美容サロン市場は縮小、男性市場は拡大|数字で読む2026年の需要シフト
更新日:2026年9月14日
- 消費者調査ベースの美容サロン市場は2兆5,299億円で、前年から5.7%の減少でした。
- 事業者の売上をもとにした別の調査でも、2025年度の理美容サロン市場は前年度比1%減となりました。
- 一方で、男性向けのアイビューティーは46.4%増、男性エステ全体は12.1%増と伸びています。
- 利用が減った理由として最も多いのは「美容代を節約する必要が出てきたため」でした。
- 美容所の数は277,752施設と前年度から増加しており、店舗数と市場規模は逆方向に動いています。
2つの調査が、そろって市場の縮小を示しました
結論として、算出方法の異なる2つの調査が、いずれも市場の縮小を示しています。
ひとつは、大手集客サイトが運営する調査機関による消費者調査です。2026年上期の集計では、美容サロン市場全体が2兆5,299億円で前年比5.7%の減少。内訳は美容室が1兆3,063億円(5.9%減)、リラクゼーションが3,423億円(9.9%減)、エステが3,116億円(7.3%減)、ネイルが1,416億円(2.7%減)、アイビューティーが1,323億円(4.4%減)でした。この調査は2026年1月21日から2月12日にかけて、15歳から69歳の男女各6,600人を対象に行われたものです。
もうひとつは、事業者の売上高をもとに集計する民間調査機関の調査です。2025年度の理美容サロン市場を2兆1,030億円とし、前年度比で1%の減少としています。減少は2020年度以来とされ、調査対象49社のうち前年度比5%超の増加となったのは8社にとどまりました。要因として挙げられているのは「来店頻度の低下および客数減」です。
注意点として、この2つの数字を単純に比べることはできません。前者は消費者アンケートをもとにした支出ベースで、エステ・リラクゼーション・ネイル・アイビューティーを含みます。後者は事業者の売上高ベースで、理美容に絞られています。算出基準が異なるため、比較すべきは金額ではなく方向性です。その方向は、両者とも一致しています。
- 消費者調査ベースでは美容サロン市場全体が2兆5,299億円、前年比5.7%減でした。
- 事業者売上ベースの調査でも、2025年度の理美容サロン市場は前年度比1%減です。
- 算出基準が異なるため、金額の単純比較はできません。
- 両調査が示す方向性は一致しており、縮小傾向にあると考えられます。
減っているのは「回数」ではなく「利用する人」かもしれません
結論として、消費者調査の内訳を見ると、1回あたりの単価はほぼ横ばいで、変化しているのは利用率のほうでした。
理由は、公表されている数値の動き方にあります。美容室について見ると、女性は利用率が77.5%(前年から1.7ポイント減)、年間の利用回数が4.18回、1回あたりの利用金額が7,686円(0.2%増)。男性は利用率が32.7%(1.8ポイント減)、年間5.05回、1回あたり4,853円(0.5%減)でした。
つまり、来店した方が使う金額そのものは大きく動いていません。動いているのは「そもそも利用したかどうか」の部分です。事業者売上ベースの調査が要因として挙げた「来店頻度の低下および客数減」とも、方向性は一致します。
具体的な背景として、消費者調査では利用が減った理由の第1位が「美容代を節約する必要が出てきたため」となっており、女性で40.8%、男性で26.4%でした。物価の上昇が続くなか、美容に回す支出が優先順位を下げられている構図が読み取れます。
注意点として、これは全国の平均像です。自店の数字が同じ方向に動いているとは限りません。むしろ確認すべきは、自店の来店客数と来店間隔が過去12か月でどう変化しているか、という点です。全国平均と比べるより、自店の推移を見るほうが打ち手につながります。
あわせて読みたい:- 美容室の1回あたり利用金額は、女性7,686円・男性4,853円でほぼ横ばいです。
- 変化が大きいのは利用率で、女性・男性ともに前年から低下しました。
- 利用が減った理由の第1位は「美容代を節約する必要が出てきたため」でした。
- 全国平均より、自店の来店客数と来店間隔の推移を見るほうが有益です。
二桁で伸びている領域があります
結論として、市場全体が縮小するなかで、男性向けの領域は逆に拡大しています。
消費者調査の内訳から、伸びている項目を挙げます。男性のアイビューティー市場は274億円で、前年から46.4%の増加。男性エステ市場全体は1,191億円で12.1%の増加。そのうち男性のフェイシャルエステは342億円で24.8%の増加。男性のリラクゼーション(脱衣を伴う施術)は518億円で23.9%の増加でした。
あわせて、業態別では理容室が唯一のプラスでした。2,958億円で、前年から0.7%の増加です。他の業態がすべて減少するなかでの微増であり、需要の移り方を考えるうえで示唆的な数字と言えます。
具体的に、これはサロンにとって何を意味するのか。男性のまつ毛やまゆ毛の施術、フェイシャルケア、ヘッドスパを含むリラクゼーションといった領域に、まだ供給が追いついていない可能性があります。特にアイビューティーの46.4%増は、市場規模自体は274億円と小さいものの、伸び率としては突出しています。
注意点として、伸びている数字だけを見てメニューを増やすのは危険です。男性向けの施術には、技術、設備、予約の枠、そしてスタッフの経験が必要になります。既存のお客様の中に需要があるかを確認せずに設備投資をすると、稼働しないまま固定費だけが増えることになりかねません。まずは既存のお客様への声かけから始めるのが現実的です。
あわせて読みたい:- 男性アイビューティーは274億円で46.4%増と、突出した伸びを示しました。
- 男性エステ全体は1,191億円で12.1%増、フェイシャルは24.8%増です。
- 業態別では理容室のみがプラス(2,958億円、0.7%増)でした。
- 伸び率だけを見た設備投資は避け、既存客の需要確認から始めるのが現実的です。
店舗は増え続けています
結論として、市場が縮小する一方で、美容所の数は増え続けています。
厚生労働省の衛生行政報告例によれば、2024年度末時点の美容所数は277,752施設で、前年度から3,682施設(1.3%)の増加でした。従業美容師数も588,291人で、8,523人(1.5%)の増加です。
対照的なのが理容所です。同時点で107,995施設と、前年度から2,302施設(2.1%)の減少。従業理容師数も194,531人で、4,936人(2.5%)の減少となっています。
この数字が意味するのは、1店舗あたりの取り分が構造的に細くなっているということです。市場が縮み、店舗が増えているのですから、平均で見れば1店舗あたりの売上は下がる方向に働きます。実際、美容室の倒産件数は2025年に235件と、2年連続で過去最多を更新したという調査結果もあります。
注意点として、これは「美容室を続けても仕方がない」という話ではありません。平均が下がるということは、平均より上と下の差が開くということでもあります。差がつく要素は、立地でも規模でもなく、来ていただいたお客様にもう一度来ていただけるかどうかに集約されていきます。
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あわせて読みたい:- 2024年度末の美容所数は277,752施設で、前年度から1.3%増加しました。
- 従業美容師数も588,291人と1.5%増えています。
- 理容所は107,995施設で2.1%減と、逆方向に動いています。
- 市場の縮小と店舗の増加が同時に起きており、1店舗あたりの取り分は細くなります。
この数字を、自店の判断にどう使うか
結論として、全国の数字は「自店の数字を測る物差し」として使うのが最も実用的です。
理由は、市場全体の動きに個店ができることは限られている一方、自店の来店客数や来店間隔は打ち手で動かせるからです。
具体的に、確認したい数字を3つ挙げます。
1. 実来店客数(延べではなく実人数)
過去12か月に一度でも来店された方が何人いるか。前年同期と比べて増えているか減っているか。延べ客数が横ばいでも実人数が減っていれば、一部の方の来店頻度で支えられている状態です。
2. 平均来店間隔
お客様が前回から次回まで何日空けているか。全国調査で女性の年間利用回数が4.18回ということは、平均すると約87日間隔です。自店の平均がこれより長ければ、間隔を縮める余地があるかもしれません。
3. 客層の構成比
男性のお客様の比率が、この1年でどう変わったか。全国では男性向け領域が伸びていますが、自店に同じ動きが出ているとは限りません。出ているなら、そこに供給を寄せる判断ができます。
注意点として、季節性も踏まえておく必要があります。総務省の家計調査をもとにした分析では、美容関連の支出が消費支出に占める割合は、長期的に見ると10月から12月にかけて高くなる傾向があるとされています。ただし年によっては横ばいの年もあり、必ずそうなるとは限りません。前年同月と比べる形で見るのが確実です。
- 全国の数字は、自店の数字を測る物差しとして使います。
- 確認したいのは実来店客数、平均来店間隔、客層の構成比の3つです。
- 女性の年間利用回数4.18回は、平均で約87日間隔にあたります。
- 美容関連支出は10月から12月に高まる傾向がありますが、年による差もあります。
まとめ:縮む市場と、伸びる領域が同時にあります
2026年に公表された複数の調査は、いずれも美容サロン市場の縮小を示しました。消費者調査ベースで前年比5.7%減、事業者売上ベースで前年度比1%減。1回あたりの単価は横ばいで、動いているのは利用率と来店頻度です。
一方で、男性向けのアイビューティーは46.4%増、男性エステ全体は12.1%増と、二桁で伸びている領域があります。業態別では理容室が唯一のプラスでした。市場全体の縮小と、特定領域の拡大が同時に起きているのが今の状況です。
そのうえで、美容所の数は増え続けています。1店舗あたりの取り分が細くなる構造のなかで差がつくのは、来ていただいたお客様にもう一度来ていただけるかどうかです。まずは自店の実来店客数と平均来店間隔を、前年同期と比べるところから始めてみてください。
FAQ:美容サロン市場の動向について、よくある質問
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