万円未満から40万円未満に引き上げられています(法人は令和8年4月1日以後の取得分から。所得税も同様とされていますが、個人事業主の適用時期は国税庁の資料や税理士で確認してください)。大阪市の手引では、この特例による損金算入は国税のみの適用とされ、東京都の案内でも、租税特別措置法の規定を適用して即時償却などをしているものは申告の対象とされています。所得税では一度に経費にしていても、償却資産申告には載せる必要があるということです。
確定申告の減価償却の明細を見ながら、「10万円未満で一時に経費にしたもの」「20万円未満の一括償却資産」「少額減価償却資産の特例を使ったもの」を分けて整理しておくと、申告書の作成がスムーズになります。
- 10万円未満で一度に経費にしたものは対象外
- 20万円未満の一括償却資産として処理したものも対象外
- 少額減価償却資産の特例を使ったものは申告の対象(基準は30万円未満から40万円未満に改正)
- 減価償却の明細を処理方法ごとに分けて整理しておく
免税点150万円と申告義務の関係
償却資産の課税標準額が150万円未満であれば、固定資産税は課税されません。ただし、課税されないことと申告しなくてよいことは、同じ意味ではありません。
地方税法第351条では、償却資産の課税標準となるべき額が150万円に満たない場合は、固定資産税を課することができないとされています。これがいわゆる免税点です(財政上の特別の必要がある場合に条例で課税できるただし書があります)。税率は、標準税率で1.4%とされています。
一方で、神奈川県綾瀬市のFAQでは、免税点未満の場合でも、1月1日現在で所有している償却資産の内容を1月31日までに申告する義務があると案内されています。大阪市も、該当する償却資産を所有していない場合もその旨を申告するよう求めています。小規模なサロンで「うちは金額が小さいから関係ない」と考えて申告を省くのではなく、所在地の自治体の案内に沿って申告しておくのが安全です。
なお、評価額の計算では、取得価額と耐用年数から毎年の減価を反映した額を求めますが、東京都の案内では、評価額が取得価額の5%を下回る場合は取得価額の5%が評価額とされています。長く使っている設備も、評価額がゼロになるわけではない点を覚えておきましょう。
- 課税標準額150万円未満は原則として課税されない(免税点)
- 標準税率は1.4%
- 免税点未満でも申告を求める自治体がある
- 評価額は取得価額の5%が下限とされている
償却資産申告の進め方|12月から1月にやること
償却資産申告は、年末年始をはさんだ短い期間に行う手続きです。12月のうちに資産の一覧を整えておくと、1月に慌てずに済みます。
まず、確定申告で使っている減価償却の明細や固定資産台帳をもとに、事業で使っている設備・備品の一覧を作ります。項目は、資産の名称、数量、取得年月、取得価額、耐用年数です。この1年に新しく買ったものと、売却・廃棄したものも洗い出しておきます。
次に、所在地の市区町村から届く申告書や手引きを確認します。届かない場合でも、対象となる資産を持っていれば申告が必要になるため、自治体のウェブサイトで様式を確認しましょう。前年に申告している場合は、増えた資産と減った資産だけを記入する形式が一般的です。自治体によっては電子申告にも対応しています。
期限は1月31日で、土日にあたる年は翌開庁日を期限とする自治体があります。たとえば大阪市の令和8年度の手引では、令和8年2月2日(月)が申告期限とされていました。毎年の期限は自治体の案内で確認し、開業した年の翌年1月には忘れずに申告してください。
あわせて読みたい:- 減価償却の明細をもとに資産の一覧を作る
- この1年に増えた資産と減った資産を洗い出す
- 申告書が届かなくても、対象資産があれば申告が必要
- 期限は1月31日が基本で、土日の年は自治体の案内で確認する
まとめ:確定申告の明細を、償却資産申告にも使う
サロンの償却資産申告は、①事業用の設備・備品を1月1日時点で所有している人が1月31日までに申告する手続きで、②美容椅子や洗面設備、ドライヤー、テナントが施した内装などが対象になりやすく、③10万円未満で一時に経費にしたものや一括償却資産は対象外、少額減価償却資産の特例を使ったものは対象、④免税点150万円未満でも申告を求める自治体がある、という点を押さえておけば全体像がつかめます。
まずは、確定申告で使っている減価償却の明細を開き、施術設備や内装がどう処理されているかを確認してみてください。そこから資産の一覧を作れば、償却資産申告の準備の大半は終わります。判断に迷う資産は、所在地の自治体の窓口や税理士に相談すると安心です。
よくある質問(FAQ)
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