
美容室のメンズ需要を取りこぼさない!失敗しないメニュー作り入門
更新日:2025年9月16日
美容意識の高まりにより、男性の美容サロン利用が急速に拡大しています。エステ、ネイル、アイビューティーといったヘア以外の美容サービスの利用率も年々増加しており、従来の女性メインのサロンにとって、このメンズ需要は大きなビジネスチャンスです。しかし、どのようなメニューを用意すれば良いのか、価格設定はどうすべきか、迷われるオーナー様も多いでしょう。この記事では、男性客の心理や特性を理解し、取りこぼしのないメンズメニュー作りの実践的な方法をご紹介します。
1. メンズ美容市場の現状と成長の背景
急成長するメンズ美容需要
美容業界全体の市場規模は2兆6,820億円(2025年予測)に達し、その成長を支える要因の一つが「メンズ美容・サロン利用者層の拡大」です。これまで男性の美容といえば理容室での散髪が主流でしたが、現在は美容室利用だけでなく、エステ、ネイル、アイビューティーといった多様な美容サービスの利用率が年々増加しています。
実際に、理容所は2012年から11年連続で減少しており、2022年度の店舗数は112,468店まで落ち込んでいます。対照的に、美容所数は毎年増加し、2022年度は269,889店に達しました。この対比は、男性顧客の美容室利用の増加など、社会全体の「美」に対する意識が多様化し、サービス提供の場が美容室へと移行していることを示しています。
メンズ需要拡大の要因
男性の美容意識向上には、以下のような社会的背景があります。
SNSの普及と美意識の変化 InstagramやTikTokなどの視覚系SNSが普及し、男性も外見に対する意識が高まっています。
働き方の多様化 リモートワークの普及やオンライン会議の機会増加により、顔周りの身だしなみへの関心が高まっています。
ジェンダーレス化の進行 従来の性別による役割分担が変化し、男性も美容に投資することへの抵抗感が薄れています。
年齢層の拡大 20代から50代まで、幅広い年齢層の男性が美容サロンを利用するようになっています。
2. 男性客の美容サロン利用における心理的特徴
男性客特有の心理的バリア
男性客を獲得するためには、彼らが抱える心理的な特徴を理解することが重要です。
初回利用への不安 多くの男性は、美容サロンでの施術経験が少ないため、「どんなことをされるのか分からない」「女性ばかりで居心地が悪いのではないか」といった不安を抱えています。
明確な目的志向 女性客がリラクゼーションや自分磨きなど幅広い目的で来店するのに対し、男性客は「毛穴の汚れを取りたい」「髭を整えたい」など、より具体的で明確な目的を持って来店する傾向があります。
時間効率を重視 忙しいビジネスマンが多く、短時間で効果を実感できるメニューを好む傾向があります。
説明を重視 施術内容や効果について、論理的で分かりやすい説明を求める傾向があります。
男性客の価値観と行動パターン
口コミよりも実績重視 女性客がSNSや口コミを重視するのに対し、男性客は技術力や実績、資格などの客観的な情報を重視します。
継続性よりも即効性 長期的なケアよりも、一回の施術で目に見える効果を求める傾向があります。
プライバシーを重視 他の客との接触を避けたがる傾向があり、個室での施術を好む場合が多いです。
3. 失敗しないメンズメニュー設計の基本原則
原則1:目的別の明確なカテゴリ分け
男性客は具体的な悩みを解決したいという明確な目的を持って来店します。そのため、メニュー設計では「何に効果があるのか」を分かりやすく分類することが重要です。
【基本カテゴリの例】
・毛穴・皮脂ケア(オイリー肌対策)
・ひげ・ムダ毛処理
・疲労回復・リフレッシュ
・エイジングケア
・肌質改善
原則2:施術時間の最適化
男性客は時間効率を重視するため、施術時間の設定が重要です。
【推奨時間設定】
・クイックメニュー:30分以内
・スタンダードメニュー:60-90分
・プレミアムメニュー:120分以内
・昼休みや仕事帰りに利用できる30分程度のクイックメニューは特に需要が高いとされています。
原則3:効果の可視化
男性客は効果を実感できることを重視するため、施術前後の変化を分かりやすく示すことが大切です。
【可視化の方法】
・ビフォーアフター写真の撮影
・肌測定器を使った数値化
・施術効果の説明資料
4. サロンタイプ別のメンズメニュー戦略
美容室でのメンズメニュー
【基本メニュー】
・メンズカット + ヘッドスパ
・眉毛カット・整え
・ひげトリミング
・スカルプケア
【差別化メニュー】
・男性向けカラーリング(白髪ぼかし、グレーカラーなど)
・薄毛・抜け毛対策ケア
・オンライン事前カウンセリング
エステサロンでのメンズメニュー
【人気メニュー】
・フェイシャルトリートメント(毛穴ケア重点)
・背中ニキビケア
・全身脱毛・部分脱毛
・リフトアップケア
※注意点※
男性の肌は女性より厚く皮脂分泌が多い傾向があるため、専用の化粧品や施術方法を用意することをオススメします
ネイルサロンでのメンズメニュー
【基本メニュー】
・ハンドケア(甘皮処理、爪形整え)
・爪磨き・クリア仕上げ
・角質除去
【ビジネス向けメニュー】
・深爪修正
・爪噛み癖改善ケア
・清潔感向上コース
アイラッシュサロンでのメンズメニュー
【基本メニュー】
・眉毛カット・シェービング
・眉毛ワックス脱毛
・まつ毛パーマ(ナチュラル仕上げ)
リラクサロンでのメンズメニュー
【人気メニュー】
・肩こり・首こり改善マッサージ
・ヘッドスパ
・フットケア
・疲労回復コース
5. 価格設定とメニュー構成のポイント
男性客の価格感覚を理解する
美容室市場における男性の1回あたり平均利用金額は4,879円(女性は7,668円)となっており、女性客よりも価格に敏感な傾向があります。ただし、明確な効果や価値を実感できれば、適正な価格であれば支払う意思があることも分かっています。
価格設定の戦略
エントリー価格の設定 初回利用の心理的ハードルを下げるため、お試しプライスを設定します。ただし、安すぎる初回割引は2回目以降の来店率を下げる可能性があるため注意が必要です。
【価格帯の例】
・エントリーメニュー:3,000-5,000円
・スタンダードメニュー:6,000-10,000円
・プレミアムメニュー:12,000-20,000円
メニュー構成のポイント
3段階構成を基本とする 選択肢が多すぎると迷いが生じるため、シンプルで分かりやすい3段階構成が効果的です。
セットメニューの活用 単体メニューよりも、目的に応じたセットメニューを提案することで、客単価向上とお客様満足度の両立を図れます。
6. 男性客のリピート率を上げる仕組み作り
男性客のリピート率向上戦略
一般的に、男性客は女性客よりもリピート率が低い傾向にあります。これは、美容サロンを「必要な時に利用するもの」と捉える傾向があるためです。
効果的なリピート促進策
定期メンテナンスの提案 男性客には「メンテナンス」という概念で定期来店を提案すると受け入れられやすい傾向があります。
データに基づく効果説明 肌状態の数値化や写真記録を活用し、継続的なケアの必要性を論理的に説明します。
次回予約の取りやすさ 忙しい男性客のために、LINEやアプリでの簡単予約システムを導入します。
適切なフォローアップ 施術後のアフターケア方法を分かりやすく説明し、ホームケア商品の提案も効果的です。
<要点>
・男性客は明確な効果と時間効率を重視する
・データや数値での効果説明が信頼獲得に重要
・メンテナンスという概念での定期来店提案が効果的
・シンプルで分かりやすいメニュー構成を心がける
・適切な価格設定でエントリーハードルを下げる
7. よくある失敗例とその対策
失敗例1:女性向けメニューの男性版
失敗内容 既存の女性向けメニューを単純に「メンズ」と名付けただけで、実際の施術内容や時間設定は変更しない。
対策 男性の肌質や毛質の特徴を考慮し、専用の施術方法や商材を用意する。施術時間も男性客のニーズに合わせて最適化する。
失敗例2:曖昧なメニュー名
失敗内容 「リフレッシュコース」「プレミアムケア」など、具体的な効果が分からないメニュー名。
対策 「毛穴汚れ除去フェイシャル」「疲労回復ヘッドスパ」など、効果や対象を明確にしたメニュー名に変更する。
失敗例3:過度な初回割引
・失敗内容 初回50%オフなど、大幅な割引で男性客を集めようとする。
・対策 適度な初回特典(10-20%程度)に留め、サービスの価値を適正に伝える。安易な値引きは2回目以降の来店率を下げる要因となります。
失敗例4:女性スタッフのみの対応
失敗内容 男性客に対しても女性スタッフが同じ接客スタイルで対応する。
対策 男性客には論理的で簡潔な説明を心がけ、必要に応じて男性スタッフによる対応も検討する。男性客の心理的な居心地の良さを配慮する。
<要点>
・男性特有の肌質・毛質に対応した専用施術の開発
・効果が明確に分かるメニュー名の設定
・適正価格でのサービス提供
・男性客に配慮した接客スタイルの確立
まとめ
メンズ美容市場の成長は、美容サロン業界にとって大きなビジネスチャンスです。しかし、単純に男性向けメニューを追加するだけでは成功は望めません。男性客特有の心理や行動パターンを深く理解し、それに基づいたメニュー設計と価格設定、そして適切な接客対応が必要です。
特に重要なのは、男性客が求める「明確な効果」「時間効率」「論理的な説明」という3つの要素を満たすことです。これらを意識したメニュー作りと運営により、新たな収益の柱としてメンズ需要を取り込むことができるでしょう。まずは小規模からスタートし、お客様の反応を見ながら段階的にメニューを拡充していくことをお勧めします。
FAQ
Q1. メンズメニューを始める際の初期投資はどの程度必要ですか?
A1.メンズ専用の化粧品や器具の導入で10-30万円程度が一般的です。既存設備を活用できる場合は、研修費用と基本的な商材のみで5-10万円程度でスタートできます。重要なのは段階的な導入で、お客様の反応を見ながら投資を拡大していくことです。
Q2. 男性客の集客で最も効果的な方法は何ですか?
A2男性客は口コミよりも実績や技術力を重視するため、Googleビジネスプロフィールでの情報発信や、ビフォーアフター写真の掲載が効果的です。また、近隣のオフィスビルへのチラシ配布や、ビジネス向けの短時間メニューの訴求も有効です。
Q3. 既存の女性客に与える影響が心配です。
A3適切にゾーン分けを行えば、女性客への影響は最小限に抑えられます。時間帯での分離や、男性専用スペースの設置、完全予約制の導入などで対応可能です。むしろ、カップルでの来店という新たな需要を生み出すことも期待できます。
Q4. メンズメニューの料金設定で注意すべき点は?
A4男性の平均利用金額(4,879円)を参考に、女性向けメニューより若干低めの価格設定から始めることをお勧めします。ただし、安すぎる設定は品質への不信を招くため、適正価格での提供が重要です。効果を実感いただければ、段階的な価格向上も可能です。
Q5. スタッフ教育で重要なポイントは?
A5男性客には女性客とは異なる接客アプローチが必要です。雑談よりも施術内容の説明に重点を置き、効果やメカニズムを論理的に説明できるよう研修することが大切です。また、プライバシーへの配慮や、簡潔で要点を絞った接客スタイルも身につける必要があります。
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