ローカルフェス・マルシェ出店でサロンを知ってもらう:当日オペと事前準備チェックリスト
更新日:2025年12月22日
- イベント出店の目的(認知度向上・技術PR・新規獲得など)を明確にすることで、当日の戦略と価格設定が決まります。
- 事前準備では、必要な道具リストと施術メニューの時短化(5〜10分で完結)が成功のカギです。
- 当日は声掛け役と施術役の役割分担を行い、来場者との対話を大切にして名刺や割引券を渡しましょう。
- イベント後のSNS発信とフォローアップで、一時的な接点を継続的な来店につなげることが重要です。
なぜ地域イベントへの出店が新規サロンに有効なのか
地域のフェスやマルシェへの出店は、開業間もないサロンにとって極めて費用対効果の高い集客手法です。チラシやWeb広告では届きにくい地域住民と、直接顔を合わせて対話できる貴重な機会となります。
美容サロン業界では、全国の施設数が年々増加し競争が激しくなっています。2017年時点で美容営業施設数は約25万店に達し、この20年間で約5万店増加しました。一方で、施設当たりの従業美容師数や人口あたりの美容師数は減少傾向にあり、競争環境はますます厳しくなっているのが現状です。
このような環境下で、新規サロンが認知を広げるには「顔が見える関係づくり」が重要になります。地域イベントへの出店は、まさにその第一歩です。実際に、商店街の祭りで無料編み込みサービスを行った美容室が、住民との接点を通じて後日の来店につながったという事例が報告されています。
また、イベント出店は広告費ゼロでできる宣伝手段でもあります。出店料がかかる場合もありますが、多くの地域イベントでは低額または無料でブース出店できる機会があり、大手集客サイトへの広告費と比較して格段にコストを抑えられます。
- 地域イベントは直接住民と対話できる貴重な認知拡大の場
- 競争激化の中、顔の見える関係づくりが差別化のポイント
- 広告費を抑えながら効果的な集客が可能
- イベント参加者が後日来店する実績が各地で報告されている
出店前に決めるべき3つの戦略ポイント
イベント出店を成功させる最初のステップは、目的を明確にすることです。「その場で売上を狙う」のか「認知度アップが第一か」で、戦略が大きく変わります。
1. 出店目的の明確化
目的に応じて、提供するサービスや価格設定が決まります。主な目的パターンは次の通りです。
認知度向上重視型:とにかく多くの人に体験してもらい、サロンの存在を知ってもらうことが目標です。この場合、原価度外視で無料〜ワンコインの低価格設定にし、施術人数を稼ぐことで技術PRと経験値獲得を優先します。例えば、地元秋祭りでキッズ向けヘアアレンジコーナーを無料提供したサロンでは、親御さんが喜び、後日七五三の相談に来店してくれるなど効果が表れました。
ブランドイメージ訴求型:サロンの専門性や高品質な技術を印象づけたい場合は、数より質の対応を心がけます。丁寧なカウンセリングやパンフレット配布に力を入れ、ターゲット層に深く刺さる体験を提供します。介護美容の普及に取り組む団体が各地のマルシェに出店し、施術よりも立ち話でサービス内容を説明して名刺を配ることに注力した結果、地域の介護関係者からコラボの声が掛かるなど、ネットワーク拡大につながった事例があります。
2. 提供メニューの選定
イベントで提供するメニューは「短時間で完結」「目に見える変化」「安全性」の3点を満たすものが適しています。具体的には次のようなメニューが好評です。
- ヘアアレンジ体験(編み込み、リボン飾りなど)
- ネイルワンポイントアート
- ハンドマッサージ
- 前髪カットやポイントカット
- 簡易ヘアカウンセリング
重要なのは、施術時間を5〜10分程度に収めることです。回転率が上がり、多くの人に体験してもらえます。編み込み一つにしても手際よく仕上げられるよう、事前練習が必須です。
3. ターゲット層の想定
出店するイベントの来場者層を想定し、それに合わせたメニューとトークを準備します。例えば、ファミリー層が多いマルシェなら親子向けのキッズヘアアレンジ、若年層が集まる音楽フェスならSNS映えする華やかなスタイリングといった具合です。
また、地域マルシェにおける美容ブースでは、来場者との対話が非常に大切です。「普段どこの美容室行かれてますか?」など会話を弾ませながら施術し、最後に自店の割引チケットや名刺を渡せば、強い印象を残せます。
- 出店目的(認知向上 or ブランド訴求)で価格と対応を変える
- 5〜10分で完結する簡易メニューが回転率を高める
- イベントの来場者層に合わせたメニュー選定が重要
- 来場者との対話と名刺・チケット配布で後日来店を促す
事前準備チェックリスト:持ち物と段取り
当日スムーズに運営するには、準備リストの作成が不可欠です。以下、カテゴリ別に必要な持ち物と準備事項をまとめます。
施術に必要な道具類
- 折りたたみ椅子(お客様用+スタッフ用)
- ミラー(手鏡や折りたたみ式ミラー)
- 延長コード・電源タップ(ドライヤーやヘアアイロンを使用する場合)
- 施術道具一式(コーム、ブラシ、ハサミ、ヘアゴム、ピン、スタイリング剤など)
- 消毒セット(アルコール、使い捨て手袋、ウェットティッシュ)
- ドライヤー・ヘアアイロン(電源が確保できる場合)
- ケープやタオル(施術時に使用)
ブース設営・演出関連
- テントまたは日よけ(屋外の場合は必須)
- テーブル・受付用デスク
- ブース装飾(のぼり旗、ポスター、サロン名パネル)
- フォトスポット用小道具(SNS投稿を促すため)
- おしゃれな敷物やマット(ブース内の雰囲気作り)
配布物・販促ツール
- 名刺・ショップカード(サロンの連絡先とアクセス情報)
- 割引チケット・初回来店クーポン
- パンフレットやメニュー表
- アンケート用紙(連絡先収集や感想ヒアリング用)
- QRコード付きポップ(予約サイトやSNSへの誘導)
運営・安全管理
- 予約受付用ノート・タブレット(列ができた場合の整理)
- 釣銭用小銭・現金(有料の場合)
- 救急セット(バンドエイド、消毒液など)
- ゴミ袋・ホウキ・チリトリ(片付け用)
- 飲料水・軽食(スタッフの休憩用)
事前確認事項
出店当日までに、主催者や会場側との調整も忘れずに行いましょう。
- 出店スペースのサイズと電源の有無
- 搬入・搬出の時間と駐車場の有無
- 天候不良時の対応(雨天中止か決行か)
- 出店料の支払い方法と期限
- 保険加入の要否(主催者側でカバーされるか確認)
- 施術道具・ブース設営・配布物をリスト化して漏れをなくす
- 屋外イベントではテント・日よけ・延長コードが必須
- 名刺・割引券・QRコードで後日来店の導線を設計
- 主催者との事前確認(電源・搬入時間・雨天対応)を徹底する
当日オペレーションのコツ:役割分担とスムーズな回し方
イベント当日は、限られた時間で最大限の成果を出すために、スタッフの役割分担と効率的なオペレーションが求められます。
スタッフ配置の基本
理想的なスタッフ配置は、最低2名体制です。役割を明確に分けることで、待ち時間を減らし、来場者に快適な体験を提供できます。
声掛け役(受付・案内担当):ブースの前を通る来場者に積極的に声をかけ、サービス内容を説明します。「無料で簡単なヘアアレンジ体験できますよ!」「お子様向けの編み込みやってます!」など、具体的で親しみやすいトークが効果的です。列ができた場合は予約受付を行い、待ち時間を伝えてストレスを軽減します。
施術役(美容師):実際の施術に集中します。施術中も来場者との対話を大切にし、「普段どんなスタイルがお好きですか?」「ご自宅でのヘアケアはどうされてますか?」といった会話を通じて、サロンへの興味を引き出します。施術終了時には必ずミラーで確認してもらい、写真撮影を勧めてSNS投稿を促しましょう。
回転率を上げる工夫
施術時間を短縮し、多くの人に体験してもらうための工夫をいくつか紹介します。
- メニューを限定する:「編み込みアレンジのみ」「前髪カットのみ」など、シンプルで時間のかからないメニューに絞ることで、判断と準備の時間を削減できます。
- 事前に施術手順を練習:5分以内で完成できるよう、スタッフ間でリハーサルを行います。特に複数名で施術する場合、クオリティのばらつきを防ぐため、手順を統一しておくことが重要です。
- 待機列の管理:混雑時は受付で名前を書いてもらい、順番を明確にします。待ち時間中にパンフレットを配布したり、サロンの特徴を紹介したりすることで、待ち時間も有効活用できます。
印象に残る接客のポイント
イベントでの短い接点を、後日の来店につなげるためには、来場者の記憶に残る体験を提供することが大切です。
- 笑顔と丁寧な言葉遣い:初対面の方が相手ですから、親しみやすさと安心感を与える接客を心がけます。
- 名前を呼ぶ:可能であれば名前を聞き、施術中に名前で呼びかけることで、パーソナルな関係性を演出できます。
- 施術後のフォロー:「ぜひお店にもいらしてくださいね」「こちら初回割引券です、◯月末まで有効ですのでお待ちしてます」と一言添えることで、来店への心理的ハードルを下げられます。
トラブル対応の準備
屋外イベントでは予期せぬトラブルも起こり得ます。以下のような対応を事前に想定しておきましょう。
- 天候急変:突然の雨や強風に備え、テントの固定や機材の防水対策を万全にします。
- 電源トラブル:延長コードのブレーカーが落ちる場合に備え、バッテリー式の機材や手作業で完結できる施術も準備します。
- お客様の体調不良:体調が悪くなった方がいた場合、すぐに主催者スタッフや救護班に連絡できるよう、連絡先を把握しておきます。
- 声掛け役と施術役の2名体制で効率的に運営
- 施術時間5分以内を目標に事前練習で手順を統一
- 来場者の名前を呼び、施術後に割引券と一言を添える
- 天候トラブルや電源問題への対応を事前に準備
イベント後のフォローアップで来店につなげる方法
イベント当日だけで終わらせず、後日の来店につなげるアフターフォローが成功の鍵です。イベントで得た接点を、継続的な関係に発展させましょう。
SNS発信とハッシュタグ活用
イベント終了後、すぐにSNSで当日の様子を投稿します。施術中の写真や来場者の笑顔(許可を得た上で)、スタッフの集合写真などを投稿し、イベントの雰囲気を伝えましょう。
ハッシュタグは「#◯◯マルシェ」「#地域名イベント」「#サロン名」などを付けて、来場者が後から検索しやすくします。実際に、「イベントで話した方が後日カラーをしに来てくれた」「SNSに出店の様子を載せたら反響があった」という声が多数報告されています。
連絡先を収集した場合のフォロー
イベント会場でアンケートやLINE登録を促した場合、1週間以内にお礼メッセージを送ります。例えば、「先日は◯◯マルシェにお立ち寄りいただきありがとうございました。初回ご来店時に使える特別クーポンをプレゼントします」といった内容で、来店のきっかけを作ります。
ただし、頻繁なメッセージは逆効果になるため、最初の1通はお礼と特典案内にとどめ、その後は月1回程度の配信に留めるのが適切です。
次回イベント出店への改善
イベント終了後、スタッフ間で振り返りを行い、次回に向けた改善点を洗い出します。
- 施術人数と所要時間の記録
- 配布した名刺・チケットの枚数
- 来場者からの質問や要望
- スタッフが感じた運営上の課題
これらを記録しておくことで、次回イベントではさらに効率的で効果的な出店が可能になります。また、1回の出店で効果を判断せず、複数回参加して地域での認知を積み重ねることも重要です。
- イベント後すぐにSNS投稿し、ハッシュタグで拡散を狙う
- 連絡先収集した場合は1週間以内にお礼と特典を送る
- 振り返りを記録し、次回イベントへの改善につなげる
- 継続的な出店で地域での認知を積み重ねる
成功事例に学ぶ:地域イベント出店の実践ポイント
実際に地域イベント出店で成果を上げているサロンの事例から、成功のエッセンスを抽出します。
事例1:商店街イベントでファミリー層を獲得
三重県四日市市では、美容師会と駅前商店街が連携し、毎年「商店街 魅力アップイベント」を開催しています。2025年5月にはすわ公園通り商店街を会場に、着付け&ヘアショー、地元美容専門学校による古着ファッションショー、ライブ演奏、マルシェ&キッチンカーなど盛りだくさんの内容でした。
美容×ファッション×音楽×グルメを融合させた地域フェスのような形式で、来街者数アップと美容師の技術発信を実現しました。商店街側にとっても、平時は客層が異なる若年女性や家族連れが足を運ぶきっかけとなり、イベント当日は通り全体が大いに賑わいました。
このような大規模イベントへの参加は、サロン単独では難しいですが、地域の美容師会や商店街組合に声をかけることで参加の道が開けます。
事例2:マルシェ出店で専門性をアピール
介護美容の普及に取り組む団体が各地のマルシェに出店し、施術よりも立ち話でサービス内容を説明して名刺を配ることに注力しました。その結果、地域の介護関係者からコラボの声が掛かるなど、ネットワーク拡大につながりました。
この事例が示すように、イベント出店の目的は必ずしも「その場での売上」ではなく、「専門性の認知」や「将来的なビジネスチャンスの種まき」であることもあります。自サロンの強みや特徴を明確にし、それに合った来場者とじっくり対話する戦略も有効です。
事例3:継続開催でファンコミュニティ化
埼玉県熊谷市のサロンでは、毎年11月3日の文化の日に顧客や近隣店舗も参加する「文化祭イベント」を6年間継続開催し、年々盛況にしています。最初は小規模なフリーマーケットから始め、ニュースレターでの告知・報告を毎年欠かさず行った結果、3年目には常連客が友人や家族を連れてくる人気イベントに成長しました。
この事例から学べるのは、1回限りではなく継続的にイベント出店を行うことで、「このサロンはいつも地域で楽しいことをやっている」というブランドイメージが定着し、ファンコミュニティが形成されることです。
- 商店街や美容師会と連携することで大規模イベント参加が可能
- 売上よりも専門性の認知やネットワーク構築を目的にする手もある
- 継続的な出店でブランドイメージを定着させファンを育てる
- イベント後の報告発信で「次も参加したい」と思わせる
よくある失敗パターンと対策
イベント出店で陥りがちな失敗を事前に知っておくことで、トラブルを回避できます。
失敗1:目的が曖昧なまま出店
「とりあえず出てみよう」と目的を明確にせずに出店すると、価格設定やメニュー選定、スタッフ配置がすべて中途半端になります。結果として、来場者にも印象に残らず、後日の来店にもつながりません。
対策:出店前に必ず「認知度向上」「技術PR」「売上確保」など主目的を一つ決め、それに沿った戦略を立てましょう。
失敗2:施術時間が長すぎて回せない
通常サロンで行うような丁寧な施術をそのままイベントで提供しようとすると、1人あたり30分〜1時間かかり、ほとんど体験者が増えません。長蛇の列で諦めて去ってしまう来場者も出ます。
対策:イベント用に5〜10分で完結する簡易メニューを開発し、事前に練習しておきます。質より量を優先する割り切りも必要です。
失敗3:配布物がなく後日連絡できない
名刺や割引券を用意せず、口頭で「ぜひ来てくださいね」と言っただけでは、来場者は後日サロンを思い出すことができません。
対策:最低限、サロン名・住所・電話番号・地図が載った名刺かショップカードを必ず用意し、施術後に手渡します。QRコードで予約サイトやSNSに誘導できればさらに効果的です。
失敗4:イベント後のフォローがない
当日頑張って接客しても、その後何も発信しなければ、来場者の記憶から薄れていきます。
対策:イベント終了後すぐにSNSで写真と感謝のメッセージを投稿します。連絡先を収集した場合は1週間以内にフォローメッセージを送ります。
- 目的を明確にしないと戦略がブレて効果が出ない
- 施術時間5〜10分に短縮しないと回転率が上がらない
- 名刺や割引券がないと後日来店につながらない
- イベント後のSNS発信とフォローが記憶を定着させる
まとめ:地域イベント出店を成功させる5つのステップ
地域のフェスやマルシェへの出店は、新規サロンが広告費をかけずに地域での認知を広げる絶好のチャンスです。本記事でご紹介した内容をもとに、以下の5つのステップで準備と実行を進めましょう。
■出店目的を明確にする:認知度向上か売上確保か、主目的を一つ決めて戦略を立てます。
■短時間で完結する簡易メニューを開発:5〜10分で完了する施術を事前練習で完成させます。
■持ち物リストを作成し事前確認を徹底:道具・配布物・運営ツールを漏れなく準備し、主催者との調整も忘れずに。
■当日は役割分担とスムーズな回転を意識:声掛け役と施術役を分け、来場者との対話を大切にして名刺・割引券を配布します。
■イベント後のSNS発信とフォローで来店を促す:当日の様子を投稿し、連絡先収集した方には1週間以内にメッセージを送ります。
地域イベントへの出店は、1回だけで劇的な効果が出るものではありません。しかし、継続的に参加し、地域住民との接点を積み重ねることで、「いつもあのイベントに出ているサロン」として認知され、信頼が生まれます。その信頼が、やがて安定した来店客と口コミにつながっていくのです。
新規オープンのサロンにとって、地域との関係づくりは何よりも大切な経営基盤です。ぜひ本記事のチェックリストを活用して、次の地域イベントへの出店を成功させてください。
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