小さなサロンのコンプライアンス超入門:個人情報・同意・写真利用のルール
更新日:2025年11月17日
個人情報は利用目的を明示し必要最小限の取得を心がけ、安全管理措置と第三者提供制限を徹底する
施術同意書は初回や新メニュー時に必ず取得し、リスク・アレルギー確認・写真撮影方針を明記する
顧客の写真・動画をSNSで使用する際は必ず書面で肖像権の同意を得て、使用範囲と期間を記録する
薬機法や著作権への配慮も重要で、効果の断定表現を避け、スタッフのSNS発信ルールも整備する
はじめに – 小規模サロンこそ法令遵守が経営の土台
美容業界では、個人のスキルや接客力が重視されがちですが、どれほど技術が優れていても、法令違反があればサロンの信頼は一瞬で失われます。特に近年は、消費者の権利意識が高まり、SNSでの情報拡散も瞬時に起こるため、小さなミスが大きな経営リスクに直結します。
コンプライアンス(法令遵守)は、単なる「守らなければならないルール」ではありません。適切に運用することで、顧客に安心感を与え、他店との差別化要因にもなる重要な経営資源です。実際、「無理な勧誘はしません」「個人情報は厳重に管理しています」といった方針を明確に打ち出すことは、それ自体が顧客に信頼を提供する強力なブランディング戦略となります。
- 法令遵守は顧客との信頼関係を築く土台であり、トラブル防止と安心感の提供に直結する
- 違反すれば行政指導や罰則だけでなく、口コミやSNSでの悪評により経営に致命的打撃を受ける
- コンプライアンスの徹底は競合との差別化要因となり、顧客に選ばれる理由を作る
個人情報保護法の基礎知識 – 顧客データの正しい取り扱い方
個人情報保護法は、サロンが扱う顧客の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの「個人を特定できる情報」の取り扱いを規定する法律です。小規模サロンであっても、顧客データを管理する以上、この法律の対象となります。
個人情報の定義と取得時の原則
個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別できるものを指します。カルテに記載される氏名、生年月日、連絡先、施術履歴などはすべて個人情報に該当します。これらの情報を取得する際は、利用目的を明確に示し、顧客の同意を得る必要があります。
例えば、予約時やカウンセリング時に「お客様の情報は、施術管理と次回予約のご案内のためにのみ使用します」と明示することで、顧客は安心して情報を提供できます。また、取得する情報は業務に必要最小限に留めることが原則です。不要な情報まで収集することは、管理負担を増やすだけでなく、情報漏洩時のリスクも高めます。
安全管理義務と第三者提供の制限
取得した個人情報は、紛失や漏洩が起きないよう適切に管理する義務があります。具体的には、紙のカルテは施錠できるキャビネットに保管し、電子データはパスワードで保護されたシステムで管理します。また、スタッフには個人情報の取り扱いルールを徹底し、不用意に顧客情報を口外しないよう教育することも重要です。
さらに、顧客の個人情報を第三者に提供する場合は、原則として本人の同意が必要です。例えば、系列店と顧客情報を共有する場合や、外部のマーケティング会社にデータを渡す場合は、事前に顧客から書面で同意を得なければなりません。
- 個人情報は利用目的を明示し、顧客の同意を得た上で必要最小限のみ取得する
- 取得した情報は施錠管理やパスワード保護など、適切な安全管理措置を講じて保管する
- 第三者への提供は原則として本人の同意が必要であり、無断での共有は法律違反となる
顧客データの管理と安全対策 – 情報漏洩を防ぐ仕組みづくり
顧客データの管理は、単に情報を保存するだけでなく、誰がいつアクセスしたかを記録し、不要になった情報を適切に廃棄するまでの一連のプロセスを含みます。小規模サロンでは、デジタルツールの導入によって管理効率が大幅に向上します。
カルテ・予約情報・支払情報の保管方法
紙のカルテは施錠可能なキャビネットに保管し、許可されたスタッフのみがアクセスできるようにします。電子カルテを使用する場合は、予約管理システムやPOSシステムと連携することで、顧客情報、施術履歴、売上データを一元管理できます。これにより、紙カルテの紛失や情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。
支払情報、特にクレジットカード番号などの決済情報は、サロン側で直接保管せず、決済代行会社のシステムを利用することが推奨されます。これにより、情報漏洩時の責任リスクを最小限に抑えられます。
アクセス権限の設定と保管期間・廃棄手順
顧客データにアクセスできるスタッフを限定し、権限を明確に設定することで、内部からの情報漏洩を防ぎます。例えば、オーナーや店長のみが全顧客データにアクセスでき、一般スタッフは担当顧客の情報のみ閲覧可能とするなどのルールを設けます。
また、個人情報は無期限に保管するのではなく、利用目的が達成された後は一定期間(例えば最終来店から3年)を経過したら削除する運用が望ましいです。廃棄時は、紙の場合はシュレッダーで裁断し、電子データは復元不可能な方法で完全に削除します。
情報漏洩時の対応策
万が一情報漏洩が発生した場合は、速やかに影響を受ける顧客に通知し、謝罪と今後の対応策を説明します。また、個人情報保護委員会への報告や、必要に応じて警察への届出も行います。事前に漏洩時の対応マニュアルを作成しておくことで、混乱を最小限に抑えられます。
- 紙カルテは施錠管理、電子データはパスワード保護と権限設定で安全性を確保する
- 利用目的達成後は一定期間経過後に削除し、廃棄時は復元不可能な方法で処理する
- 情報漏洩時は速やかに顧客通知と関係機関への報告を行い、対応マニュアルを事前準備する
施術同意書の作成ポイント – リスク説明と記録の重要性
施術同意書は、顧客に施術内容やリスクを正しく理解してもらい、双方の合意を文書で残すための重要なツールです。特にエステサロンなどでは、特定商取引法により契約前に概要書面、契約後に契約書面を交付する義務があり、これらの書面にはクーリングオフ制度に関する事項も赤枠・赤字で明記する必要があります。
同意書が必要な場面
同意書は、初回来店時、新しいメニューを初めて受ける時、未成年者が施術を受ける時などに必ず取得します。特に未成年者の場合は、親権者の同意書を別途添付することが法的に求められます。また、高額なサービス契約(施術代、入会費、商品代金の総額が5万円超で1ヶ月を超える契約)は「特定継続的役務提供」に該当し、書面交付義務が発生します。
同意書の主要項目
効果的な同意書には、以下の項目を明記します。
- 施術内容の詳細:使用する薬剤、施術時間、期待される効果などを具体的に記載します。例えば、「まつ毛エクステンション等新たな技術やサービスについては、施術者は施術方法やリスクを認識し、お客さまに対しては施術等の説明を十分に行ってから施術すること」が求められます。
- リスクと副作用:カラー剤によるアレルギー反応、パーマによる髪のダメージなど、起こりうるリスクを正直に説明します。
- アレルギー確認:過去のアレルギー歴や肌トラブルの有無を確認する項目を設けます。
- キャンセルポリシー:予約変更やキャンセルに関するルールを明示します。
- 写真撮影方針:施術前後の写真撮影や、SNSでの使用許可について顧客の同意を得ます。
電子契約サービスの活用
紙の同意書は保管スペースを取り、紛失リスクもあります。電子契約サービスを導入すれば、タブレットで顧客にサインしてもらい、クラウドで一元管理できるため、業務効率が大幅に向上します。また、過去の同意書を検索しやすくなるため、トラブル発生時の証拠としても有効です。
- 初回、新メニュー、未成年施術時には必ず同意書を取得し、親権者の同意も確認する
- 施術内容、リスク、アレルギー確認、キャンセルポリシー、写真撮影方針を明記する
- 電子契約サービスを活用することで保管効率が向上し、検索性とトラブル対応力が高まる
写真・動画利用のルール – 肖像権侵害を防ぐ同意取得
SNSやウェブサイトで顧客の写真や動画を使用することは、サロンの魅力を伝える強力な手段ですが、肖像権の侵害にならないよう必ず事前に書面で同意を得る必要があります。口頭での了承だけでは、後から「許可していない」とトラブルになる可能性があります。
肖像権と同意取得の重要性
肖像権とは、自分の顔や姿を無断で撮影・公開されない権利のことです。顧客の写真をSNSやパンフレットに掲載する場合、たとえ施術の技術をアピールする目的であっても、顧客本人の明確な同意がなければ肖像権の侵害となります。同意は必ず書面で取得し、記録として残すことが重要です。
同意書に明記すべき内容
写真・動画の使用許諾を得る同意書には、以下の項目を具体的に記載します。
- 使用範囲:Instagram、Facebook、サロンのウェブサイト、店内ポスターなど、どこで使用するかを明示します。
- 使用期間:掲載開始から1年間など、期限を設定します。期間満了後は削除するか、再度同意を得る必要があります。
- 削除方法:顧客が後から削除を希望した場合の連絡先と対応方法を明記します。例えば「削除を希望される場合は、サロンまでご連絡いただければ速やかに対応いたします」といった文言を入れます。
- 顔の映り込み:顔を隠す加工を希望するか、そのまま掲載してよいかを確認します。
同意取得後の記録管理
同意書は、電子カルテや顧客管理システムに紐づけて保管し、いつ誰からどの範囲で許諾を得たかを一目で確認できるようにします。また、SNS投稿時には、投稿内容と対応する同意書の記録番号をメモしておくことで、後からの確認がスムーズになります。
- 顧客の写真・動画をSNSやパンフレットに使用する際は必ず書面で肖像権の同意を得る
- 同意書には使用範囲、使用期間、削除方法、顔の映り込み希望を具体的に明記する
- 同意取得後は記録を顧客管理システムに紐づけて保管し、投稿時に確認できるようにする
その他の法的留意点 – 薬機法・著作権・スタッフSNS
個人情報保護法や肖像権以外にも、美容サロン経営には様々な法的留意点があります。特に薬機法、著作権、スタッフのSNS発信については、基本的なルールを理解しておく必要があります。
薬機法の遵守 – 効果の断定表現を避ける
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では、化粧品や美容機器の効果効能について、あたかも医療行為であるかのように誤認させる表現が禁止されています。例えば「痩せる」「ニキビが治る」「シワが消える」といった断定的な表現は、優良誤認表示として違反行為となります。
代わりに「ハリ感をサポート」「キメを整える」「すこやかな肌へ導く」など、効果を示唆する程度の表現に留めます。また、ビフォーアフター写真を掲載する場合も、合理的な根拠がなければ景品表示法違反となる可能性があるため、誇大広告にならないよう注意が必要です。
著作権と商標権への配慮
サロンのウェブサイトやSNSで使用する画像、音楽、テキストには著作権があります。他人の作品を無断で使用すると著作権侵害となるため、商用利用が許可されたフリー素材や、自分で撮影した写真を使用します。また、有名ブランド名や商品名を無断で宣伝文句に使うことも商標権侵害となる可能性があるため、注意が必要です。
スタッフの個人SNS発信に関するルール
スタッフが個人のSNSアカウントでサロンの情報を発信する場合、顧客のプライバシーやサロンの機密情報が漏洩しないよう、ガイドラインを設けることが重要です。例えば「顧客の個人情報や顔写真は絶対に投稿しない」「サロンの経営情報や他スタッフの悪口を書かない」といったルールを明文化し、全スタッフに周知します。
- 薬機法を遵守し、商品や施術の効果を断定的に表現せず、示唆する程度の表現に留める
- 著作権や商標権に配慮し、他人の作品や有名ブランド名を無断使用しない
- スタッフのSNS発信ルールを明文化し、顧客情報やサロンの機密情報を漏洩しないよう徹底する
スタッフ教育と運用体制 – 継続的な改善と顧客対応
コンプライアンスは、ルールを作っただけでは機能しません。全スタッフが正しく理解し、日々の業務で実践できるよう、教育と運用体制を整えることが不可欠です。
規程とマニュアルの作成
個人情報保護規程、施術同意書の取得手順、写真利用ルール、SNS投稿ガイドラインなど、サロン独自のマニュアルを作成します。マニュアルは、新人スタッフでも理解できるよう、具体的な事例を交えてわかりやすく記載します。また、法改正や社会情勢の変化に応じて定期的に見直しを行います。
定期的な研修の実施
年に1〜2回、全スタッフを対象としたコンプライアンス研修を実施します。外部の専門家(行政書士や弁護士)を招いて最新の法令情報を学んだり、実際に起きたトラブル事例を共有したりすることで、スタッフの意識を高めます。また、新しく入ったスタッフには、入社時に必ず個人情報保護やSNSルールに関する研修を行います。
顧客からの問い合わせ・クレーム窓口の明示
顧客が個人情報の取り扱いや施術内容について疑問や不安を感じた際に、すぐに相談できる窓口を明示します。例えば、ウェブサイトに「個人情報に関するお問い合わせ先」を掲載したり、店内に担当者の連絡先を掲示したりします。問い合わせには迅速かつ誠実に対応し、顧客の不安を解消することで信頼関係を維持します。
- 個人情報保護規程や施術同意書の取得手順など、具体的なマニュアルを作成し定期的に見直す
- 全スタッフを対象とした年1〜2回の研修を実施し、最新の法令情報とトラブル事例を共有する
- 顧客からの問い合わせ・クレーム窓口を明示し、迅速かつ誠実な対応で信頼関係を維持する
まとめ – コンプライアンスは信頼関係の土台
小規模サロンであっても、個人情報保護法、景品表示法、特定商取引法、薬機法といった法令を遵守することは、経営の基盤を支える重要な要素です。適切なルールを整備し、スタッフ全員で運用することで、顧客との信頼関係を強化し、トラブルを未然に防ぐことができます。
コンプライアンスは「手間のかかるコスト」ではなく、顧客に安心感を提供し、サロンの価値を高める「信頼への投資」です。今日から一つずつ、個人情報の管理方法を見直し、施術同意書のフォーマットを整え、写真利用の同意書を準備することから始めてみましょう。継続的に改善を重ねることで、法令を守りながら安心して経営を続けられる体制が整います。
また、専門家への相談も有効です。「法律がわからない」という悩みを抱えるオーナーは少なくありません。行政書士や弁護士といった法務の専門家のサポートを受けることで、特定商取引法に準拠した契約書類を確実に整備でき、法的な不安を抱えることなく本業に集中できます。
よくある質問(FAQ)
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