初回→指名に変えるカウンセリング台本|ヒアリング→提案→再確認
更新日:2025年12月1日
お客様の7割は提案を望んでいるため、プロとして積極的に提案することが満足度向上につながります。
ヒアリング→提案→再確認の3ステップで構成された台本を実践すれば、リピート率は飛躍的に向上します。
次回予約の提案は初回施術後のタイミングが最も効果的で、自然な流れで次回来店を促せます。
共感力と専門知識を組み合わせた対話が、一見客を指名客へと育てる鍵となります。
なぜ初回カウンセリングが指名獲得の分岐点なのか
初回来店のお客様が次回も来店するかどうかは、技術の良し悪しだけでは決まりません。リピート率を左右する最大の要因は、カウンセリングでどれだけ信頼関係を築けたかにあります。
美容業界の調査によると、新規顧客の平均リピート率は90日以内で約30%にとどまっています。これは、10人の新規客のうち7人が二度と来店しない計算です。一方で、適切なカウンセリングと次回提案を徹底したサロンでは、リピート率70%超えという成果も報告されています。
カウンセリングが重要な理由は3つあります。第一に、お客様の潜在ニーズを引き出せることです。多くのお客様は自分の髪の悩みを正確に言語化できず、「なんとなく」という曖昧な要望しか伝えられません。プロがヒアリングを通じて本当の課題を見つけ出すことで、お客様は「この人は自分のことを分かってくれている」と感じます。
第二に、プロとしての提案機会を得られることです。実は、お客様の7割は美容師からの提案を望んでいるというデータがあります。しかし、提案がないまま施術が終わってしまうケースが非常に多く、これが機会損失につながっています。カウンセリングで適切な提案ができれば、お客様は「ここに来れば髪のことを任せられる」という安心感を持ちます。
第三に、次回来店の動機づけができることです。初回施術後のタイミングで次回のメンテナンス時期や提案メニューを伝えることで、お客様に「また来なければ」という自然な理由が生まれます。カウンセリングで築いた信頼関係があれば、次回予約の声かけも押し売り感なく行えます。
カウンセリングは単なる施術前の作業ではなく、一見客を指名客へと育てる最重要プロセスなのです。この認識を持つことが、リピート率向上の第一歩となります。
- 新規客の平均リピート率は30%だが、適切なカウンセリングで70%超えも可能
- お客様の7割はプロからの提案を望んでいるが、多くのサロンで提案不足が課題
- カウンセリングは潜在ニーズの発見、提案機会の創出、次回来店の動機づけという3つの役割を果たす
- 初回施術時に築いた信頼関係が、指名客獲得の土台となる
ステップ1:ヒアリング|お客様の本音を引き出す7つの質問
カウンセリングの最初のステップは、お客様の髪の悩みや理想を深く理解するヒアリングです。ここで重要なのは、表面的な要望だけでなく、お客様自身も気づいていない潜在的な課題を引き出すことです。
効果的なヒアリングには、以下の7つの質問が有効です。これらは単独で使うのではなく、会話の流れの中で自然に織り交ぜることで、お客様の本音を引き出します。
質問1:「今日はどのようなスタイルをご希望ですか?」
まずは基本の質問から入ります。ただし、ここで終わらせずに次の質問で深掘りするのがポイントです。「ショートにしたい」という回答があれば、「ショートの中でも、どんな雰囲気がお好みですか?」と具体化を促します。
質問2:「普段、髪のことで困っていることはありますか?」
これは悩みを引き出す質問です。「朝のスタイリングに時間がかかる」「くせ毛で広がる」など、お客様の日常の困りごとが分かれば、それに対応した提案ができます。ここで重要なのは、お客様の言葉を否定せず、共感しながら聞くことです。「分かります、朝は忙しいですよね」と相槌を打つだけで、お客様は話しやすくなります。
質問3:「今のスタイルで気に入っている部分はありますか?」
意外と見落とされがちですが、お客様が気に入っている部分を残すことも大切です。「前髪の長さは気に入っている」「トップのボリューム感は好き」という情報があれば、その部分は変えずに他を調整する提案ができます。
質問4:「ご自宅でどのくらいスタイリングに時間をかけられますか?」
ライフスタイルに合わせた提案をするための質問です。「朝5分しか時間がない」というお客様に、複雑なスタイリングが必要なスタイルを提案しても満足度は上がりません。逆に、時間をかけられる方には、アレンジ方法も含めて提案できます。
質問5:「今まで美容室で嫌だったことや、こうしてほしかったことはありますか?」
過去の不満を聞き出すことで、同じ失敗を避けられます。「思ったより短くされた」「イメージと違った」という経験があれば、今回は特に注意して、こまめに確認しながら施術を進めることができます。
質問6:「お仕事や普段の服装はどんな感じですか?」
TPOに合った提案をするための質問です。オフィスワークの方には派手すぎない落ち着いたカラー、アパレル勤務の方にはトレンド感のあるスタイルなど、ライフスタイルに応じた提案ができます。
質問7:「今日は特に気になる部分や、絶対に直したい部分はありますか?」
優先順位を明確にする質問です。お客様が最も気にしている部分を確実に解決することで、満足度が高まります。「前髪の長さだけは絶対に失敗したくない」という要望があれば、その部分を最優先で対応します。
これらの質問を通じて、お客様の表面的な要望だけでなく、ライフスタイル、過去の経験、優先順位まで理解することができます。ヒアリング中は、お客様の言葉を最後まで遮らず、相槌と共感を大切にしながら聞き役に徹することが信頼構築の鍵です。
- 7つの質問を会話の中で自然に織り交ぜることで、お客様の本音を引き出す
- 表面的な要望だけでなく、ライフスタイルや過去の経験まで深堀りする
- お客様の言葉を否定せず、共感しながら聞き役に徹することが信頼構築のポイント
- 優先順位を明確にすることで、確実に満足度を高められる
ステップ2:提案|プロの視点で「気づき」を与える台本例
ヒアリングで得た情報をもとに、次はプロとしての提案を行います。ここで大切なのは、お客様が自覚していない問題点を指摘し、その解決策を提示することです。提案があることで、お客様は「このスタイリストは信頼できる」と感じ、指名につながります。
提案には「問題提起→解決策提示→メリット説明」という3段階の流れがあります。以下、具体的な台本例で解説します。
台本例1:カラーの褪色に悩むお客様への提案
「お話を伺った感じですと、カラーの色持ちが気になっていらっしゃるんですね(共感)。実は、カラーの褪色には髪のダメージと日々のシャンプーが大きく影響しているんです(問題提起)。今日は、カラーの発色を良くするために、まず髪のベースを整えるトリートメントを組み合わせることをおすすめします(解決策提示)。これをすることで、色がしっかり入って、次回のカラーまで綺麗な状態が保てますよ(メリット説明)。また、ご自宅でもカラー用のシャンプーを使っていただくと、さらに色持ちが良くなります(ホームケア提案)。」
台本例2:朝のスタイリングに時間がかかるお客様への提案
「朝5分しか時間がないとのことですが、それなら乾かすだけで形が決まるスタイルがいいですね(共感)。今のスタイルだと、毛量が多い部分とレイヤーのバランスで、広がりやすくなっているんです(問題提起)。レイヤーの入れ方を調整して、内側の毛量を減らすことで、乾かすだけでまとまるスタイルになりますよ(解決策提示)。アイロンを使わなくても、自然な丸みが出るので、朝の時間が本当に楽になります(メリット説明)。」
台本例3:初めてのショートスタイルを希望するお客様への提案
「ショートにされるのは初めてなんですね。少し不安もあるかと思います(共感)。ショートは顔まわりのラインがとても重要で、お客様の場合、顎のラインに沿った長さにすると、小顔効果も出てバランスが良くなります(問題提起)。今日は、まず肩につくくらいのボブから始めて、様子を見ながら短くしていくのはいかがでしょうか(解決策提示)。段階的に短くすることで、ご自身でもイメージしやすいですし、万が一のときも調整がききます(メリット説明)。ショートは実は、スタイリングが簡単で、朝の時間も短縮できるんですよ(追加メリット)。」
提案のポイントは、専門用語を避けて分かりやすい言葉で説明することです。「レイヤー」「グラデーション」などの言葉を使う場合は、必ず補足説明を加えます。また、視覚的なイメージを共有するために、ヘアカタログや色見本を見せながら説明すると、お客様の理解度が高まります。
さらに、提案は一方的に押し付けるのではなく、「いかがでしょうか?」「ご希望に合いそうですか?」と、お客様の意見を確認しながら進めることが大切です。お客様が納得していない様子であれば、別の提案を用意しておくと柔軟に対応できます。
提案の最後には、必ず次回のメンテナンス時期についても触れておきます。「今回のカラーは、だいたい6週間くらいで色が抜けてくるので、次は○月上旬頃にリタッチするといいですよ」と具体的な時期を伝えることで、お客様の中に次回来店の予定が自然に組み込まれます。
- 提案は「問題提起→解決策提示→メリット説明」の3段階で構成する
- 専門用語を避け、お客様が理解しやすい言葉で説明する
- ヘアカタログや色見本などの視覚資料を活用して、イメージを共有する
- 提案の最後に次回メンテナンス時期を伝えることで、自然に次回来店を促す
ステップ3:再確認|施術後の満足度を高める3つのチェックポイント
施術が終わったら、必ず再確認のステップを踏みます。ここでお客様の満足度を確認し、不安があれば解消することで、「また来たい」という気持ちを強めることができます。
再確認には3つのチェックポイントがあります。
チェックポイント1:仕上がりの確認
鏡でお客様と一緒に仕上がりを確認します。この際、単に「いかがですか?」と聞くのではなく、「前髪の長さはイメージ通りでしょうか?」「後ろの長さはこのくらいで大丈夫ですか?」と、具体的な部分を確認します。お客様が少しでも不安そうな表情をしていれば、「何か気になる部分はありますか?遠慮なくおっしゃってくださいね」と声をかけます。
チェックポイント2:スタイリング方法の説明
お客様が自宅でも同じスタイルを再現できるように、簡単なスタイリング方法を説明します。「乾かすときは、この部分を内側に向けてブローすると、自然な丸みが出ますよ」「ワックスはこのくらいの量で、毛先に揉み込むだけで大丈夫です」など、具体的な手順を実演しながら伝えます。お客様が自宅で再現できると、満足度が持続し、次回も来店したくなります。
チェックポイント3:次回のメンテナンス提案
施術後のタイミングで、次回の来店時期を提案します。「今日のスタイルを綺麗に保つためには、だいたい○週間後にメンテナンスするといいですよ」と具体的な時期を伝えます。お客様の反応が良ければ、「今、○月○日の○時が空いているんですが、いかがですか?」と、その場で次回予約を提案します。
次回予約の提案は、決して押し売りではありません。お客様の7割は提案を望んでおり、適切な提案はむしろ喜ばれます。ただし、お客様が迷っている様子であれば、「予約は後日でも大丈夫ですので、LINEでご連絡いただければいつでも対応しますね」と、柔軟に対応することも大切です。
施術後には、サンクスメールやLINEでフォローメッセージを送ることも効果的です。「昨日はご来店ありがとうございました。スタイルの調子はいかがでしょうか?」といった一言を送るだけで、お客様は「気にかけてもらえている」と感じ、サロンへの親近感が増します。
再確認のステップは、お客様との関係を一過性で終わらせず、継続的なものにするための重要なプロセスです。初回施術後のフォローが、指名客獲得の最後の決め手となります。
- 仕上がり確認は具体的な部分を指摘しながら、お客様の不安を解消する
- 自宅でのスタイリング方法を実演しながら説明することで、満足度が持続する
- 施術後のタイミングで次回メンテナンス時期を提案し、自然に次回予約につなげる
- サンクスメールやLINEでのフォローが、お客様との継続的な関係構築に有効
よくある失敗パターンと改善策
カウンセリングでよくある失敗パターンを知っておくことで、同じミスを避けられます。ここでは、代表的な3つの失敗とその改善策を紹介します。
失敗パターン1:お客様の話を途中で遮ってしまう
お客様が話している途中で、「それならこうしましょう」と提案を始めてしまうケースです。これでは、お客様は「最後まで聞いてもらえなかった」と不満を感じます。改善策は、お客様の話が一段落するまで、じっくり聞き役に徹することです。相槌を打ちながら、「他にも気になることはありますか?」と促すことで、お客様は安心して話せます。
失敗パターン2:専門用語を使いすぎて、お客様が理解できない
「レイヤーを入れてグラデーションで」「ブリーチしてからダブルカラーで」など、専門用語を並べてしまうと、お客様は理解できず不安になります。改善策は、専門用語を使う際は必ず補足説明を加えることです。「レイヤーというのは、段差をつけて軽さを出す技術です」「ブリーチは髪の色を抜く作業で、その後に色を入れると綺麗に発色します」と、分かりやすく説明します。
失敗パターン3:提案をせずに、お客様の言う通りに施術してしまう
お客様の要望を聞いただけで、プロとしての提案をしないケースです。これでは、お客様は「もっとアドバイスが欲しかった」と感じ、次回は他のサロンに行ってしまう可能性があります。改善策は、必ず一つ以上の提案を加えることです。「ご希望のスタイルに、こういった工夫を加えると、さらに素敵になりますよ」と、プロの視点からの提案を忘れずに行います。
これらの失敗パターンを避けるためには、カウンセリングのロールプレイング練習が有効です。スタッフ同士で練習し、フィードバックし合うことで、実践的なスキルが身につきます。
- お客様の話を最後まで聞き、途中で遮らないことが信頼構築の基本
- 専門用語は必ず補足説明を加え、お客様が理解できる言葉で伝える
- 要望を聞くだけでなく、プロとしての提案を必ず加えることが重要
- スタッフ間でのロールプレイング練習が、実践的なスキル向上に効果的
次回予約獲得率を高める3つのクロージング技術
カウンセリングの最後に、次回予約を獲得できるかどうかが、リピート率を大きく左右します。次回予約の声かけは、タイミングと言い方が重要です。ここでは、次回予約獲得率を高める3つのクロージング技術を紹介します。
技術1:具体的な時期を伝える
「また来てくださいね」という曖昧な声かけではなく、「次は○週間後の○月上旬頃がおすすめです」と具体的な時期を伝えます。お客様の中に次回来店のスケジュールが明確になることで、予約する確率が高まります。カラーなら「色持ちは6週間程度なので、次は○月上旬にリタッチしましょう」、カットなら「このスタイルは1.5ヶ月くらいで形が崩れてくるので、次は○月中旬にメンテナンスがおすすめです」と、理由と共に伝えます。
技術2:次回予約の特典をつける
「次回ご予約いただくと、トリートメントを5分延長サービスします」「○月○日までにご来店いただくと、ヘッドスパが半額になります」など、次回予約の特典を用意することで、お客様の背中を押すことができます。ただし、値引きよりも、「サービス追加」や「無料オプション」の方が、価値を下げずに魅力を伝えられます。
技術3:選択肢を提示する
「次回のご予約はいかがですか?」という二択ではなく、「次回は○月○日か○月○日、どちらがご都合よろしいですか?」と、予約することを前提とした選択肢を提示します。これは「イエス・バット法」と呼ばれる技術で、お客様は自然に日程を選ぶ流れになります。もしお客様が「今は予定が分からない」と答えた場合は、「では後日LINEでご連絡いただければ、いつでも対応しますね」と柔軟に対応します。
次回予約の声かけは、決して強引に行うものではありません。お客様の利益を第一に考え、「綺麗な状態を保つために」という視点で提案することが大切です。適切な次回提案は、お客様にとっても「次に来るタイミングが分かって助かる」というメリットがあります。
- 次回来店の具体的な時期を理由と共に伝えることで、予約率が高まる
- 値引きではなく、サービス追加や無料オプションで特典をつける
- 「どちらがご都合よろしいですか?」と選択肢を提示する技術が効果的
- お客様の利益を第一に考えた提案が、自然な次回予約につながる
まとめ:カウンセリング台本を実践して指名客を増やそう
初回来店のお客様を指名客に変えるカウンセリング台本は、ヒアリング→提案→再確認という3つのステップで構成されます。ヒアリングでは7つの質問を活用してお客様の本音を引き出し、提案では問題提起→解決策提示→メリット説明の流れでプロの視点を伝え、再確認では仕上がり確認とスタイリング説明、次回予約提案を行います。
カウンセリングは単なる施術前の作業ではなく、お客様との信頼関係を築き、一見客を指名客へと育てる最重要プロセスです。お客様の7割はプロからの提案を望んでおり、適切なカウンセリングがあれば、リピート率70%超えも実現可能です。
今日から、この台本を実践してみてください。まずは7つのヒアリング質問から始め、徐々に提案と再確認のステップを加えていきましょう。スタッフ間でロールプレイング練習を行い、フィードバックし合うことで、実践的なスキルが身につきます。
カウンセリングの質が向上すれば、お客様の満足度が高まり、次回予約率も自然に上がります。一人ひとりのお客様と丁寧に向き合うことが、結果的にサロン全体のリピート率向上と売上アップにつながります。ビューティーメリットのような予約管理システムを活用すれば、顧客情報を一元管理でき、よりパーソナライズされたカウンセリングが可能になります。
初回カウンセリングは、お客様との長い関係の始まりです。この記事で紹介した台本を活用し、一人でも多くのお客様を指名客へと育てていきましょう。
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