月末に見るべき3つの数字で美容サロン経営改善を実現
月末に必ず見るべき3つの数字:売上以外で経営を判断する指標

月末に必ず見るべき3つの数字:売上以外で経営を判断する指標

更新日:2025年10月20日

毎月の売上を確認して一喜一憂していませんか。売上高は確かに重要な数字ですが、それだけを見ていては、サロン経営の本当の健全性は見えてきません。実は、売上が好調でも経営が苦しいサロンや、逆に売上が横ばいでも利益を着実に増やしているサロンが存在します。その違いを生むのが、「売上以外の重要な経営指標」です。本記事では、美容サロン経営者が月末に必ず確認すべき3つの重要な数字と、その数字から何を読み取り、どう改善につなげるかを詳しく解説します。この記事を読むことで、勘や経験だけに頼らない、データに基づいた経営判断ができるようになります。

目次

1. なぜ売上だけを見ていては経営判断を誤るのか

多くのサロンオーナーが、月末に真っ先に確認するのは「今月の売上はいくらだったか」という数字です。しかし、売上高だけを見て経営判断をすることは、車の運転でスピードメーターだけを見て走るようなものです。
美容サロンの売上は、「客数×客単価×来店頻度」という3つの要素の掛け算で構成されています。たとえば、売上が前月より10%増えたとしても、その内訳を見ると「新規客が大量に来たが、リピート率が極端に低い」という状態かもしれません。この場合、広告費をかけ続けなければ売上を維持できず、利益は圧迫され続けます。
また、売上が高くても固定費(家賃や人件費)が高すぎれば、手元に残る利益はわずかです。美容業界における固定費率の高さは、売上変動に対する経営の脆弱性を高める要因となっています。家賃は売上の10〜15%程度、人件費は45〜55%程度が業界標準とされていますが、これらが適正範囲に収まっているかを確認しないまま売上だけを追いかけても、経営の安定化は望めません。

データに基づいた経営判断を行うためには、売上を構成する要素と、利益構造を理解し、複数の指標を組み合わせて経営状態を把握することが不可欠です。

<要点>
・売上高だけでは経営の健全性は判断できない
・売上は「客数×客単価×来店頻度」の3要素で構成される
・固定費率が高いと売上変動に対して脆弱になる
・複数の経営指標を組み合わせて総合的に判断することが重要

2. 【指標①】リピート率:顧客の定着度を測る最重要指標

2-1. リピート率とは何か

リピート率とは、一度来店したお客様が再び来店してくれた割合を示す指標です。この数字は、サロン経営の安定性を測る上で最も重要な指標の一つと言えます。

美容業界における新規顧客のリピート率は平均で約30%、既存顧客のリピート率は約70%程度とされています。一方、理想的なリピート率は新規顧客で50%、既存顧客で90%とされており、多くのサロンにとって改善の余地が大きい領域です。

2-2. なぜリピート率が重要なのか

新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われています。これは、広告出稿や初回割引クーポンに多額の費用を投じる必要があるためです。

リピート率が低いサロンは、常に高い広告費率を維持して新規集客に依存し続ける構造に陥りやすく、結果として利益率が低下します。逆に、リピート率が高いサロンは、広告費を抑えながら安定した売上を確保でき、顧客一人あたりの生涯価値(LTV)を最大化できます。

2-3. リピート率の計算方法と目標値

リピート率の計算式は以下の通りです:

リピート率(%) = (再来店客数 ÷ 新規来店客数) × 100

月末には、以下の2つのリピート率を確認しましょう:
・新規顧客のリピート率:初めて来店したお客様が2回目に来てくれた割合
・既存顧客のリピート率:2回目以降のお客様が継続して来店している割合

目標値として、新規顧客のリピート率は50%以上、既存顧客のリピート率は90%以上を目指すことが望ましいと考えられます。

2-4. リピート率から見える経営課題

リピート率が低い場合、以下のような課題が潜んでいる可能性があります:
・技術や仕上がりに対する満足度が不十分
・接客やコミュニケーションに改善の余地がある
・来店後のフォローアップが不足している
・お客様がサロンのことを忘れてしまっている

顧客が再来店しない最大の理由は、「サロンのことを忘れている」ことだと言われています。技術や接客に大きな不満がなくても、特別な感動がなければ、お客様は他のサロンに流れてしまいます。

<要点>
・リピート率は経営安定性を測る最重要指標である
・新規顧客の獲得コストは既存顧客維持の5倍かかる
・新規顧客リピート率50%以上、既存顧客90%以上が目標
・リピート率が低い原因は技術・接客・フォロー不足など多岐にわたる

3. 【指標②】客単価:収益性を高める鍵となる数字

3-1. 客単価とは何か

客単価とは、お客様1人が1回の来店で支払う平均金額のことです。売上を伸ばす方法は「客数を増やす」か「客単価を上げる」かの2つしかありませんが、客単価の向上は、既存のお客様に対してより質の高いサービスを提供することで実現できるため、新規集客よりもコストを抑えながら収益性を高められる戦略です。

3-2. 業界別の平均客単価

プロジェクトナレッジによると、美容業界における平均客単価は以下の通りです:

・美容室:約6,000〜7,668円(近年は高単価化の傾向)
・エステサロン:約7,000円前後
・ネイルサロン:約5,000〜6,000円

ただし、客単価は提供するメニューやターゲット層によって大きく異なります。高単価メニューを積極的に提案しているサロンでは、客単価1万円以上を達成している事例も存在します。

3-3. 客単価を上げることの重要性

客単価が高いサロンは、同じ客数でもより多くの売上と利益を生み出せます。たとえば、月間100人のお客様が来店するサロンで、客単価を1,000円上げることができれば、月間10万円、年間120万円の売上増加につながります。

客単価向上の鍵となるのが、ケアサービス比率と店販購入客比率です。業界の成功事例では、ケアサービス比率50%と店販購入客比率20%を達成することで、高い収益性を実現しています。

3-4. 客単価の計算方法と分析のポイント

客単価の計算式は以下の通りです:

客単価 = 月間売上高 ÷ 月間来店客数

月末には、以下の点を分析しましょう:
・全体の平均客単価
・新規客と既存客の客単価の違い
・メニュー別の客単価
・スタッフ別の客単価

これらを分解して見ることで、「どのメニューが高単価につながっているか」「どのスタッフの提案力が高いか」といった具体的な改善ポイントが見えてきます。

3-5. 客単価を健全に上げる方法

客単価を上げる方法は、大きく分けて3つあります:

アップセル:より高品質・高単価なメニューを提案する
クロスセル:関連する追加メニューや店販品を提案する
メニュー構成の見直し:高付加価値メニューを開発・強化する

重要なのは、単に高いメニューを押し売りするのではなく、お客様の悩みに寄り添い、本当に必要なサービスを提案することです。適切なカウンセリングに基づいた提案は、お客様の満足度を高め、結果として客単価向上とリピート率向上の両方を実現します。

<要点>
・客単価向上は既存客に対してコスト効率よく収益を上げる方法
・業界平均は5,000〜7,000円程度だが高単価サロンは1万円以上も実現
・ケアサービス比率50%、店販購入客比率20%が目標
・適切なカウンセリングに基づく提案が客単価と満足度の両立につながる

4. 【指標③】貢献利益率:経営の健全性を示す数字

4-1. 貢献利益率とは何か

貢献利益率とは、売上高から変動費(材料費など売上に比例して増減する費用)を差し引いた「貢献利益」が、売上高に占める割合のことです。この数字は、固定費(家賃や人件費など)を回収し、利益を生み出す力を示す重要な指標です。

計算式は以下の通りです:

貢献利益 = 売上高 − 変動費
貢献利益率(%) = (貢献利益 ÷ 売上高) × 100

または

貢献利益率(%) = (1 − 変動費率) × 100

4-2. なぜ貢献利益率が重要なのか

売上が高くても、変動費率が高ければ、固定費を回収した後に手元に残る利益は少なくなります。貢献利益率が高いほど、固定費を回収しやすく、経営が安定します。

美容業界における変動費は、材料費(シャンプー、カラー剤、トリートメント剤など)が中心で、売上高の5〜10%程度が標準とされています。したがって、理想的な貢献利益率は90〜95%程度となります。

4-3. 損益分岐点(BEP)との関係

貢献利益率が分かると、損益分岐点売上高(利益がゼロになる売上高)を計算できます:

損益分岐点売上高 = 固定費総額 ÷ 貢献利益率

たとえば、固定費総額が月100万円で、貢献利益率が90%のサロンの場合:
損益分岐点売上高 = 100万円 ÷ 0.9 = 約111万円
つまり、月111万円以上の売上があれば黒字、それ以下なら赤字ということになります。

4-4. 貢献利益率から見える経営改善のヒント

貢献利益率を月末に確認することで、以下のような経営判断ができます:

・変動費率が高い場合:材料の仕入れ先を見直す、適正な使用量を徹底する
・固定費が高すぎる場合:家賃交渉、人件費の見直し、業務効率化による労働時間削減
・損益分岐点が高すぎる場合:客単価向上、来店頻度向上の施策が必要

特に、家賃が売上の15%を超えている場合や、人件費が55%を超えている場合は、経営の柔軟性が失われているサインと考えられます。

4-5. 目標利益から逆算する経営計画

理想的な営業利益率は15〜20%とされています。目標利益を達成するために必要な売上高は、以下の式で計算できます:

目標売上高 = (固定費総額 + 目標利益額) ÷ 貢献利益率

この計算により、「月に○○円の利益を出すためには、○○円の売上が必要」という具体的な目標が明確になります。

<要点>
・貢献利益率は固定費を回収し利益を生む力を示す指標
・美容業界の理想的な貢献利益率は90〜95%程度
・損益分岐点を把握することで必要売上高が明確になる
・目標利益から逆算して必要売上を設定することが重要

5. 3つの数字を組み合わせた経営判断の実践

5-1. 3つの指標の関係性を理解する

リピート率、客単価、貢献利益率の3つは、それぞれ独立した指標ではなく、相互に影響し合っています。

たとえば:

・リピート率が高い → 広告費を抑えられる → 固定費率が下がる → 利益率向上
・客単価が高い → 同じ客数でも売上増 → 損益分岐点達成が容易に
・貢献利益率が高い → 少ない売上でも利益確保 → 経営の安定性向上
これらの指標をバランスよく改善していくことが、持続的な成長につながります。

5-2. 経営パターン別の診断と改善方向

月末にこれらの数字を確認したら、自店がどのパターンに当てはまるかを診断しましょう:

パターンA: 売上は高いが利益が出ていない
・症状:客数は多いが、リピート率が低く、広告費が高い
・改善方向:リピート率向上に注力、フォローアップ強化

パターンB: リピート率は高いが売上が伸びない
・症状:固定客は多いが、客単価が低い
・改善方向:高単価メニューの開発・提案、店販強化

パターンC: 客単価は高いが客数が少ない
・症状:一見客の単価は高いが、リピートにつながらない
・改善方向:接客・技術の見直し、期待値管理の改善

パターンD: すべての指標が平均以下
・症状:根本的な経営課題がある
・改善方向:ターゲット顧客の再定義、USP(独自の強み)の明確化

5-3. 月次での数字の推移を追跡する

1ヶ月の数字だけでなく、3ヶ月、6ヶ月、1年といった期間での推移を追跡することで、季節変動や施策の効果が見えてきます。

たとえば、「9月にリピート客向けキャンペーンを実施した結果、10月のリピート率が5%向上した」といった因果関係を把握できれば、効果的な施策を継続的に実施できます。

<要点>
・3つの指標は相互に影響し合う関係にある
・自店の経営パターンを診断し適切な改善方向を見出す
・月次推移を追跡して施策の効果を検証する
・バランスの取れた改善が持続的成長につながる

6. 数字を改善するための具体的なアクション

6-1. リピート率を改善する施策

来店後のフォローアップ強化

・LINEやメールでお礼メッセージを送る
・次回来店の目安時期を具体的に伝える
・次回使えるクーポンを配信する

初回体験の質的向上
・丁寧なカウンセリングで悩みを傾聴する
・自宅でのケア方法をアドバイスする
・次回予約を退店時に促す

顧客管理システム(CRM)の活用
・来店履歴や好みを記録し、パーソナライズされたサービスを提供
・一定期間来店がない顧客に自動でメッセージ配信

6-2. 客単価を改善する施策

カウンセリング力の強化
・お客様の悩みを深掘りして潜在ニーズを引き出す
・技術的な根拠を示しながら高付加価値メニューを提案

メニュー構成の見直し
・高単価トリートメントやケアメニューを開発
・セットメニューで複数施術を組み合わせる

店販品の販売強化
・施術中に使用している商品を実際に体験してもらう
・ホームケアの重要性を丁寧に説明する

6-3. 貢献利益率を改善する施策

変動費の最適化
・複数のディーラーを比較検討して仕入れコストを削減
・材料の適正使用量を徹底し、無駄を省く

固定費の見直し
・家賃交渉や移転の検討(家賃が売上の15%を超える場合)
・シフト管理の最適化による人件費の適正化
・業務効率化ツール導入による労働時間削減

高利益率メニューへのシフト
・店販品(利益率45%程度)の販売比率を高める
・ケアサービス(利益率が高い)の比率を50%に引き上げる

<要点>
・リピート率向上にはフォローアップとCRM活用が効果的
・客単価向上にはカウンセリング力とメニュー開発が鍵
・貢献利益率改善には変動費削減と高利益率メニューへのシフトが重要
・複数の施策を組み合わせて相乗効果を狙う

7. デジタルツールで数字を「見える化」する

7-1. なぜデジタル化が必要なのか

これらの経営指標を正確に把握し、継続的に追跡するためには、デジタルツールの活用が不可欠です。紙のカルテや手計算では、データの集計に膨大な時間がかかり、リアルタイムでの経営判断ができません。

7-2. 予約管理システムとPOSレジの活用

予約管理システムやPOSレジシステムを導入することで、以下のデータが自動的に集計されます:

・日次・月次の売上高
・来店客数(新規・既存の区別)
・客単価
・メニュー別売上
・スタッフ別売上
・リピート率
これらのデータをもとに、リピート率、客単価、貢献利益率といった経営指標を簡単に算出できます。

7-3. 顧客管理システム(CRM)によるデータ分析

顧客管理システムを導入すれば、顧客一人ひとりの来店履歴、購入メニュー、来店頻度を記録し、以下のような高度な分析が可能になります:

・顧客生涯価値(LTV)の算出
・顧客セグメント別の行動分析
・休眠顧客の自動抽出とアプローチ
このようなデータ分析に基づいて、効果的なマーケティング施策を実行できます。

7-4. ビューティーメリットで実現する経営の「見える化」

ビューティーメリットは、予約管理、顧客管理、売上分析を一元化できる美容サロン専用のシステムです。これにより、経営者は月末の数字確認だけでなく、日々の経営状況をリアルタイムで把握し、迅速な意思決定が可能になります。

データに基づいた経営判断は、勘や経験だけに頼る経営から脱却し、持続的な成長を実現するための基盤となります。

<要点>
・デジタルツールで経営指標を自動集計しリアルタイムで把握
・予約管理システムとPOSレジで売上・客数・客単価を可視化
・CRMで顧客データを分析し効果的な施策を実行
・ビューティーメリットなどの統合システムで経営全体を見える化

まとめ

美容サロン経営において、売上だけを見ていては真の経営状態は把握できません。月末に必ず確認すべき3つの重要な数字は、「リピート率」「客単価」「貢献利益率」です。リピート率は顧客の定着度と経営の安定性を示し、客単価は収益性を高める鍵であり、貢献利益率は経営の健全性を測る指標です。これらの数字を組み合わせて分析することで、自店の強みと課題が明確になり、データに基づいた戦略的な経営判断が可能になります。デジタルツールを活用してこれらの指標を「見える化」し、継続的な改善のPDCAサイクルを回すことが、持続的な成長への第一歩です。

FAQ

Q1. 経営指標を管理する時間がないのですが、どうすればいいですか?

A1. デジタルツールを導入することで、データの集計は自動化できます。予約管理システムやPOSレジを使えば、リピート率や客単価は自動で算出されるため、月末に数字を確認するだけで済みます。初期投資は必要ですが、長期的には業務効率化と経営改善の両方を実現できると考えられます。

Q2. 客単価を上げたいのですが、お客様に高いメニューを押し売りしているように思われないか心配です。

A2. 大切なのは、お客様の悩みに真摯に向き合い、本当に必要なサービスを提案することです。丁寧なカウンセリングで髪の状態や生活習慣を聞き取り、「なぜこのメニューが必要か」を技術的な根拠とともに説明すれば、お客様は価値を理解してくれます。高単価メニューは「押し売り」ではなく、「お客様の悩みを解決するプロフェッショナルな提案」として伝えることが重要です。

Q3. リピート率が低い原因が技術不足なのか、それ以外なのか判断できません。

A3. まずは退店時やLINEでのアンケートを実施し、お客様の率直な声を集めることが有効です。技術や仕上がりへの不満が多ければ技術向上に注力し、「特に不満はないが再来店の理由がない」という声が多ければ、フォローアップの強化や特別感の演出が必要です。顧客管理システムで来店履歴を分析し、どのタイミングで離脱しているかを把握することも有効な方法です。

Q4. 固定費が高すぎると感じますが、すぐには変えられません。どうすればいいですか?

A4. 固定費を短期間で削減するのは難しいため、まずは売上を増やして固定費率を下げることを優先しましょう。リピート率や客単価を向上させることで、同じ固定費でもより多くの利益を生み出せます。中長期的には、家賃交渉や移転の検討、業務効率化による人件費の最

適化を計画的に進めることが望ましいと考えられます。

Q5. これらの数字は毎月確認すべきですか、それとも四半期ごとで十分ですか?

A5. 月次で確認することを強く推奨します。月次で数字を追うことで、施策の効果をタイムリーに検証でき、問題が大きくなる前に対処できます。ただし、季節変動もあるため、前月比だけでなく前年同月比や3ヶ月平均なども併せて見ることで、より正確な傾向を把握できます。デジタルツールを使えば、月次の数字確認にかかる時間は10分程度で済むと考えられます。

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