“また来たい”を決めるのはどの瞬間?サロンの来店体験を分解して改善する顧客体験
更新日:2025年12月15日
新規客の約70%が2回目来店に繋がらない現実を改善する必要がある。
カウンセリングと初回接客で信頼関係を築くことが最重要。
待ち時間や退店時の配慮が”また来たい”という感情を強化する。
来店後90日間のフォロー体制がリピート率向上の鍵を握る。
お客様が離れる理由は”なんとなく”──顧客心理の本質を理解する
お客様がリピートしない最大の理由は、実は明確な不満ではありません。多くの場合、「なんとなく行かなくなった」「サロンのことを忘れていた」という曖昧な心理が離脱の原因です。
調査によれば、顧客が再来店しない理由のトップは「サロンを忘れている」こと。さらに「期待通りではあったが特別な感動がなかった」「もっと良いサロンがあるかもしれない」という好奇心も、顧客を遠ざける要因となります。つまり、技術や接客が悪くなくても、記憶に残らなければリピートには繋がらないのです。
この問題を解決するには、来店時の体験を「期待以上」に引き上げることと、来店後も継続的に接点を持ち続けることが不可欠です。サロン内だけでなく、サロン外でのコミュニケーションまで含めた包括的な顧客体験設計が求められています。
- リピートしない理由の多くは「なんとなく」という曖昧な心理である
- 「サロンを忘れている」「特別な感動がない」が離脱の主な原因
- 技術や接客が良くても、記憶に残らなければリピートに繋がらない
- 来店時の体験を「期待以上」に引き上げる工夫が必要
- 来店後のフォローアップで継続的な接点を維持することが重要
来店前から勝負は始まっている──期待値をコントロールする事前体験
顧客体験は、お客様がサロンに入店する前から既に始まっています。新規客の多くは来店前にウェブサイトやSNSでサロン情報を入念にチェックしており、この段階で「ここなら期待に応えてくれそう」という確信を持てるかどうかが初来店のハードルを左右します。
公式サイトには、サロンのコンセプトやスタイリスト紹介、施術メニューの詳細、所要時間の目安、道順案内、感染症対策などの安心材料を充実させることが重要です。特に初めての来店では不安が大きいため、これらの情報を丁寧に提供することで心理的なハードルを下げることができます。
予約完了後のフォローも効果的です。確認メールやLINEで「ご予約ありがとうございます。当日お会いできるのを楽しみにしております」といったメッセージを送ることで、お客様は「大切にされている」という印象を持ちます。さらに一歩進んだ取り組みとして、来店前の事前カウンセリングを導入しているサロンもあります。LINEなどで髪の状態や希望スタイルを事前にヒアリングし、当日のメニューや料金を明示することで、お客様の不安を大幅に軽減できるのです。
- 来店前の情報収集段階が顧客体験の第一歩となる
- 公式サイトに充実した情報を掲載し安心材料を提供する
- 予約後の確認メッセージで「歓迎されている」印象を与える
- 事前カウンセリングで当日の流れや料金を明確にする工夫も有効
- 来店前の期待値コントロールが初回体験の満足度を左右する
ファーストコンタクトの3分が勝負──出迎えから席案内までの重要性
お客様がサロンの扉を開けた瞬間から、「また来たい」かどうかの印象形成が本格的に始まります。この最初の数分間の対応が、その後の体験全体の印象を大きく左右するのです。
理想的なファーストコンタクトは、お客様が入店した瞬間にスタッフが笑顔で「いらっしゃいませ」と挨拶し、スムーズに席へご案内することです。逆に、受付で誰にも気づかれず数分間立ち尽くしたり、予約確認に手間取って待たされたりすると、その時点で評価が下がってしまいます。実際、「受付で数分放置されただけで二度と行きたくなくなった」という声も少なくありません。
小規模サロンでは、スタッフ自らドアを開けて迎えるだけでも特別感と安心感が生まれます。中規模以上のサロンでは、ドアチャイムやセンサーを活用して来店を見逃さない仕組みを導入することも効果的です。また、予約時間のピーク時でもお客様を待たせないスタッフ配置の工夫も必要です。
席に案内した後も、数分間放置することは避けましょう。コートやバッグをお預かりする際の丁寧な対応、ウェルカムドリンクの提供、担当スタイリストの自己紹介など、入店から施術開始までの一連の流れをスムーズに繋げることで、お客様の緊張を解きほぐし、信頼関係構築の土台を作ることができます。
- 入店直後の数分間が全体体験の印象を決定づける
- 笑顔での挨拶とスムーズな席案内が基本中の基本
- 受付での放置や待ち時間は顧客満足度を大きく下げる
- ドアチャイムやセンサーで来店を見逃さない工夫を導入
- 入店から施術開始までの流れを丁寧に設計することが重要
カウンセリングは信頼関係構築の最重要フェーズ──共感と提案のバランス
カウンセリングは単なる希望ヒアリングではなく、お客様との信頼関係を築くための最も重要なプロセスです。この段階での対応次第で、「この人にまたお願いしたい」と感じてもらえるかどうかが決まります。
効果的なカウンセリングの基本は、お客様の話を最後まで遮らず、聞き役に徹することです。髪の悩みやコンプレックスは誰もが抱えているもので、相槌を打ちながら共感を示すことで、お客様は話しやすい雰囲気を感じます。「私も同じ悩みがあるんです」といった言葉を添えるだけで、安心感が生まれます。
専門用語を避け、わかりやすい言葉で説明することも重要です。ヘアカタログや色見本などを使って視覚的にイメージをすり合わせることで、施術後の「思っていたのと違う」というズレを防ぐことができます。施術前に仕上がりイメージを確認し、「このような感じになりますが、よろしいでしょうか」と念押しすることで、お客様は安心して施術を受けられます。
さらに、プロとしての適切な提案も欠かせません。お客様の髪質やクセを踏まえ、自宅でのヘアケアやスタイリング方法を丁寧にアドバイスすることで、「自分のために寄り添ってくれている」と感じてもらえます。実際、7割のお客様は適切な提案を望んでいるというデータもあり、遠慮して提案しないのは機会損失なのです。
- カウンセリングは信頼関係構築の最重要プロセスである
- お客様の話を最後まで聞き、共感を示すことが基本
- 専門用語を避け、わかりやすい言葉で説明する
- ヘアカタログや色見本で視覚的にイメージをすり合わせる
- プロとしての適切な提案がお客様の満足度を高める
待ち時間を”体験”に変える──ドリンク・コンテンツ・声かけの工夫
パーマやカラーの放置時間など、美容室での待ち時間は避けられないものです。しかし、この時間を単なる「待ち」ではなく、快適な「体験」に変えることで、お客様の満足度を大きく向上させることができます。
最も効果的なのは、充実したドリンクサービスの提供です。インスタントではなく、注文ごとにハンドドリップするコーヒーや、ダージリン・アップルティーなど複数種類の紅茶、ラテアート入りのカフェラテなど、本格的なメニューを用意しているサロンでは、「ちょっとしたカフェ気分」を演出でき、待ち時間そのものが楽しみになります。季節ごとの限定ドリンクを提供する工夫も、リピート時の新鮮さを保つ効果があります。
デジタルコンテンツの提供も有効です。各セット面にタブレット端末を設置し、電子雑誌や映画・ドラマを自由に楽しんでもらう仕組みを導入すれば、待ち時間を有意義に過ごしてもらえます。特に雑誌に興味のない若者層やお子様連れのお客様には喜ばれます。
そして忘れてはならないのが、適度な声かけです。「今のところ染みたり痛みはないですか」「雑誌交換いたしましょうか」といったひと言をこまめにかけるだけで、お客様は安心します。ただし、話しかけすぎも逆効果なので、お客様の表情や反応を見ながら必要最低限のタイミングで声をかけることが重要です。放置時間を雑誌やドリンクで快適に過ごせる工夫は、「温かみのあるサロン体験」を演出する大切な要素なのです。
- 待ち時間は単なる「待ち」ではなく快適な「体験」に変えられる
- 本格的なドリンクメニューでカフェのような特別感を演出
- タブレット端末で電子雑誌や動画を提供し退屈させない工夫
- 適度な声かけでお客様の不安を解消し安心感を与える
- 小さな配慮の積み重ねが「また来たい」という気持ちを生む
退店時の”余韻”が次回予約を決める──ピーク・エンドの法則を活用
体験の最後の瞬間は、全体の印象を決定づける上で非常に重要です。心理学の「ピーク・エンドの法則」によれば、人の記憶は体験の頂点と終了時の印象で決まりやすいとされています。つまり、退店時の対応次第で、お客様の満足度と再来店意欲が大きく変わるのです。
お見送り時には、笑顔で「本日はありがとうございました。またお待ちしておりますね」と一言添えるだけでも、余韻が良くなります。会計時に次回予約を案内したり、スタイリング方法を書いたメモを渡したりといったプラスアルファの行動も、「丁寧だな」という印象に繋がります。
次回予約の提案は、この段階で行うのが最も効果的です。「次は6週間後くらいにメンテナンスをするとより綺麗が保てますよ」といった具体的な提案とともに、「○月○日頃はいかがでしょうか」と日程を示すことで、お客様は次回来店の理由と時期を明確に持つことができます。その場で予約が取れなくても、次回使えるクーポンや写真映えするちょっとしたお土産(プチシャンプー試供品など)を渡すことで、再来店のきっかけを作ることができます。
退店後のフォローも重要です。その日の夜や翌日に「本日はご来店ありがとうございました。ヘアスタイルの調子はいかがですか」というメッセージを送ることで、お客様は「自分は本当に大切にされている」と感じます。本日お伝えしたスタイリング方法をまとめて送ったり、購入した商品の使い方ガイドを提供することも、親切な印象を与え、信頼関係を深めることに繋がります。
- 退店時の対応が全体の印象を決定づける(ピーク・エンドの法則)
- 笑顔での見送りと感謝の言葉で良い余韻を残す
- 会計時に次回予約を具体的な日程とともに提案する
- クーポンや試供品で再来店のきっかけを作る工夫も有効
- 退店後のフォローメッセージで特別感と信頼関係を深める
来店後90日のフォロー設計──リピート率を30%から50%へ引き上げる
新規客のリピート率は平均30%程度、つまり10人中7人は1回きりで離脱してしまうのが現実です。この数字を50%、60%へと引き上げるには、来店後90日間のフォロー体制が不可欠です。
来店直後(翌日)には、サンクスメールまたはLINEを送信します。「昨日はご来店ありがとうございました。スタイルの調子はいかがでしょうか」という感謝とアフターケアの一言が、お客様との関係を深め、「また行きたい」という気持ちを育てます。
2週間〜1か月後には、フォローメッセージを送ります。「そろそろカラーの色持ちが気になる頃では」「前回提案させていただいたトリートメント、よろしければお試しにいらしてください」といった、お客様のニーズに合わせた内容にすることで、ちょうど良いタイミングでリマインドできます。LINEのセグメント配信を活用すれば、顧客属性別に最適なメッセージを届けられ、開封率・反応率が向上します。
来店2〜3か月後には、特別オファーを検討します。3か月以内再来店で使えるクーポン(5%オフやプチサービス)を通知し、「前回から○か月経ちましたので是非お待ちしています」と誘うことで、お客様が「ちょうど行こうと思っていた」と重い腰を上げるきっかけになります。ただし、フォロー頻度は高すぎると逆効果なので、数週間おきの適切な間隔を守ることが重要です。
顧客ごとにデータ管理を行い、「前回ショートにしたA様にはメンテナンス提案、カラーだけのB様には別メニュー提案」といった個別対応をすることで、フォローの効果が最大化されます。さらに、次回予約率や2回目来店率のデータを分析し、目標未達なら初回体験やフォロー内容を見直すPDCAサイクルを回すことで、リピート率を継続的に改善できます。
- 新規客のリピート率は平均30%、7割が1回きりで離脱している
- 来店直後のサンクスメッセージで関係性を深める第一歩を踏む
- 2週間〜1か月後にニーズに合わせたフォローメッセージを送る
- 2〜3か月後に特別オファーで再来店のきっかけを作る
- 顧客データ管理と個別対応でフォローの効果を最大化する
まとめ:顧客体験の各段階を磨き続けることがリピート率向上の鍵
お客様が「また来たい」と感じる瞬間は、来店体験の随所に存在します。来店前の情報収集段階での期待値コントロール、ファーストコンタクトでの温かい出迎え、カウンセリングでの信頼関係構築、待ち時間の快適な体験提供、退店時の丁寧な見送りと次回提案、そして来店後90日間のフォロー体制──これらすべてが連動して、リピート率を大きく左右します。
新規客の平均リピート率が30%にとどまる現実を変えるには、各段階での顧客心理を深く理解し、期待を上回る体験を提供し続けることが不可欠です。特に、カウンセリングでの共感と提案、退店時の次回予約提案、来店後のパーソナライズされたフォローは、リピート率向上に直結する重要な施策です。
顧客体験の改善は一度で完成するものではありません。データを分析し、スタッフと改善策を話し合い、実施し、また分析する──このPDCAサイクルを回し続けることで、「選ばれ続けるサロン」へと進化していきます。まずは自店の顧客体験を来店前・来店時・来店後の各段階に分解し、どこに改善の余地があるかを見極めることから始めてみましょう。
ビューティーメリットは、予約管理から顧客データの一元管理、メッセージ自動配信まで、サロンの顧客体験向上を総合的にサポートする統合管理システムです。来店後のフォロー体制構築やリピート率向上施策の実現をお考えの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
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