「物心両面の豊かさ」を実現するトータルビューティサロン経営へ
「物心両面の豊かさ」を実現するトータルビューティサロン経営へ

二代目が目指す、美容師の社会的地位向上

更新日:2025年10月27日

「物心両面の豊かさ」を実現する経営へ──クラフトワークス代表継承インタビュー

創業40年を超えるトータルビューティサロン「ラシェンテ」を展開するクラフトワークス。昨年、創業者である母から代表を継承した二代目飯田様が語るのは、美容師という職業への深い敬意と、その社会的地位向上への強い想いだった。

本記事は、2024/07/12のインタビュー記事を再編集したものです。記事の内容は取材当時の情報です。価格・店舗情報・住所等も取材時点のものとなりますので、最新情報は公式サイトなどでご確認ください。

 

──代表に就任されて、今後のビジョンをお聞かせください。

ビジョンというところまで言うと結構おこがましいんですけど、でもずっと小さい頃からスタッフや仲間を身近に見てきました。生まれた時から会社があったので、家にもよく来ていましたし。この「美容師」という職業を身近で見て、中学校の時にはバイトでヘルプに入ったりもしていたんです。

そういう中で脈々と私の中にあるのが、心底「美容師って素晴らしい仕事だ」「なんて豊かな仕事なんだ」という想いなんです。会長も私もここは共通で目指していこうとしているのが、美容師の社会的地位の向上。これが、一言で言うと私のやりたいことになります。

──経営理念の体現が重要だと。

そうですね。経営理念には3つあるんですが、一番初めに「全社員の物心両面の豊かさを実現する」と書いてあるんです。この物心両面の豊かさを、やっぱり美容師の皆さんに還元したい。

「物」というと、もう本当にストレートな言葉で言うと給与です。私、この美容師という仕事を先ほど豊かな仕事と言いましたけど、40周年の時に新しくコーポレートステートメントを作ったんです。お客様向けのステートメントになるんですが、やっぱりハサミ1本、カラー1本で見える世界が変わってくるとか、お客様の人生が変わるというか。心の重石が取れたり、ふわっとした気持ちになったり。

その本当にお客様がいろんな価値観がいい形に変わったり、豊かになったりする瞬間が見れる。「ありがとう」って言ってもらえて、それが自分の手で施したものに対して──この上なく幸せじゃないですか。目の前で綺麗になった姿が見れて、ガラッと変わる瞬間を目の当たりにできる。こんなにいい仕事ってないなって本当に思っているんですよ。

──一般企業と比べても?

私も一般企業で勤めていたので、ノルマがあるのは分かっているんです。一般企業って何千万、何億というノルマの中で働くじゃないですか。でも美容師の還元率ってすごく高いんです。例えば70万円売り上げても、20万、30万の給与があったりする。この還元率の高さは本当に素晴らしい。

さらに言うと、人生を一緒に歩んでいくお客様と共にしていく仕事なんです。3世代担当しているとか、「この前まで小学生じゃなかった?もう子供できたの?」みたいな。20年来、30年来、代々お客様を担当していく。本当に人生を共にしていくので、こんな豊かな仕事はないなと。最後に自分が人生を終える時に「豊かな人生だったな」と思える仕事はないなって思っています。

──ただ、それをさらに良くしていきたいと。

そうなんです。物心両面って両輪で動かしていかなきゃいけないんですけど、日本ってまだまだその美容師の社会的地位、その経済的な部分が追いついていないんです。やっぱり一般企業並みの賞与だったり、月収だったりというのをしっかりと社員に還元していくためにも、生産性の向上というのは今後私が必ずやっていきたい部分になります。

──給与だけ上げても意味がないと。

そうなんですよ。給料だけ上げても豊かにならないんです。宝くじ当たった人、大体豊かになってないですよね。幸福度が下がるだけで。結局何か、収入が入ってくる仕組みが作れたりとかしていくから、収入が上がってきて満足度が上がる。

給与面を上げていきつつ、お客様にとってもサロンにとっても向上していく事業の仕掛けを合わせて走らせていって、初めてワークするんです。

──尊厳を守るということですね。

はい。やっぱり美容師の尊厳を守ってあげる会社にしたいんです。これはウェルビーイングにも繋がっていきますけど、その尊厳を守りつつ、お客様も働く仲間もみんなが豊かになっていくような、ウェルビーイングな会社でありたいと思っています。

会社でやっていく方向性と物心両面の豊かさっていうのは、ちゃんと繋がっているなって。今日のお話で本当に、間違ってなかったなって改めて確信できました。

──昨年代表を継承されましたが、創業当初と今では経営スタイルも変わっていますか?

1983年が創業になるんですけども、宝塚市のベッドタウンに1号店を出展して。その時はまだ「ヘアクラフト」という名前で法人化していなくて、普通のヘアサロンをやっていました。そこから約30年ぐらい前にトータルビューティに変わって「ラシェンテ」というブランディングにしていったという経緯があります。

当初はやっぱり女性がまだまだ社会進出を始めてきた段階で、女性のライフプランの中で結婚とか出産があると仕事を辞めて家庭に入るというのがまだ多かった。組織を作っていこうという時に、男性をメインで組織形態を作っていかないとなかなか拡大できなかったという時代があって。

ただ、時代も変わっていくなかで、やっぱり女性の感性だったりとか、情緒的な部分、高付加価値ってなってくると女性の活躍の場が増えていって。それでどんどんブランディングが進んでいったという感じです。

──根本は変わっていないんですね。

そうなんです。経営理念も約30年前に制定されてからずっとそのままです。会長は元々教育学部出身なので、「人は学ぶことによって美しくなって豊かになっていく」というのがコアポイントにあるんですよ。

元々すごく貧しい中で育たれて、それで反骨精神で社会進出してきた女性なので、やっぱり女性の活躍の場をって思った時に、ちゃんと学ばないと女性も成長できない。それが自分を磨くことになって、それが本当の美しさ、本質的な美しさになって、人生を豊かにする根本だっていうことを思っていたんです。

教育学で学びを社会にって思ってやられていたんですけれども、やっぱり先のことを考えるとなくならない業種。もちろん教育もなくならないと思っているんですけれども、もっと豊かになるっていうところで言うと、美容の業界に入ることによって女性が元気になる業種ですし、そういうところが根本にあるんです。


編集後記

「学びが人を美しく豊かにする」──創業者である母から受け継いだこの哲学を、二代目は「美容師の社会的地位向上」という明確なビジョンに昇華させている。印象的だったのは「物心両面」という言葉の重み。給与という「物」だけでなく、職業としての尊厳という「心」。その両輪があって初めて本当の豊かさが実現するという信念は、一般企業を経験した彼女だからこそ語れる言葉だろう。創業40年の風習を言語化し、DX化を推進しながらも、本質は変えない。メビウスの輪をモチーフにした新ロゴには、サステナブルな未来への決意が込められている。伝統と革新の絶妙なバランスに、この会社の未来が見えた。

取材・文 / BMマガジン編集部

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