サロンの外国人スタッフ受け入れ|採用・育成と在留資格の基礎
更新日:2026年7月6日
美容師不足が深刻ななか、外国人材を戦力にできないか——そう考えるサロンが増えています。ただ、ここには大きな落とし穴があります。「在留資格があれば誰でも美容師として働ける」わけではないのです。制度を誤解したまま採用すると、知らぬ間に法律に触れてしまうこともあります。この記事では、2026年6月時点の情報をもとに、外国人スタッフを受け入れる際の在留資格の現実と、採用・定着の基礎を整理します。制度は改正が続くため、最終的な可否は専門家や公的機関への確認を前提にお読みください。
- 美容師(施術)は「技術・人文知識・国際業務」では原則就労できません。
- 技能実習にも特定技能にも、美容業は対象として含まれていません。
- 施術者として働けるのは主に、永住者など身分系の在留資格や、留学生等の資格外活動許可です。
- 在留カードでの就労可否確認は必須。怠ると不法就労助長のリスクがあります。
- 制度は改正が続くため、最新情報と専門家・出入国在留管理庁への確認を前提にします。
人手不足のなかの、外国人材という選択肢
美容業界の人手不足は、年々重くなっています。採用しても定着しない、応募そのものが集まらない。打ち手のひとつとして、外国人スタッフの採用を検討するサロンが出てきているのは自然な流れです。
実際、受付や海外向けの広報、インバウンド対応など、活躍の場は施術以外にも広がっています。多様な人材が加わることで、店の雰囲気やサービスの幅が広がる可能性もあります。
ただし、こと「美容師として施術をしてもらう」となると、話は一気に複雑になります。期待だけで動く前に、在留資格という土台を正確に理解しておくことが欠かせません。ここを飛ばすと、善意の採用が思わぬ違反につながりかねないからです。
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- 受付・広報・インバウンド対応など施術以外の活躍の場もあります。
- 施術者として雇うには在留資格の正確な理解が前提です。
まず知るべき「在留資格」の現実
ここが最重要です。結論から言うと、外国人を「美容師として現場で施術させる」ことは、多くの在留資格ではできません。
よく誤解されるのが「技術・人文知識・国際業務(技人国)」です。これは専門知識を要する事務職や技術職、語学を活かす業務などが対象で、カットやカラーといった施術は原則として該当しないとされています。また、技能実習制度の対象職種に理美容は含まれておらず、特定技能の対象16分野にも美容業は入っていません。「技能実習や特定技能で美容師を」という発想は、現行制度では成り立たないのです。
唯一の就労目的の特例として、国家戦略特区の「外国人美容師育成事業(特定活動)」があります。これは日本の養成施設を卒業して美容師免許を取得した外国人留学生が、特区内の指定サロンで最長5年働ける制度ですが、対象地域・指定機関・人数(1美容所あたり3人まで)などの限定があり、全国のサロンが自由に使えるものではありません。
- 美容師の施術は「技人国」では原則就労できません。
- 技能実習にも特定技能にも美容業は含まれていません。
- 特区の育成事業は限定的で、全国で自由に使える制度ではありません。
では、どんなケースなら施術者として働けるのか
「ほぼ無理なのか」と落胆する前に、働けるケースもきちんと押さえておきましょう。鍵になるのは在留カードに書かれた資格の種類です。
まず、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者といった『身分・地位に基づく在留資格』を持つ人。これらは活動内容に制限がなく、在留カードに『就労制限なし』と記載され、美容師やネイリストとしての施術も可能です。次に、留学生や家族滞在の人が『資格外活動許可』を受けている場合。この場合は原則として週28時間以内(複数の勤務先があっても合計で)という時間の上限があり、風俗営業等での就労は認められません。
なお、まつ毛エクステを行うアイリストは、国籍に関わらず美容師免許が必須です。職種によって必要な資格や働ける条件が変わるため、「外国人だから」とひとくくりにせず、個別に確認する姿勢が必要になります。
あわせて読みたい:- 永住者など身分系資格(就労制限なし)なら施術も可能です。
- 留学生等は資格外活動許可で原則週28時間以内・風俗業は不可です。
- アイリストは国籍を問わず美容師免許が必須です。
採用時の確認義務と、不法就労助長のリスク
採用にあたって絶対に省けないのが、在留カードでの就労可否の確認です。表面の『就労制限の有無』欄、必要に応じて裏面の『資格外活動許可欄』、特定活動なら指定書まで目を通します。出入国在留管理庁は在留カード番号の失効情報を照会できる仕組みも用意しています。
ここを怠ると重いのが、不法就労助長罪です。不法就労をさせた事業主も処罰の対象となり、しかも『知らなかった』では免れません。在留カードを確認していないなどの落ち度があれば、責任を問われ得ます。2026年6月時点の罰則は3年以下の懲役・300万円以下の罰金ですが、改正により2027年4月1日からは5年以下・500万円以下へと引き上げられる予定です。
あわせて、外国人を雇用したらハローワークへの届出も必要です。手続き面は煩雑に見えますが、ひとつずつ確認すれば難しくありません。むしろ確認を怠るリスクのほうがはるかに大きい、と心得ておきましょう。
あわせて読みたい:- 在留カードでの就労可否確認は必須の手続きです。
- 不法就労助長罪は「知らなかった」では免れません。
- 罰則は2027年4月から5年・500万円へ引き上げ予定です。
受け入れてからの定着——言葉と制度の両輪
採用がゴールではありません。むしろ、受け入れてからが本番です。外国人スタッフが力を発揮し、長く働いてもらうには、職場側の準備も要ります。
実務でまず効くのが、言葉の壁への配慮です。就業規則や労働条件、施術の手順を、平易な日本語ややさしい表現で伝える。在留期限の更新漏れがないよう、店側でも期日を管理しておく。生活面(住まいや行政手続き)でつまずきがちなところに、さりげなく手を貸す。こうした小さな支えの積み重ねが、定着率を左右します。
そして忘れてはならないのが、差別やハラスメントを起こさない職場づくりです。文化や習慣の違いを「間違い」と決めつけず、互いに歩み寄る空気をつくる。これは外国人スタッフのためだけでなく、店全体の働きやすさを底上げする取り組みでもあります。
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- 在留期限の更新漏れを店側でも管理します。
- 差別・ハラスメント防止は店全体の働きやすさを高めます。
制度は動く——「今の正解」を固定しない
外国人材に関する制度は、いま大きく動いている最中です。技能実習は2027年4月に『育成就労制度』へ移行する予定で、目的も人手不足分野の人材確保へと転換します。
ただし注意が必要なのは、育成就労の対象分野も原則として特定技能に合わせる方向とされ、現時点で美容業が入る予定は確認されていない点です。『新制度ができたから美容師を雇える』と早合点しないこと。制度名が新しくなっても、対象に美容業があるかどうかが肝心です。
だからこそ、この記事の内容も『2026年6月時点の整理』として読んでください。実際に採用を進める際は、最新の公的情報を確認し、判断に迷う点は出入国在留管理庁や行政書士など専門家に相談するのが確実です。制度の変化を前提に、最新情報をたどる癖をつけておきましょう。
- 技能実習は2027年4月に育成就労制度へ移行予定です。
- 育成就労にも美容業が入る予定は現時点で確認されていません。
- 最新の公的情報と専門家確認を前提に判断します。
まとめ|誤解を避け、正しい手順で受け入れる
外国人スタッフの受け入れは、人手不足の有力な選択肢になり得ます。ただし美容師の施術は多くの在留資格では認められず、働けるのは主に身分系の資格や資格外活動許可のケースに限られます。採用時は在留カードでの確認を徹底し、不法就労助長のリスクを避ける。受け入れ後は、言葉と制度の両面で支え、長く活躍してもらう。制度は2027年に向けて動いているため、本記事は2026年6月時点の整理として、最新情報と専門家への確認を前提に進めてください。採用全体の設計を見直したいときは、関連記事もあわせて参考になります。
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