美容サロンの値上げ前後90日の運用計画
美容サロン値上げ

美容サロン値上げ”前後90日”の運用計画|告知テンプレ・FAQ・アフターフォロー

更新日:2025年12月1日

価格改定は美容サロンにとって避けて通れない経営判断ですが、伝え方ひとつでお客様の反応は大きく変わります。値上げ実施日を基準に「前45日・後45日」の計90日間をどう設計し、何を伝え、どうフォローするかで離客率は大きく変わるのです。本記事では、告知文テンプレートや想定FAQ、実施後のアフターフォローまで、値上げを成功させる実務ロードマップを時系列で解説します。
【大事なこと】値上げは「前45日告知開始・30日前に全面展開・当日は感謝メッセージ・後45日間は個別フォロー」の4段階で設計する
告知では値上げ理由を具体的に明示し、既存客への感謝と品質向上の約束をセットで伝える
FAQ準備とスタッフへの事前共有で、現場での質問対応の不安を解消する
実施後は来店頻度や予約履歴をモニタリングし、遠のいた客には個別メッセージで再来を促す
価格改定は「コスト転嫁」でなく「価値再提示」のタイミングと位置づけることが成功の鍵

なぜ90日間の設計が必要なのか

値上げを告知してから定着するまでには、十分な準備期間と実施後のフォロー期間が不可欠です。実施日の前45日から準備を始め、後45日間でお客様の反応を見守る「前後90日設計」が、離客を最小限に抑える現実的な運用モデルとされています。

多くのサロンオーナーが「お客様が離れるのでは」という不安から価格改定に踏み切れない現状があります。実際、調査では美容室経営者の7割以上が仕入れ価格上昇の影響を受けているにもかかわらず、71%が据え置きを選択しているというデータも存在します。しかし適切な告知とフォローがあれば、お客様は「やむを得ない」と理解してくださるケースが大半なのです。

90日間という期間設定には明確な根拠があります。まず告知から実施まで30〜45日あれば、お客様が心の準備をする時間として十分です。逆に直前告知は「急な値上げ」という印象を与え、不信感につながります。実施後45日間は、お客様の来店サイクル(平均2〜3ヶ月)を考慮したフォロー期間です。この間に一度も来店されなければ、失客リスクが高まるため個別アプローチが必要になります。

また、この90日間は単なる告知期間ではなく、「サロンの価値を再認識していただく期間」でもあります。値上げ理由とともに、技術力・接客・空間・使用薬剤など、他店にない強みを改めて発信することで、価格に見合う価値があると納得していただく土台を作ります。

【要点まとめ】

  • 値上げは「前45日+後45日=計90日」の時系列設計で離客率を最小化できる
  • 7割以上のサロンがコスト高騰に直面するも、適切な告知で理解は得られる
  • 告知期間は心の準備、実施後期間は来店サイクル監視とフォローに充てる
  • 90日間を「サロンの価値再提示期間」と位置づけ、強みを再発信する

前45日:告知フェーズの具体的スケジュール

値上げを決定したら、まず実施日の45日前から告知準備を始めます。初動の丁寧さがその後の反応を左右するため、段階的に情報を広げていく設計が重要です。

【45〜40日前:内部準備と告知文作成】
まずスタッフ全員に価格改定の方針と理由を共有します。現場で直接お客様と接するスタッフが理解していなければ、質問に答えられず不信感を招きます。スタッフミーティングで「なぜ今値上げするのか」「どれだけ上がるのか」「お客様にどう説明するか」を全員で確認しましょう。同時に告知文の作成も進めます。後述するテンプレートをベースに、自店の状況に合わせた文章を準備します。

【40〜30日前:店内告知開始】
店内ポスターやPOPで告知を開始します。受付やミラー前など、お客様の目に留まる場所に掲示し、「〇月〇日より料金改定させていただきます」と明示します。この段階では詳細な金額表よりも、改定の事実と理由を簡潔に伝えることが優先です。また会計時にスタッフから一言「来月から料金が変わりますので、ご確認ください」と声をかけることで、気づいていただく機会を増やします。

【30〜20日前:全面告知展開】
ホームページ、SNS、LINE公式アカウント、メールなど、全チャネルで正式告知を行います。告知文には実施日・新料金・理由・感謝の4要素を必ず盛り込みます。特にLINEやメールは開封率が高いため、既存のお客様全員に確実に届けられる手段として活用します。投稿やメッセージには「ご不明な点はお気軽にお問い合わせください」と添え、質問しやすい雰囲気を作ります。

【20〜0日前:個別案内と最終確認】
予約が入っているお客様には、予約確認の際に改めて価格改定を伝えます。「次回ご来店時から新料金となります」と具体的に案内することで、当日の驚きを防ぎます。また常連のお客様には、可能であれば施術中の会話で「いつもありがとうございます。来月から料金が変わりますが、引き続きよろしくお願いします」と直接感謝を伝えると、関係性が深まります。実施直前にはSNSやLINEで最終リマインドを投稿し、周知の徹底を図ります。

【要点まとめ】

  • 45〜40日前にスタッフ共有と告知文作成、現場の理解が最優先
  • 40〜30日前に店内掲示で段階的認知、会計時の声かけで気づきを促す
  • 30〜20日前に全チャネル展開、理由と感謝を明示した正式告知を実施
  • 20〜0日前は予約客への個別案内と常連への直接感謝で信頼維持

告知文テンプレートと記載必須4要素

告知文には「実施日」「新料金」「理由」「感謝」の4要素を必ず含めます。これらが揃っていないと、お客様は「なぜ?」「いくら?」「いつから?」という疑問を抱いたまま不安になります。

【テンプレート例】

いつも〇〇(サロン名)をご利用いただき、誠にありがとうございます。

日頃のご愛顧に心より感謝申し上げます。
さて、昨今の原材料費・光熱費の高騰により、現在の料金体系での運営継続が困難な状況となりました。これまで企業努力で価格を据え置いてまいりましたが、より良いサービスを安定してご提供し続けるため、誠に不本意ながら料金を改定させていただくことになりました。

【実施日】令和〇年〇月〇日(〇曜日)ご来店分より
【改定内容】カット 4,500円→5,000円 / カラー 6,000円→6,500円(税込)
※詳細は店頭メニュー表またはホームページをご覧ください

お客様には大変ご負担をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
今後もスタッフ一同、技術向上とサービス品質の向上に努めてまいります。引き続き変わらぬご愛顧を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
〇〇(サロン名) スタッフ一同

【記載時の注意点】
理由は具体的に書きます。「諸般の事情により」だけでは納得感がありません。「原材料費高騰」「光熱費上昇」「技術向上のための投資」など、実情を正直に伝えることで、お客様は「仕方ない」と理解してくださいます。ただし過度に悲観的な表現は避け、「今後も品質を守るため」と前向きに締めくくります。

新料金は主要メニューを明示します。全メニューを列挙すると読みづらいため、カット・カラー・パーマなど代表的なものを2〜3点記載し、「詳細は店頭で」と案内します。また改定幅が大きい場合は、段階的な値上げも検討に値します。一度に1,000円上げるより、500円ずつ2回に分けた方が、心理的抵抗は小さくなります。

【要点まとめ】

  • 告知文には「実施日・新料金・理由・感謝」の4要素が必須
  • 理由は「原材料費高騰」など具体的に、ただし前向きな締めくくりで
  • 新料金は主要メニュー2〜3点を明示、詳細は別途案内で読みやすく
  • 改定幅が大きい場合は段階的値上げで心理的抵抗を緩和する手も

想定FAQ集とスタッフ対応マニュアル

値上げ告知後、お客様から寄せられる質問は概ね共通しています。事前にFAQを準備し、スタッフ全員が同じ回答をできるようにしておくことで、現場の不安と混乱を防ぎます。

【FAQ例】

Q1. なぜ値上げするのですか?
A1. 原材料費や光熱費の高騰により、現在の料金では高品質なサービスの維持が困難になったためです。お客様に今後も安心してご利用いただけるよう、やむを得ず改定させていただきました。

Q2. いつから新料金になりますか?
A2. 〇月〇日のご来店分から新料金が適用されます。それ以前のご予約は現行料金でご案内いたします。

Q3. 全メニューが値上がりするのですか?
A3. 主要メニューを中心に改定させていただきます。詳しくは店頭のメニュー表、またはスタッフまでお気軽にお尋ねください。

Q4. 他のサロンも値上げしているのですか?
A4. 美容業界全体で原材料費の高騰が課題となっており、多くのサロンが同様の対応を検討している状況です。私どもも長く据え置いてまいりましたが、品質維持のため改定を決断いたしました。

Q5. 常連客への割引などはありませんか?
A5. 誠に恐れ入りますが、一律での改定とさせていただきます。今後もポイント制度やキャンペーンなどで、ご愛顧いただいているお客様への感謝の気持ちをお伝えしてまいります。

【スタッフ対応のポイント】
質問を受けた際は、まず「ご心配をおかけして申し訳ございません」と丁寧に受け止めます。その上で、準備したFAQに沿って誠実に説明します。スタッフごとに説明内容が異なると不信感につながるため、事前ミーティングで回答内容を統一しておくことが重要です。

また、お客様の反応をメモしておくことも推奨されます。「〇〇様は『仕方ないね』と理解してくださった」「△△様は少し不満そうだった」など記録し、次回来店時のフォローに活かします。不満を示されたお客様には、次回来店時に「先日はご理解いただきありがとうございました」と一言添えるだけで、印象が大きく変わります。

【要点まとめ】

  • 想定FAQを準備し、スタッフ全員が統一回答できる体制を整える
  • 質問には「ご心配をおかけして」と受け止めてから誠実に説明
  • お客様の反応をメモし、次回来店時のフォローに活用する
  • 不満を示された方には次回「ご理解ありがとうございました」と感謝を

実施当日〜後45日:アフターフォロー設計

価格改定実施日を迎えたら、そこからが本当の勝負です。後45日間は「お客様が離れていないか」を注意深く見守り、必要に応じて個別フォローを行います。

【実施当日:感謝メッセージ配信】
実施日当日または翌日に、LINE公式アカウントやメールで全体メッセージを配信します。内容は「本日より新料金となりました。ご理解とご協力に心より感謝申し上げます。今後もより良いサービスをお届けできるよう努めてまいります」といった簡潔なものです。このひと手間で、お客様は「ちゃんと対応している」と安心されます。

【実施後1〜2週間:初回来店客の反応確認】
新料金で初めて来店されたお客様の反応を確認します。会計時に「今回から新料金となりますが、引き続きよろしくお願いします」と一言添え、表情や反応を観察します。特に問題なくお支払いいただければ、大きな抵抗はないと判断できます。もし「高くなったね」と言われたら、「ご負担をおかけして申し訳ございません。その分、技術とサービスで還元させていただきます」と前向きに応えます。

【実施後3〜4週間:予約状況モニタリング】
新料金後の予約数や予約率に変化がないか、データで確認します。ビューティーメリットなどの予約管理システムを使えば、前年同期や前月との比較が簡単にできます。もし予約が減少傾向にあれば、価格以外の要因(季節変動など)も含めて原因を分析します。

【実施後30〜45日:遠のいた客への個別アプローチ】
通常2〜3ヶ月周期で来店されていたお客様が、実施後45日経っても予約が入らない場合、離客リスクが高まります。このタイミングで個別メッセージを送ります。「〇〇様、いつもありがとうございます。そろそろメンテナンスの時期ではないでしょうか?お待ちしております」といった、あくまで自然なフォローを心がけます。「値上げ後来ていませんね」と直接的に触れる必要はありません。

また、来店時のカルテに「価格改定後初来店」などメモを残し、スタッフ全員が把握できるようにします。その方には特に丁寧な接客を心がけ、「変わらず来てくださってありがとうございます」という気持ちを態度で示します。

【要点まとめ】

  • 実施当日に全体へ感謝メッセージ配信、「ちゃんと対応している」印象を
  • 実施後1〜2週間は初回来店客の反応を直接確認、会計時の一言が鍵
  • 3〜4週間後に予約状況をデータでモニタリング、減少傾向は早期発見
  • 30〜45日後、来店が途絶えた客には自然な個別フォローで再来を促す

リピート率低下を防ぐ価値再提示施策

価格が上がったのに価値が変わらなければ、お客様は「割高になった」と感じます。値上げをきっかけに、サロンの価値を改めて伝え直すことが、リピート率維持の鍵です。

【技術・サービスの可視化】
使用している薬剤のこだわり、スタッフの技術研修の実績、衛生管理の徹底など、普段は当たり前にやっていることを改めて発信します。InstagramやLINEで「当店では〇〇メーカーの最高グレード薬剤を使用しています」「スタッフ全員が月1回の技術講習を受けています」など、価格に見合う価値があることを伝えます。

【お客様の声の活用】
「値上げ後も変わらず通っています」「技術が確かだから納得しています」といったポジティブな口コミがあれば、許可を得て紹介します。他のお客様が「みんな納得しているんだ」と感じれば、価格への抵抗感は薄れます。ただし、やらせ感が出ないよう自然な形での紹介を心がけます。

【新サービス・メニューの追加】
価格改定に合わせて、新しいトリートメントメニューやヘッドスパなどを導入するのも効果的です。「料金は上がったけれど、選択肢も増えた」とプラスの印象を与えられます。また期間限定で「新料金記念キャンペーン」として、トリートメント半額などを実施するサロンもあります。ただし、値引きに頼りすぎると価格改定の意味が薄れるため、あくまで価値追加の一環として位置づけます。

【次回予約の促進】
会計時に「次回のご予約はいかがですか?」と声をかけることで、継続来店を促します。次回予約があれば、そのお客様は「また来る」と決めてくださっているため、離客リスクは大幅に下がります。「次回予約で〇〇サービス」などインセンティブを設けるのも有効です。

【要点まとめ】

  • 薬剤や技術研修など、価格に見合う価値を可視化して発信する
  • 「値上げ後も通っています」というお客様の声で納得感を醸成
  • 新メニュー追加や記念キャンペーンで「価値が増えた」印象を与える
  • 会計時の次回予約促進で継続来店を確約、離客リスクを大幅低減

まとめ

値上げは単なる価格変更ではなく、お客様との信頼関係を再構築する重要な機会です。前後90日間の丁寧な設計と実行があれば、多くのお客様は理解してくださり、継続してご利用いただけます。

告知フェーズでは、実施日の45日前から段階的に情報を広げ、理由と感謝をセットで伝えます。スタッフ全員がFAQを共有し、統一した対応ができる体制を整えることで、現場の不安も解消されます。実施後45日間は、予約状況をモニタリングしながら、遠のいたお客様には個別フォローを行います。同時に、サロンの価値を改めて発信し、「価格に見合うサービスを受けられる」という納得感を醸成します。

価格改定は「コスト転嫁」ではなく「価値再提示」のタイミングです。この機会に、自店の強みを見つめ直し、お客様に改めて伝えることで、より強固な信頼関係が築けます。90日間の計画的な運用で、値上げを成長のステップに変えていきましょう。

FAQ

Q. 値上げの告知は何日前から始めるべきですか?
A. 実施日の45日前から準備を始め、30日前には全チャネルで正式告知することが推奨されます。お客様が心の準備をする時間として、最低でも1ヶ月は必要です。
Q. 常連のお客様だけ据え置きにすることはできますか?
A. 対応可能ですが、他のお客様に知られた場合に不公平感を生むリスクがあります。一律改定を基本とし、ポイント制度や次回予約特典など別の形で感謝を示す方が運用しやすいです。
Q. 値上げ後に予約が減った場合、どう対応すればよいですか?
A. まず価格以外の要因(季節変動など)を確認します。明らかに価格が原因なら、サロンの価値を再発信し、新メニュー追加などで付加価値を高めます。遠のいた客には個別フォローを忘れずに。
Q. スタッフが値上げ理由をうまく説明できるか不安です。
A. 事前にFAQを準備し、全員で回答内容を共有するミーティングを開きます。ロールプレイングで練習しておくと、現場でも自信を持って対応できます。統一した説明が信頼につながります。
Q. 値上げと同時に新サービスを始めるべきですか?
A. 必須ではありませんが、「価格が上がった分、選択肢も増えた」という印象を与えられるため効果的です。新トリートメントやヘッドスパなど、導入しやすいメニューから検討してみてください。

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