美容室で経費にできる費用は?経費計上する際の注意点も解説 |

美容室で経費にできる費用は?経費計上する際の注意点も解説

更新日:2024年1月24日

美容室を経営している方は確定申告を行う必要がありますが、そこで重要になってくるのが経費です。課税の対象となる事業所得は、売上から経費を差し引いて計算するため、経費をきちんと計上すれば節税になります。

本記事では、美容室で経費計上できる項目や、経費を計上する際に注意したいポイントについて解説します。

美容室経営で経費計上が重要である理由

美容室経営で経費計上が重要となる理由は、節税になるからです。
法人や個人事業主は毎年、確定申告を行って納税額を申告しますが、その際、課税対象となる事業所得は総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
つまり、計上した経費が多ければ多いほど事業所得は少なくなり、納税額も減ることになります。

所得税の税率は課税される所得金額によって異なりますが、事業所得の5~45%(課税所得金額に応じた控除あり)を納めなければなりません。(※)

※参考:国税庁. 「No.2260 所得税の税率」. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm , (2013-11-13).

例えば、課税所得額が100万円なら、5%にあたる5万円を納税することになり、少なからず痛い支出です。
経費を正しく計上できていれば、総収入金額に占める課税所得額の割合が少なくなり、所得税の納税額を節約することが可能となります。

確定申告は毎年行うものなので、日頃から経費をきちんと計算・計上することが重要です。

美容室で計上できる経費の項目

次に美容室経営で経費として計上できる費用の一覧について解説します。
まず、美容室経営で経費として計上できるものの内訳は、大きく分けて固定費と変動費の2種類に区分されます。
固定費とは、毎月あるいは毎年発生する経費のことです。後述する変動費に比べると高額になるものが多いため、経費を節約する際は固定費を見直すのが基本とされています。
美容室の固定費には以下のようなものがあります。

・家賃
・人件費
・水道光熱費
・材料費
・通信費
・保険料

一方、変動費とは収入やスタッフの増減などによって支出が変動する費用のことです。
美容室の変動費には以下のようなものがあります。

・消耗品費
・広告宣伝費
・旅費交通費
・税金
・修繕費

以下では、美容室で経費計上できる固定費と変動費に各項目について説明します。

家賃

美容室として使っている店舗やテナントにかかる家賃のことです。
家賃は固定費の中でも支出額の大きな項目なので、きちんと計上すれば大きな節税となります。
なお、店舗を借りる際にかかる敷金と礼金のうち、家賃として計上できるのは礼金のみです。

礼金は、20万円未満の場合は家賃として計上できますが、20万円以上の場合は繰延資産となり、長期前払費用などの勘定科目で会計処理することになります。(※)

※参考:国税庁. 「〔繰延資産の償却費の計算(令第137条関係)〕」. https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/08/14.htm , (2023-11-13).

一方、敷金は契約期間満了時に返還される預かり金という意味合いが強いため、経費として計上することはできないので注意が必要です。

人件費

美容室で働く人に支払う給与や賃金などは人件費として経費計上できます。
賃金や給与以外にも、スタッフの社会保険料や、スタッフの教育にかかるコスト(研修費など)も人件費に含まれます。
スタッフを雇っている場合、人件費は固定費の中でも割合の大きい経費となることが多いでしょう。

水道光熱費

美容室で使う水道、電気、ガスの料金は水道光熱費として経費計上できます。
美容室では、シャンプーや清掃にお湯や水を使う他、店内の照明やドライヤー、ローラーボールなどに電気を使用するため、エネルギー価格の変動に伴う電気、ガス料金値上げなどによっては、想定外の水道光熱費がかかる可能性があるため留意が必要です。

そのため、水道光熱費を忘れずに経費計上することが節税対策になります。

材料費

シャンプーやコンディショナー、トリートメント、カラー剤、パーマ剤、ヘアスタイリング剤など、美容室で提供するサービスに利用するアイテムは売上原価として経費計上できます。

一つあたりの金額は小さいですが、これらのアイテムは毎月大量に消費するため、月単位ではかなりの額にのぼります。
材料を別々に発注する場合は、経費の計上漏れが発生しやすいので、帳簿にこまめに記帳した方がよいでしょう。

通信費

美容室に引いている固定電話の料金や、業務に使用している携帯電話の料金、インターネット回線料などは、通信費として計上します。
顧客にDMやハガキを送る際にかかる郵便料金も通信費に含まれます。

保険料

店舗にかけている火災保険や地震保険などの保険料も必要経費となります。
また、美容室ではハサミや薬品などを使用するため、傷害保険や賠償保険などに加入しているケースも少なくありませんが、これらの保険料も経費として計上できます。

消耗品費

消耗品費とは、使用可能期間が1年未満か、取得価額が10万円未満の什器備品の購入に使われた費用のことです。
美容師に欠かせないハサミやドライヤー、クシ、ブラシ、ヘアアイロンといった美容機器の他、タオルやパーマキャップ、ケープなどの小物を買った費用も消耗品費に含まれます。

また、取得価額が10万円未満であれば、業務に使うパソコンやタブレット、スマートフォンなどの家電製品も消耗品費として計上することが可能です。(※)

※参考:国税庁. 「令和4年分確定申告書等作成コーナー よくある質問」. https://www.keisan.nta.go.jp/r4yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/shomohinhi/shomohinhi.html , (2023-11-13).

取得価額が10万円を超えるものに関しては、償却資産として減価償却することになります。

広告宣伝費

美容室を宣伝するためにかかった費用は広告宣伝費として経費計上できます。
例えば、チラシを作成して近隣に配布する、検索サイトにサロン情報を掲載する、インターネット広告を利用してアピールするなどが挙げられます。

検索サイトやインターネット広告を常時利用する場合は固定費となりますが、サロンオープン時や閑散期のみにチラシを配るなどの広告宣伝費は変動費にあたるため、広告の媒体や時期によって計上する種類が変わることを把握しておきましょう。

旅費交通費

業務に必要な移動に費用がかかった場合は、旅費交通費として計上できます。
具体的な例としては、競合店舗の視察にマイカーを利用した、スキルアップのためのセミナーに参加するために電車を使ったなどです。
フランチャイズ店の場合、本社が遠方にあって出張を伴うときは交通費だけでなく宿泊費も経費として計上できます。

税金

個人事業税や自動車税、住民票の発行手数料など、国や自治体に支払う税金や手数料は租税公課として経費計上できます。
ただ、経費として計上できるのはあくまで事業に係る租税公課のみです。
例えば自動車税に関しては、店舗専用車でプライベートでの使用がない場合のみ、経費として計上することができます。

修繕費

店舗の内装や外装の修繕、美容機器の修理などを行った場合の費用は修繕費として経費計上できます。
修繕の理由は問わず、経年劣化はもちろん、災害などで破損・汚損したものを修理した場合でもOKです。

ただ、修繕費として計上できるのは総額20万円未満のケースです。
20万円以上の場合は資本的支出となり、減価償却することになります。

※参考:国税庁. 「No.1379 修繕費とならないものの判定」. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1379.htm , (2023-11-14).

美容室の経費を計上する際に注意したいポイント

美容室の経費を計上する際に気を付けたいポイントを3つご紹介します。

1. 経費計上できるのは業務部分のみ

美容室経営の経費として計上できるのは、あくまで業務に関係ある部分のみです。
上記で挙げた勘定科目に該当するものでも、美容室経営に直接関与しない、つまり私的に利用している部分(家事関連費)が含まれる場合は、その分を差し引いて計上する必要があります。

例えば、自宅でサロン経営を行っている場合、家賃や水道光熱費、火災保険料や地震保険料などはプライベートに係る部分もありますが、それら全てを経費計上できるわけではありません。

自宅の敷地面積のうち、30%をサロンとして利用しているなら、家賃として計上できるのは30%にあたる部分のみです。同様に、水道光熱費や保険料なども使用量に応じて按分することになります。

業務利用分を超えて経費計上すると、税務調査が入った場合に厳しく指摘されるおそれがあるので注意しましょう。

2. 個人事業主本人の報酬は経費計上できない

美容室で雇っているスタッフへの賃金・給与は人件費として経費計上できますが、個人事業主の場合、自身の報酬は経費にすることができません。
スタッフを雇わず、個人事業主一人でサロンを切り盛りしている場合、人件費として計上できる費用はないので要注意です。

ただし、法人になれば役員への報酬も人件費として計上できるようになるため、雇い主自身の報酬も経費になります。人件費の経費計上については、美容室経営で法人化するかどうか決める指針の一つと言えるでしょう。

3. 衣服や美容代は経費にできない

美容師の多くは私服で勤務していますが、その衣服代や美容代などを経費として計上することはできません。
なぜなら、その衣服や美容代は勤務先だけに適用されるものではなく、プライベートでも使えるものだからです。

ただし、美容室に制服やユニフォームがある場合は、業務専用の衣類として経費計上できる可能性があります。
その場合は、税務調査が入ったときに業務専用の衣類であることをきちんと説明する必要があります。

経費の見直しを行えばさらなるコスト減を狙える

経費の計上は節税効果につながりますが、より大きなコストカットを狙うのなら、日頃の経費を削減することも大切です。
例えば、業務を効率化して人件費を削減する。便利なシステムやサービスを導入して広告宣伝費をカットするなどが挙げられます。

ただ毎月の経費を計算するだけでなく、節約できる部分がないかどうか適宜検討すれば、さらなるコストカットを狙えるでしょう。

美容室経営の経費は忘れずに計上しよう

美容室経営では、店舗の家賃や水道光熱費、人件費、材料費などさまざまな経費が発生します。これらを必要経費として計上すれば、課税所得額が少なくなり、納税額の節約となります。

経費になるはずのものを計上し忘れると、本来納めるべき税金よりも納税額が増えてしまう恐れがあるので、必要経費は日頃からきちんと把握し、帳簿に記帳しておきましょう。

経費を正確に把握していると、確定申告時の手間が省けるのはもちろん、毎月どのくらいの支出があるのか客観的にチェックできるようになり、コスト削減に役立つこともあります。経費の節約は、経費計上よりも大きなコスト削減となることもあるので、この機会に経費の見直しを進めてみることをおすすめします。

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