
お客様の好みを”売上”に変えるカルテの書き方
更新日:2025年10月1日
美容サロンの経営において、新規客を獲得することは重要ですが、本当の収益の源泉はリピーターからもたらされます。お客様の好みや要望を正確に記録し、次回来店時にその情報を活かすことで、顧客満足度を向上させ、売上向上に直結させることができます。本記事では、美容室・美容サロン・ネイルサロン・アイラッシュサロン・リラクサロン・エステサロンのオーナーや経営者の皆様に向けて、効果的なカルテの書き方と活用方法をご紹介します。
1.なぜカルテの書き方が売上に直結するのか
美容業界におけるリピート率は、新規顧客の場合で30%程度が目安とされています。しかし、適切なカルテの活用により、この数値を大幅に改善することが可能です。
カルテは単なる記録ツールではありません。お客様との信頼関係を構築し、満足度を向上させるための重要な戦略ツールです。お客様の過去の施術履歴、好み、悩みを正確に把握することで、毎回の来店時に「私のことを覚えてくれている」という特別感を提供できます。
この個別対応こそが、価格競争から脱却し、継続的な来店を促す秘訣です。適切なカルテの運用により、客単価の向上とリピート率の大幅な改善を実現できます。
<要点>
・リピーターからの売上が収益の源泉である
・カルテは顧客との信頼関係構築の重要ツール
・個別対応が価格競争からの脱却を可能にする
・適切な運用で客単価とリピート率が向上する
2.従来の紙カルテの限界と課題
多くのサロンで使われている従来の紙カルテには、いくつかの課題があります。
検索性の問題:必要な顧客情報を探すのに時間がかかり、施術中にスムーズな接客ができません。また、カルテの保管場所が必要で、物理的なスペースを圧迫します。
情報共有の困難さ:特定のスタッフだけが顧客情報を把握している状況が生まれやすく、スタッフ間での情報共有がリアルタイムで行えません。これにより、どのスタッフが担当してもサービス品質にムラが生じる可能性があります。
紛失・情報漏洩リスク:紙媒体は紛失や汚損のリスクがあり、個人情報保護の観点からも課題があります。
これらの課題を解決することで、サロン全体の業務効率が向上し、よりお客様に集中できる環境を作ることができます。
<要点>
・紙カルテは検索性と保管性に問題がある
・スタッフ間の情報共有が困難
・紛失・情報漏洩のリスクが存在する
・業務効率の改善が顧客満足度向上につながる
3.効果的なカルテに記録すべき項目
売上向上に直結するカルテを作成するには、以下の項目を重点的に記録することが重要です。
基本情報:氏名、連絡先、誕生日、職業、ライフスタイル(忙しさの程度、通勤手段など)
施術履歴:過去の施術内容、使用した薬剤や商品、施術時間、担当スタッフ、お客様の反応や満足度
好みと要望:希望するスタイル、色味の好み、避けたいスタイル、普段のスタイリング方法、メンテナンス頻度の希望
悩みとコンプレックス:髪質・肌質の悩み、コンプレックスに感じている部分、過去の失敗体験
会話内容とパーソナル情報:趣味、家族構成、仕事の状況、最近の出来事など(プライベートな範囲で)
次回提案事項:おすすめのメニュー、来店時期の目安、ホームケア商品の提案
これらの情報を詳細に記録することで、次回来店時により個別化されたサービスを提供できます。
<要点>
・基本情報からライフスタイルまで幅広く記録
・施術履歴は詳細な反応まで含める
・好みと悩みの両面を把握する
・会話内容でパーソナルな関係性を構築
・次回提案で継続的な関係を維持
4.カウンセリング時のヒアリング技術
効果的なカルテを作成するための情報収集は、カウンセリング時のヒアリング技術にかかっています。
共感と傾聴の姿勢:お客様は髪の悩みやコンプレックスを抱えています。話を最後まで遮らず、聞き役に徹し、相槌を打ちながら共感することで、話しやすい雰囲気を作り、信頼関係を築きます。
分かりやすい言葉遣い:専門用語を避け、お客様が理解しやすい言葉で説明することが重要です。認識のずれを防ぎ、安心感を与えることができます。
具体的な質問技術:「どのようなスタイルがお好みですか?」ではなく、「普段のお手入れ時間はどれくらいかけられますか?」「朝のスタイリングで困っていることはありますか?」など、具体的で答えやすい質問を心がけます。
視覚的なイメージ共有:ヘアカタログや色見本などを使用して、お客様の希望を視覚的に確認し、施術後の「思っていたのと違う」というズレを防ぎます。
<要点>
・共感と傾聴で信頼関係を構築
・専門用語を避けて分かりやすく説明
・具体的で答えやすい質問を心がける
・視覚的ツールでイメージを共有
・認識のズレを事前に防ぐ
5.顧客心理に寄り添うカルテの活用法
カルテに記録した情報を効果的に活用することで、お客様の心理的満足度を大幅に向上させることができます。
記憶の演出:前回の施術内容や会話を自然に話題に出すことで、「覚えていてくれた」という特別感を演出できます。これは、お客様がサロンに対して愛着を持つ重要な要因となります。
先回りの提案:お客様のライフスタイルや悩みを踏まえ、まだ言葉にしていないニーズを先読みして提案することで、プロフェッショナルとしての信頼を獲得できます。
パーソナライズされたアドバイス:髪質やクセといった専門的な知見に基づき、自宅でのヘアケアやスタイリング方法を丁寧にアドバイスすることで、お客様は「自分のために寄り添ってくれている」と感じ、サロンへの愛着が深まります。
継続的な関係性の構築:カルテを基にした個別対応により、お客様は「一見客」から「サロンのファン」へと進化していきます。
<要点>
・記憶の演出で特別感を提供
・先回りの提案でプロの信頼を獲得
・パーソナライズされたアドバイスで愛着を深める
・継続的な関係性でファン化を促進
・個別対応が差別化の源泉となる
6.電子カルテシステムの導入メリット
デジタル化されたカルテシステムを導入することで、カルテの活用効果を飛躍的に向上させることができます。
情報の一元管理:顧客情報を特定のスタッフだけに依存させず、サロン全体で一元管理することで、誰が担当しても質の高いサービスを提供できるようになります。
検索性の向上:タブレットやスマートフォンでいつでもどこでも顧客の過去の施術履歴を確認でき、スタッフ間の情報共有がスムーズになります。
自動配信機能:来店頻度や購入履歴を自動で把握し、一人ひとりの顧客に合わせたメッセージやクーポンの自動配信が可能になります。これにより、お客様がサロンを「忘れる」前に適切なアプローチができます。
データ分析の活用:顧客データを属性、利用メニュー、来店頻度などで分類・分析することで、より精度の高いマーケティング施策が可能になります。
<要点>
・情報一元管理で品質の均一化を実現
・検索性向上でスムーズな接客が可能
・自動配信でタイムリーなアプローチ
・データ分析で精度の高いマーケティング
・業務効率化で接客により集中できる
7.カルテを活用したリピート促進戦略
カルテの情報を基に、戦略的なリピート促進を図ることができます。
来店サイクルの管理:お客様の髪質やスタイルに合わせ、次回の来店目安を具体的に伝えることで、お客様が次の予約を検討するきっかけを作ります。カルテに記録された施術周期を参考に、最適なタイミングでアプローチできます。
フォローアップの自動化:電子カルテシステムと連携したLINEやメールでのお礼メッセージ、次回使えるクーポンの配信など、来店後も継続的にお客様との接点を持ち、関係性を維持することが再来店を促す有効な手段です。
パーソナライズされた提案:カルテに記録された好みや悩みを基に、季節に応じたメニューやトレンドを考慮した提案を行うことで、お客様にとって「必要なサロン」として認識してもらえます。
特別感の演出:誕生日や記念日などの個人情報を活用し、特別なサービスやメッセージを提供することで、お客様との関係性をより深めることができます。
<要点>
・来店サイクル管理で予約促進
・フォローアップ自動化で継続的な接点
・パーソナライズ提案で必要性を創出
・特別感の演出で関係性を深化
・戦略的なアプローチでリピート率向上
まとめ:カルテを売上向上の武器に変える
カルテは単なる記録ツールではなく、お客様との関係性を構築し、売上向上を実現するための重要な経営戦略ツールです。適切な情報収集と活用により、お客様一人ひとりに寄り添ったサービスを提供し、リピート率と客単価の向上を同時に実現できます。
特に、従来の紙カルテから電子カルテシステムへの移行は、業務効率化だけでなく、より高度な顧客管理とマーケティング活用を可能にします。お客様の「好み」を正確に把握し、それを「売上」に変えるための仕組みを構築することで、価格競争から脱却した安定的な経営基盤を築くことができるでしょう。
今日から、カルテの書き方と活用方法を見直し、お客様との関係性をより深めるための第一歩を踏み出してみてください。
FAQ
Q1. 電子カルテシステムの導入コストが心配です。費用対効果はどの程度期待できますか?
A1.電子カルテシステムには無料のものから月額料金制のものまで様々な選択肢があります。費用対効果については、業務効率化による時間短縮、リピート率向上による売上増加、スタッフ間の情報共有による服務品質向上などが期待できます。一般的に、導入後3〜6ヶ月程度で効果を実感されるサロンが多いと考えられます。まずは無料プランや低コストなシステムから始めることをおすすめします。
Q2.お客様のプライベートな情報をどこまで記録すべきでしょうか?
A2.お客様との会話の中で自然に話された内容について、施術やサービス向上に関連するものを記録することが基本です。趣味や家族構成など、次回の会話のきっかけになる情報は記録価値がありますが、過度に踏み込んだ質問は避け、お客様が自然に話された範囲内で記録することが大切です。
Q3.スタッフ間でカルテの書き方にバラつきがあります。統一化するポイントは?
A3.カルテの記録項目を標準化し、全スタッフが同じフォーマットで情報を記録できるようにすることが重要です。定期的な研修やミーティングで、効果的なカルテの書き方を共有し、優良事例を全員で学ぶ機会を設けることをおすすめします。また、電子カルテシステムを導入することで、入力項目が統一され、自然とバラつきが改善される可能性があります。
Q4.カルテの情報を活用しても、リピート率が向上しません。どこに問題があるのでしょうか?
A4. カルテの情報収集は適切でも、それを実際の接客に活かせていない可能性があります。記録した情報を次回来店時に自然に会話に取り入れる練習や、お客様の悩みに対する具体的な解決策の提案力向上が必要かもしれません。また、カルテの情報を基にしたフォローアップ(来店後のお礼メッセージや次回提案など)が不足している場合もあります。
Q5.個人情報保護法への対応で注意すべき点はありますか?
A5.お客様の個人情報を記録・保管する際は、適切な管理体制を整えることが重要です。電子カルテシステムを利用する場合は、セキュリティ対策が十分なサービスを選択し、アクセス権限の管理を徹底してください。また、お客様に対して、どのような情報を何の目的で収集・利用するかを明確に説明し、同意を得ることが基本となります。不明な点については、専門家に相談することをおすすめします。
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